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自動車整備士資格試験を解く

令和7年10月実施2級ジーゼル問題20:インテグラル型パワー・ステアリング(ロータリ・バルブ式)

〔NO. 20

インテグラル型パワー・ステアリング(ロータリ・バルブ式)に関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)直進時は、スリーブとロータ間の位置関係が中立にあり、パワー・シリンダの両室に作用する油圧は等しい。

(2)操舵時は、トーション・バーのねじれ角に応じてスリーブが回転し、油路を切り替える。

(3)エンジン停止時や故障により操舵時に油圧が発生しない場合は、トーション・バーがねじれ、スタブ・シャフトのストッパが直接ウォーム・シャフトを回転させる。

(4)かじ取り感覚(ステアリング・ホイールにかかる反カ)は、トーション・バーのねじれを反力として利用することで得ている。

 

 

解く

 

(1)直進時は、スリーブとロータ間の位置関係が中立にあり、パワー・シリンダの両室に作用する油圧は等しい。

 

直進時

直進状態(操舵なし)のときは、図のように、オイル・ポンプからのフルードは、スリーブのポートからパワー・シリンダのL室及びR室に流入し、余剰なフルードは、スリーブの上段に位置するべアリングの隙間を通ってリザーブ・タンクに戻る。

このとき、スリーブとロータ間の隙間は等しい状態(中立位置)にあるため、パワー・シリンダの両室に作用する油圧は等しく、パワー・ピストンは動かない。

適切

 

(2)操舵時は、トーション・バーのねじれ角に応じてスリーブが回転し、油路を切り替える。

操舵時

ステアリング・ホイールを右に操舵すると、その操舵力は、スタブ・シャフトを介してトーション・バーからウォーム・シャフトと伝達されるが、路面抵抗がステアリング・ホイールからの操舵カより大きいときは、ウォーム・シャフトが固定された状態になり、トーション・バーのねじれ角に対応して、図のようにロータが回転する。

これにより、R室はオイル・ポンプからの油路が形成され、L室はリザープ・タンクへの油路が形成される。したがって、図のようにフルードがパワー・シリンダのR室へ流れて油圧が上昇し、パワー・ピストンは図の上側へ移動する。一方、L室のフルードは押し出されてリザープ・タンクに戻る。この結果、セクタ・シャフトを介してフロント・ホイールが右に向く。

この作動は、ステアリング・ホイールの操舵が終わって、トーション・バーのねじれ角が小さくなり、ロータとスリープ間の隙間を等しくするためのスリープの追従作動が終わるまで行われる。

なお、左操舵時の作動は、説明した右旋回時の作動の逆となる。

不適切

 

(3)エンジン停止時や故障により操舵時に油圧が発生しない場合は、トーション・バーがねじれ、スタブ・シャフトのストッパが直接ウォーム・シャフトを回転させる。

操舵力の補助がない操舵

エンジン停止時や、故障により油圧が発生しない場合は、ステアリング・ホイールを右又は左に操舵すると、トーション・バーがねじられ、図に示すストッパにより、スタブ・シャフトがウォーム・シャフトに当たり、直接ウォーム・シャフトを回転させ、パワー・ピストンを介してセクタ・シャフトを回転させることが可能となり、かじを取ることができる。

適切

 

(4)かじ取り感覚(ステアリング・ホイールにかかる反カ)は、トーション・バーのねじれを反力として利用することで得ている。

かじ取り感覚

パワー・ステアリングは軽く操舵できるので、ステアリング・ホイールに適度な手応え(反カ)が必要になる。

この手応えの感覚を得るために、パワー・ステアリングでは、トーション・バーのねじれを反力として利用しており、路面抵抗が大きいときには、トーション・バーも大きくねじれて反力が大きくなり、路面抵抗が小さいときには、ねじれ角も小さく、反力も小さく作用する。

 

適切

 

よって答えは2