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令和7年10月実施2級ガソリン問題18:回転速度差感応式の差動制限型ディファレンシャル

〔No. 18〕

回転速度差感応式の差動制限型ディファレンシャルに関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)左右輪の回転速度差がない状態では、ビスカス・トルク(差動制限カ)は発生しない。

(2)インナ・プレートとアウタ・プレートの回転速度差が大きいほど、大きなビスカス・トルクが発生する。

(3)左右輪に回転速度差が生じたときは、ビスカス・カップリングの作用により、高回転側に大きな駆動力が発生する。

(4)ビスカス・カップリングには、高粘度のシリコン・オイルが充填されている。

 

 

 

 

解く

(1)左右輪の回転速度差がない状態では、ビスカス・トルク(差動制限カ)は発生しない。

適切

(2)インナ・プレートとアウタ・プレートの回転速度差が大きいほど、大きなビスカス・トルクが発生する。

適切

(3)左右輪に回転速度差が生じたときは、ビスカス・カップリングの作用により、高回転側に大きな駆動力が発生する。

不適切

(4)ビスカス・カップリングには、高粘度のシリコン・オイルが充填されている。

適切

 

 

よって答えは(3)

 

 

回転速度差感応式

ここでは、回転速度差感応式の一例として、図のような粘性式クラッチ(以下、ビスカス・カップリングという。)を用いたものについて説明する。

ビスカス・カップリングは、図に示すように内部は薄い円盤状のアウタ・プレートとインナ・プレートが交互に組み合わされ、アウタ・プレートはハウジングと、インナ・プレートはインナ・シャフトとそれぞれかん合しており、その間に高粘度のシリコン・オイルが充填されている。また、アウタ・プレート間にはスペーサ・リングを設けて隙間を一定に保つようにしている。

なお、左側のドライブ・シャフトはハウジングにかん合し、右側のドライブ・シャフトはインナ・シャフトにかん合している。

 

図は、ビスカス・カップリングの原理を示したものである。

図(1)のように、2枚のプレートに回転速度差がない状態ではビスカス・トルク(差動制限カ)が発生しないが、図(2)のように2枚のプレートに回転速度差が生じると、プレート間のシリコン・オイルに抵抗が生じる。

この抵抗力は、回転速度差に応じて増減する特性があるため、この速度差が大きいほど大きなビスカス・トルクが発生する。

図は、回転速度差とビスカス・トルクの関係を表したものである。

左側のタイヤがスリップして回転速度が速くなると、図のように、ディファレンシャルの作用によって左右輪の回転速度に差が生じる。これにより、ビスカス・カップリングのインナ・プレートとアウタ・プレートの回転速度にも差が生じて、高回転側から低回転側ビスカス・トルクが伝えられ、低回転側に大きな駆動力が発生するようになる。