〔NO. 23〕
CVT(スチール・ベルトを用いたベルト式無段変速機)に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
(1)プライマリ・プーリの油圧室に掛かる油圧が高くなると、プライマリ・プーリに掛かるスチール・ベルトの接触半径は小さくなる。
(2)スチール・ベルトは、エレメントの伸張作用(エレメントの引っ張り)によって動力が伝達される。
(3)プーリ比が大きい(Low側)ときは、プライマリ・プーリの油圧室に掛かる油圧が低くなり、プライマリ・プーリの溝幅は広くなる。
(4) Lレンジ時は、変速領域をプーリ比の最High付近にのみ制限することで、強力な駆動力及びエンジン・ブレーキを確保する。
解く
(1)プライマリ・プーリの油圧室に掛かる油圧が高くなると、プライマリ・プーリに掛かるスチール・ベルトの接触半径は小さくなる。
不適切

(2)スチール・ベルトは、エレメントの伸張作用(エレメントの引っ張り)によって動力が伝達される。
不適切
◎スチール・ベルト
スチール・ベルトは、図に示すように、多数のエレメントと多層のスチール・リング2本で構成されている。このスチール・ベルトの特徴は、一般のゴム・ベルトなどが引っ張り作用で動力を伝達するのに対して、エレメントの圧縮作用(エレメントの押し出し)によって動力が伝達されることである。

(3)プーリ比が大きい(Low側)ときは、プライマリ・プーリの油圧室に掛かる油圧が低くなり、プライマリ・プーリの溝幅は広くなる。
適切
プーリ比が大きい(Low側)ときは、図(1)のようにプライマリ・プーリの溝幅が広いため、スチール・ベルトの接触半径は小さくなっている。逆にプーリ比が小さい(High側)ときは、図(2)のようにプライマリ・プーリの油圧室に掛かる油圧を高めて溝幅を狭くすることでスチール・ベルトの接触半径を大きくしている。これに対し、セカンダリ側はプライマリ側の作動に合わせて油圧室に掛かる油圧を制御し、スチール・ベルトの張力を制御している。

(4) Lレンジ時は、変速領域をプーリ比の最High付近にのみ制限することで、強力な駆動力及びエンジン・ブレーキを確保する。
不適切
◎変速領域
CVTは、プーリ比を変更することで変速比を自由に設定できるので、変速点は、自動車メーカによって様々に設定されている。下記に示すのはその一例である。
なお、一部の車両にはCVTでありながら、あらかじめ設定されたプーリ比により、MTのように運転者が任意に変速が行えるマニュアル・モードを設定しているものもある。
(a)Dレンジ
Dレンジ時は、図(1)のようにプーリ比の最Lowから最Highまでの変速領域で変速を行う。
(b)Lレンジ
Lレンジ時は、図(2)のように変速領域をプーリ比の最Low付近にのみ制限することで強力な駆動力及びエンジン・ブレーキを確保する。
(c)Sモード
Sモード時は、図(3)のようにプーリ比のHigh側の変速領域を制限することにより、プーリ比が全体的にDレンジより高くなり常に大きめの駆動力及びエンジン・ブレーキを発生させる。

よって答えは(3)