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平成20年11月実施検定1級小型問題19:振動・騒音に関する記述

19

 

振動・騒音に関する記述として,適切なものは次のうちどれか。

 

(1)ダイナミック・ダンパで,マス・ダンパと同程度の効果を出すには,マス・ダンパより大きな質量を必要とする。

(2)ブレーキ・ノイズのスキーク音とは制動時に発生する振動周度数か1,000から14,000Hzのキー音のことをいう。

(3)80dBの音原を四つ同時に鳴らす音圧は,おおよそ86dBとなる。

(4)人が振動を感じる周波数範囲は,200kHz以下といわれている。

 

解く

 

(1)ダイナミック・ダンパで,マス・ダンパと同程度の効果を出すには,マス・ダンパより大きな質量を必要とする。

不適切

振動・騒音の防止

(1)ダンパ

ダンパとは、振動防止の対象となる振動体の共振振動周波数を常用使用域の範囲より遠ざけたり、振動を吸収して打ち消すために用いられる重りのことで、マス・ダンパとダイナミック・ダンパがある。次にそれぞれのダンパの作用について説明する。

(イ)マス・ダンパ

マス・ダンパは、共振系に重りを取付けることにより、固有振動数を下げ、問題の振動や騒音を常用振動周波数の範囲の外へ出す。すなわち、振動が大きい部分を共振点からずらすことにより、振動レベルや音圧レベルを小さくするものである。このとき、重りは共振系の中で最も振動の大きな部位に取り付ける。また、重りの質量は、適切に決める必要があるが、リーフ・スプリングの場合には1kg前後、小さな部品の場合には、0.1~0.2kg程度で効果がある。

例えば、図1-18-(1)のように、質量mのマス・ダンパを重りMに添加すると、この系統の固有振動数 f は、図(2)のように共振点(f0)から振動周波数が低い方(f)へ移動するため、問題となる共振点を避けることができる。

図(3)はアクセル・ペダル共振低減の対策例である。

 

(口)ダイナミック・ダンパ

ダイナミック・ダンパは、共振系にばね(実際にはゴム)と重りを取り付けることにより、一つの固有振動数による大きな振動を二つの固有振動数による小さな振動周波数に分散し、振動レベルや音圧レベルを小さくするものである。このとき、ダイナミック・ダンパは、共振系の中で最も振動の大きな部位に取り付ける。また、ダイナミック・ダンパの重りの質量とゴムのばね定数は、適切に決める必要がある。

 

図(1)は、最も簡単な例を示したもので、ばね定数Kのばねに質量Mの重りが付いていたとすると、そのときのこの系統の固有振動数は、       

 

である。この重りMに、ダイナミック・ダンパ (ばね定数kのばねに質量mの重りが取り付いたもの)を取り付けると、この系統全体の共振点は、図(2)のように二つに分かれる。

このとき、ダイナミック・ダンパのk、mをK/M=k/m になるようにすると、固有振動数 f0 の両側に共振点 f1、f2 が分かれ、質量Mに作用する振動強制力がいかに大きくても、質量Mに作用する振動強制力がいかに大きくても、質量Mは固有振動数f0で静止する性質をもっている。したがって、図(3)のように共振系の中で最も振動の大きな部位にダイナミック・ダンパを取り付けることにより、二つの固有振動数による小さな振動に分散され振動レベルが小さくなる。

 

 

 

 

 

 

(ハ)ダンパの使い分け

問題としている共振振動周波数成分の低減だけに着目した場合、図(1)、(2)を比較すると、ダイナミック・ダンパの方が、小さな質量(小さなスペース)で同程度の効果がある。

しかし、ダイナミック・ダンパを使う場合は、図の(f2)のようにもとの共振点より高い振動周波数帯にも新しい共振点ができるので、この影響について考慮する必要がある。また、ゴムをばねとして使用するが、ばね定数にはバラツキがあるので、振動周波数のバラツキを見込む必要性がある。

一方、マス・ダンパでダイナミック・ダンパと同程度の効果を出すには、かなりの質量を必要とするので、マス・ダンパを取り付けた部品の耐久性に工夫が施されている。図のように、エンジン・マウンティング・ブラケットの固有振動数(300~400Hz)を変化させ、伝達される振動を低減している。

 

 

 

 

(2)ブレーキ・ノイズのスキーク音とは制動時に発生する振動周度数か1,000から14,000Hzのキー音のことをいう。

不適切

ブレーキ

(イ)ブレーキの振動・騒音

( a )制動時振動

ブレーキを掛けたとき, “キィーッ” “チリチリ” “グー” という非常に耳障りで不快な音を聴くことがある。これは, ブレーキ・パッド,又はブレーキ・シューの摩擦材とディスク,又はドラムとの摩擦特性の変化によるところが大きい。すなわち、摩擦材の温度変化や、湿気による摩擦係数の変化、摩擦材(ブレーキ・パッド)の摩耗や熱変形による当たりの変化、泥や錆の浸入による摩擦状態の変化などが影響する。

 

( b )ブレーキ・ノイズの種類

ブレーキ・ノイズには,スキール,スキーク,グローン音の三種類がある。

 

 

 

 

 

(3)80dBの音原を四つ同時に鳴らす音圧は,おおよそ86dBとなる。

適切

 

(4)人が振動を感じる周波数範囲は,200kHz以下といわれている。

不適切

 

 

よって答えは3