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マニュアル・トランスミッションのクラッチの伝達トルク容量に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1) エンジンのトルクに比べて過大であると,クラッチの操作が難しい。
(2) エンジンのトルクに比べて過大であると,接続が急になりがちでエンストしやすい。
(3) エンジンのトルクに比べて過小であると,クラッチ・フェーシングの摩耗量が急増しやすい。
(4) エンジンのトルクに比べて過小であると,発熱量が小さくなる。
解く
(1) エンジンのトルクに比べて過大であると,クラッチの操作が難しい。
適切
(2) エンジンのトルクに比べて過大であると,接続が急になりがちでエンストしやすい。
適切
(3) エンジンのトルクに比べて過小であると,クラッチ・フェーシングの摩耗量が急増しやすい。
適切
(4) エンジンのトルクに比べて過小であると,発熱量が小さくなる。
不適切
◎伝達トルク容量
クラッチは、図のようにクラッチ・スプリングの力によって、クラッチ・ディスクのフェーシング部分がフライホイールとプレッシャ・プレート間に圧着されるようになっている。

このクラッチ・スプリングによる圧着力とクラッチ・フェーシングの摩擦力によって、エンジン側からトランスミッション側に動力を伝えることができるトルクの最大値がクラッチ容量、すなわち伝達トルク容量である。この容量はクラッチ・スプリングによる圧着カ及びクラッチ・フェーシングの摩擦係数、摩擦面の有効半径、摩擦面の面積に関係する。
クラッチの伝達トルク容量が、エンジンのトルクに比べて過大であると、クラッチの操作が難しく、接続が急になりがちでエンストしやすい。また、クラッチを急につないだときは、クラッチの伝達トルク容量が大きいほど動力伝達系統に発生する衝撃的負荷トルクが大きくなるため、部品保護のためにも、クラッチの伝達トルク容量はエンジンのトルクに比べて過大であることは好ましくない。
反面、クラッチの伝達トルク容量が過小であると、接続は滑らかになるが、滑りが増加して発熱量が大きくなり、クラッチ・フェーシングの摩耗量が急増しやすい。また、温度が上昇して摩擦力が低下すると、一層滑りが増えてしまう。このため、クラッチの伝達トルク容量は、エンジンの最大トルクや自動車の種類などを考慮して、一般にエンジンの最大トルクの1.2~2.5倍(これを余裕係数という。)に設定している。
自動車質量が大きいほど、エンジンの慣性モーメントが大きいほどクラッチへの負荷は大きくなるため、乗用車よりもトラックやバスの方が余裕係数が大きく、また、ガソリン車よりもジーゼル車の方が大きい。
よって答えは(4)