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図に示す電子制御式スロットル装置等に用いられる,リニアDCブラシレス・モータ(三相交流の小規模アクチュエータ)に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)図のモータは,CW駆動とCCW駆動の相互方向駆動をもつもので,駆動回路内のインバータにより単相交流を三相交流に変換して回転速度制御を行っている。
(2)CW駆動からCCW駆動,またはCCW駆動からCW駆動になるときは,コイルのU相,V相,W相に流れる電流の向き(各二相に掛かる電圧の極性)と順序が変化してモータが逆回転する。
(3)駆動速度の検出は,ホール素子などのF/Bセンサを用いて,U相,V相,W相の各相の磁束を検出して行う。
(4)アクチュエータの駆動回路の異常検知は,駆動信号電圧に基づき,診断回路(シャント抵抗両端の電圧検出)によりマイコンが検出する。
解く
(1)図のモータは,CW駆動とCCW駆動の相互方向駆動をもつもので,駆動回路内のインバータにより単相交流を三相交流に変換して回転速度制御を行っている。
不適切
直流
(2)CW駆動からCCW駆動,またはCCW駆動からCW駆動になるときは,コイルのU相,V相,W相に流れる電流の向き(各二相に掛かる電圧の極性)と順序が変化してモータが逆回転する。
適切
CW駆動は,図2一395のU相→V相,V相→W相,W相→U相の周期で電流が流れ,CCW駆動は,U相→W相,W相→V相,V相→U相の周期に電流が流れる。
CW駆動
CCW駆動
すなわち,CW駆動からCCW駆動,又はCCW駆動からCW駆動になるときには,各二相に流れる電流の向き(各二相に掛かる電圧の極性)と順序が変化してモータが逆回転する。
(3)駆動速度の検出は,ホール素子などのF/Bセンサを用いて,U相,V相,W相の各相の磁束を検出して行う。
適切
マイコンの信号電圧に基づき,駆動回路でこのCWとCCWの切り替えを行い,ブラシレス・モータの回転方向と駆動力が制御される。
また,マイコンの信号電圧に基づく制御目標値を確認するために,F/Bセンサで駆動位置及び駆動速度を確認しており,F/Bセンサは,図のようにモータ部と一体に取り付けられている。
回転位置検出には,この三相交流の入力タイミングに基づき,周波数に同期して回転するロータの回転位置を検出して,マイコンにフィードバックすることで算定している。
駆動速度の検出には,ホール素子などのF/Bセンサを用いて,U相,V相,W相の各相の磁束を検出し,マイコンにフィードバックして三相交流を入力するタイミングを算定する。
(4)アクチュエータの駆動回路の異常検知は,駆動信号電圧に基づき,診断回路(シャント抵抗両端の電圧検出)によりマイコンが検出する。
適切
(d)異常検知(F/Bセンサ付き)
(ⅰ)異常検知の範囲
マイコンが異常検知する仕組みは,図に示すように回路構成上,駆動回路の診断回路とF/Bセンサ診断回路の2箇所で行っている。
図は,U相,V相,W相に関する駆動回路上の異常検知の特性図で,マイコンからの信号電圧(駆動情報)に基づき,異常作動状態を駆動回路に設けられた診断回路(シャント抵抗両端の電圧検出)によりマイコンが検出する。
マイコンは,回路正常時には,診断回路により閾値の範囲内の電圧を検出する。
また,モータのロック(シャント抵抗両端に異常電圧が掛かる。)又は断線(シャント抵抗両端にOVが掛かる。)が発生すると,マイコンは,閾値をアップ・エッジ又はダウン・エッジする作動診断信号電圧を検出して異常検知を行う。
(注)図の駆動回路の中には,過電流保護回路(カレント・リミッタ)の一部としてU相,V相,W相ごとに診断回路(シャント信号電圧回路)が設けられ,過電流の検出回路を行っているが,図の等価回路上では省略している
よって答えは(1)