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災害に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)米国のハインリッヒが発見した「1:29:300の法則」とは,死亡や重傷の災害が1件発生すると,その背後にそれと同じ原因による軽傷災害が29件,そしてけがには至らなかったが,もう少しでけがをするところだった事故が,300件も存在するというものである。
(2)災害防止の急所は,災害発生の因果関係を分かりやすく説明したハインリッヒの「五つの駒」のうち直接原因である「社会的環境の悪条件」を取り除くことである。
(3)整とんとは,必要なものを置く場所と置き方を決めておき,必要なときに使いやすい状態にしておくことである。
(4)災害防止のため,電気機器の取り扱いにおいてスイッチの開閉は,右手(心臓から遠い手)で行い,ぬれた手で操作しない。また,そのとき左手は,ほかのもの(特に金属類)に触れないようにする。
解く
(1)米国のハインリッヒが発見した「1:29:300の法則」とは,死亡や重傷の災害が1件発生すると,その背後にそれと同じ原因による軽傷災害が29件,そしてけがには至らなかったが,もう少しでけがをするところだった事故が,300件も存在するというものである。
適切
(2)災害防止の急所は,災害発生の因果関係を分かりやすく説明したハインリッヒの「五つの駒」のうち直接原因である「社会的環境の悪条件」を取り除くことである。
不適切
(3)整とんとは,必要なものを置く場所と置き方を決めておき,必要なときに使いやすい状態にしておくことである。
適切
(4)災害防止のため,電気機器の取り扱いにおいてスイッチの開閉は,右手(心臓から遠い手)で行い,ぬれた手で操作しない。また,そのとき左手は,ほかのもの(特に金属類)に触れないようにする。
適切
電気機器の取り扱い
電気機器の取り扱いの誤りや,設備の不備等が原因で電気災害は発生する。災害発生を未然に防ぐために,次の点
に注意が必要である。
①スイッチの開閉は,右手(心臓から遠い手)で行い,ぬれた手で操作しない。また,そのとぎ左手は,ほか
のもの(特に金属類)に触れないようにする。
②メイン・スイッチは,安全であることを確認して開閉する。
③作業終了時及び停電時は,スイッチを切っておく。
④スイッチ操作後、スイッチ・ボックスは,必ず閉めておく。また,スイッチ・ボックスの中や近くに物を
置かない。
⑤電気機器のコード,コンセントの絶縁状態をよく確認する。
災害防止の急所
災害発生要因を調べてみると,次の三つに分類できる。
①軽はずみ,悪ふざけ,ルール無視等の不安全行動によるもの。
②機械設備,機工具の不備や整理・整とんの不足等,不安全状態によるもの。
③地震,落雷,風水害等,不可抗力によるもの。
災害発生と不安全な状態及び不安全な行動の関係は,次の「災害発生の要因」のようになっている。
災害が発生する過程は,ハインリッヒの五つの駒が示すように,間接原因が引き金となって直接原因を導き,事故,災害へとつながっている。したがって,それそれの原因を取り除いていけば,災害は発生しないことになる。
間接原因を取り除くことは,不可能ではないが大変難しい。しかし,図のように直接原因は,一人ひとりの努力によって取り除くことができる。このことから,直接原因を取り除くことこそ,災害防止の急所といえる。
ハインリッヒの五つの駒の具体例
(第一の駒) 社会的環境の悪条件
間接原因 |
・犬や猫が夜鳴く ・テレビやラジオの音が聞こえてくる ・教育訓練が不十分である ・作業方法が標準化されていない ・職場の規律が守られていない ・気性の合わない人がいる等 |
「人的欠陥」を生み出す原因となるもの |
(第二の駒) 人的欠陥
間接原因 |
・乱暴・無精・怠慢・興奮・誤解 ・悩み・心配・疲労・睡眠不足 ・体調不良 ・いたずら気・知識や技能の不足 ・体力の不足 ・規則や指示の軽視等 |
個人の精神的、肉体的状態が悪くて、不安全行動を起こしやすくするもの |
(第三の駒) 不安全状態・行動
直接原因 |
・位置が悪い・姿勢が悪い・足場が悪い ・速度を出しすぎる・運転を誤る ・近道をする・工具を投げる・ふざける ・規則無視の行動をとる ・安全装置や防具がない ・暗い・暑苦しい・整理・整頓が悪い |
人間の行動又は物的状態が不安定である。 すなわち危険であること |
(第四の駒) 事故 |
・転ぶ・ぶつかる・打たれる ・落ちる・感電する・高熱に触れる ・異物が目に入る ・爆発する・火災になる等 |
災害につながる恐れを持った予測しない障害が起きること |
(第五の駒) 災害 |
・軽傷災害 ・重症災害 ・死亡災害 |
事故の中で人的損害を伴ったもの |
よって答えは(2)