〔NO. 13〕直巻式のスタータに関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
(1)スタータの出力は、2兀×トルク×スタータの回転速度の式により求められるが、スタータの性能テストの点検に当たっては、定格容量のバッテリを用いなければならない。
(2)エンジンがスタータで回されるときの回転速度は、気温が低くなるほどバッテリの容量が減少するので、低下する傾向がある。
(3)エンジンがスタータで回されるときの回転速度は、スタータの駆動トルクとエンジンの回転抵抗との関係で決まる。
(4)スタータの回転速度が上昇すると、アーマチュアに発生する逆起電力が減るので、アーマチュアに流れる電流は増加する。
解く
(1)スタータの出力は、2兀×トルク×スタータの回転速度の式により求められるが、スタータの性能テストの点検に当たっては、定格容量のバッテリを用いなければならない。
◎スタータの出力特性
スタータの出力特性は図のように,スタータに流れる電流を基準としてバッテリ電圧,回転速度,駆動トルク及び出力が示される。
スタータは図において回転速度及び出力がゼロ,トルクが120Nm,電流が1200A付近から回転を始める。
エンジンが回り始めて回転抵抗が減少すると,スタータの駆動トルクの方が大きいので回転速度は上昇するが,逆起電力が増えるのでアーマチュアに流れる電流が減少する。このためスタータの駆動トルクも減少して,ェンジンの回転抵抗と等しくなった点でエンジンを一定の回転速度で駆動する。
このような特性をもつ直巻式のスタータは,ジーゼル・エンジンのように始動時に回転抵抗が最大で,回り始めると急激に減少するものの始動に適している。
なお,スタータの出力は,次の式により求められる。
P=2πT×N


◎性能テスト
スタータの性能としては強いトルクと適正な回転速度を必要とする。しかし,これらの値は電源となリの容量によって変化するので、点検に当たっては定格容量のバッテリを用いなけれはならない。
適切
(2)エンジンがスタータで回されるときの回転速度は、気温が低くなるほどバッテリの容量が減少するので、低下する傾向がある。
エンジンの始動最低回転速度はエンジンの回転抵抗とスタータの駆動トルクが釣り合うところで決まるが.特に,低温時には回転抵抗が大きくなると共にバッテリの容量も減少するので.これらが相まって始動回転速度は低下する。この傾向は温度が低くなればなるほど大きくなる。
したがって,寒冷地では標準仕様のバッテリより容量を大きくした寒冷地仕様のものを用いて,スタータの駆動トルクを大きくして始動回転速度を高めると共に,オイルの粘度番号の小さなものを使用して回転抵抗を小さくするなどの対策が採られている。
適切
(3)エンジンがスタータで回されるときの回転速度は、スタータの駆動トルクとエンジンの回転抵抗との関係で決まる。
◎エンジンの始動特性
エンジンがスタータで回されるときの回転速度は.スタータの駆動トルクとエンジンの回転抵抗との関係で決まり,回転抵抗が増せば始動回転速度は低くなり,逆に,スタータの駆動トルクが大きくなれば始動回伝速度は高くなる。エンジンの回転抵抗は主に気温の変化によるエンジン・オイルの粘度変化によって変わり,スタータの駆動トルクはバッテリの容量により変化する。
適切
(4)スタータの回転速度が上昇すると、アーマチュアに発生する逆起電力が減るので、アーマチュアに流れる電流は増加する。
エンジンが回り始めて回転抵抗が減少すると,スタータの駆動トルクの方が大きいので回転速度は上昇するが,逆起電力が増えるのでアーマチュアに流れる電流が減少する。
よって答えは(4)