〔No.1〕
コンロッド・べアリングに関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
(1)コンロッド・べアリングに要求される性質のうち耐疲労性とは、ベアリングに繰り返し荷重が加えられても、その機械的性質が変化しにくい性質をいう。
(2)アルミニウム合金メタルで、錫の含有率の低いものは、熱膨張率が大きいのでオイル・クリアランスを大きくとる必要がある。
(3)クラッシュ・ハイトが小さ過ぎると、べアリングにたわみが生じて局部的に荷重が掛かるので、ベアリングの早期疲労や破損の原因となる。
(4)トリメタル(三層メタル)は、アルミニウムに10~20%の錫を加えた合金である。
解く
(1)コンロッド・べアリングに要求される性質のうち耐疲労性とは、ベアリングに繰り返し荷重が加えられても、その機械的性質が変化しにくい性質をいう。
適切
コンロッド・べアリングに要求される性質
コンロッド・ペアリングに要求される性質としては、非焼き付き性、なじみ性、埋没性、耐食性、耐疲労性などかある。
非焼き付き性とは、べアリングとクランク・ピンとに金属接触が起きた場合にべアリングが焼き付きにくい性質をいう。
なじみ性とは、べアリングをクランク・ピンに組み付けた場合に、最初は当たりが幾分悪くても、すぐにクランク・ピンになじむ性質をいう。
埋没性とは、異物などをべアリングの面に埋め込んでしまう性質をいうしたがって、埋没性のよいべアリングは、クランク・ピンに傷を付けにい。
耐食性とは、酸などにより腐食されにくい性質をいう。
なお、エンジン・オイルは、ブローバイ・ガスなどにより酸化して酸化生成物か増加するらこれらがべアリングに付着して腐食を起こすい特に高温時に著しい。
耐疲労性とは、べアリングに繰り返し荷重が加えられても、その機械的性質が変化しにくい性質をいい、コンロッド・べアリングなどのように力の方向が変化する場合は、耐疲労性が重要である。
(2)アルミニウム合金メタルで、錫の含有率の低いものは、熱膨張率が大きいのでオイル・クリアランスを大きくとる必要がある。
不適切
アルミニウム合金メタルは、アルミニウムに10~20%のすずを加えた合金で、耐食性及ひ耐疲労性に優れ、許容温度も高く、メタルの幅も他のメタルに比べて20%ぐらい狭くなっている。
なお、すずの含有率の高いものは耐摩耗性に優れているか、熱膨張率が大きいので、オイル・クリアランスを大きくしている。また、アルミニウム合金メタルには、なじみ性及び耐食性をさらに向上させるために、アルミニウムに10%弱の鉛を加えたものもある。
近年では、摩擦抵抗の低減を図るために、クランク・ピンとの当たり面に樹脂コーティングなどを施したコンロッド・べアリングもある
(3)クラッシュ・ハイトが小さ過ぎると、べアリングにたわみが生じて局部的に荷重が掛かるので、ベアリングの早期疲労や破損の原因となる。
不適切
クラッシュ・ハイト
クラッシュ・ハイトとは、べアリングの締め代となるもので、クラッシュ・ハイトが大き過ぎると、べアリングにたわみが生じて局部的に荷重が掛かるので、べアリングの早期疲労や破損の原因となる。
逆に、クラッシュ・ハイトが小さ過ぎると、コンロッドのキャップ・ボルトを締め付けても、べアリング・ハウジングとべアリングの裏金との密着が悪くなり、熱伝導が不良となるので、焼き付きなどを起こす原因となる
(4)トリメタル(三層メタル)は、アルミニウムに10~20%の錫を加えた合金である。
不適切
トリメタル(三層メタル)はを鋼に20~30%の鉛を加えた合金(ケルメット・メタル)を鋼製裏金に焼結し、その上に鉛とすずの合金又は鉛とインジウムの合金をめつきしたもので、ケルメット・メタルの機械的強度(耐疲労性、耐衝撃性など)を生かし、その欠点であるなじみ性、埋没性の悪さなどを、鉛とすすの合金又は鉛とインジウムの合金により補ったものである。
よって答えは(1)