問題4
ここにあるチェック・ボックスは,下記の不具合が発生している自動車のエンジンECU系統の端子電圧を再現しており,その電圧を測定端子に出力しています。
次の各問に答えなさい。なお,必要事項は,台上の留意事項に示してあります。
留 意 事 項
問題4 試験は着席した状態で行うこと。
問1
① 測定は,チェック・ボックスで指定した測定端子だけで行う こと。
② チェック・ボックスの番号と,回路図内の番号は,同じです。
③ トリガーは自動でかかるため,オシロスコープ(ノートパソコン)の操作はしないこと。
④ V/DIVは10V(Ch.3は200mV),TIME/DIVは5ms,プロ ーブは×1です。
⑤ マイナス・プローブは測定端子60に接続済みです。
・オシロスコープの設定状態(波形は0V一定時のものです。)

⑥ ≪O2 センサ基準電圧波形≫

不具合の状況等
・エンジンの力がなく,大きな振動を伴っている。
・ダイアグノーシス・コードはP0301(NO.1シリンダ失火)を検出している。
・エンジンECUの電源及びアース回路は,正常なものとする。
エンジンECUデータの再現(シミュレータ)の状況
・エンジンの冷却水温:80℃
・エンジン回転数:無負荷2,000rpm
・不具合発生中(フェイルセーフ移行前)の状態を再現している。
問1
台上のオシロスコープを用いて,下表の測定端子番号の電圧波形を観測して良否を判定し,その結果について何れかを〇印で囲みなさい。なお,判定においては正常なNO.2シリンダの波形と比較すること。また,比較した測定端子番号についても記入しなさい。
O2センサについては留意事項に示す「基準電圧波形」と比較すること。

問2
問1の結果から,下表の各項目について良否を判定し,何れかを〇印で囲みなさい。

問3
問1と問2の結果から,不具合の要因となった系統を下記の三つの中から一つを選んで,番号を解答欄に記入しなさい。ただし,点火二次信号の波形は異常がなかったものとする。
1.燃料噴射系統
2.点火系統
3.O2センサ系統


問4
これまでの結果から,絞り込みを行って不具合箇所と不具合状態を,下表の記入例にならって解答欄に記入しなさい。
ただし,不具合箇所の解答は,「配線」と判断した場合には回路図上の31~47の番号の中から選んで記入し,「部品」と判断した場合には,三つの中から一つを選んで〇印で囲みなさい。
また,不具合状態の解答は,該当するものを一つ選んで〇印で囲みなさい。


背景
DTC 解説
DTC
P0300: 複数シリンダ失火
DTC P0301: No.1 シリンダ失火
DTC P0302: No.2 シリンダ失火
DTC P0303: No.3 シリンダ失火
検知原理解説

エンジン作動中において各気筒で点火が行われた際は、クランクシャフト回転速度が微小変動している。
特定、もしくは 複数の気筒で失火が発生した場合、クランクシャフトの回転速度は急激に変化する。
PGM-FI ECUはクランク センサからの 出力パルス信号を基に、クランクシャフト回転速度をモニタしている。
PGM-FI ECUは、そのクランクシャフト回転速度の 変化をモニタすることにより、失火発生回数のカウントや、失火発生気筒を判別している。
失火判定には2つのタイプがある
• タイプ1: 200回転毎の失火発生数が、触媒コンバータを焼損させるレベルに達した場合、DTCをストアし、PGM-FI警 告灯を点滅させる。失火の発生がなくなった場合、PGM-FI警告灯は点滅から点灯に変わる。
• タイプ2: 1,000回転毎の失火発生数が、排気ガスに影響を与え、触媒コンバータの焼損までには至らないレベルの場合、DTCがストアされ、PGM-FI警告灯は点灯する。



推定故障部位
・点火システムの故障
・燃料供給システムの故障
・吸気システムの故障
再現テスト手法
HDS を使用する方法
なし。
実際の代表的テスト走行による方法

1.エンジンを始動し、ラジエータファンが2回作動した後、さらに無負荷3,000rpmで2分間以上暖機運転する。
2.車速[車速]25-100km/hで3分間以上走行する。
3.車両を停止し、3分間以上アイドリングする。
フリーズデータがストアされている場合、上記テスト走行のステップ2と3の代わりにフリーズデータに近い条件でテスト走行を行うこと。
道路状況や交通状況のため、再現が難しい場合は、数回テスト走行を繰返すこと。
テスト走行を行う際は、法令遵守の上、マナーを守り周囲の状況に即した運転をすること。
DTCのストアとクリア
DTCのストア
タイプ1失火(触媒コンバータを焼損し、浄化性能の極度な低下が予想される失火)
・車両が最初のD/Cにてタイプ1失火を検知した場合、PCM-FI警告灯が点滅し、PGM-FI ECUメモリにテンボラリDTCがストアされる。この際、異常と検知された気筒に対して燃料噴射停止機能が作動する。この機能は、エンジン高回転時に失火発生気筒の燃料噴射を停止するものである。同一D/Cの運転が終了するまでPGM-FI警告灯は点滅を続け、継続して燃料噴射停止機能は作動する。
・次回のD/Cにおいても同一の不具合が検知(2連続検知)されると、失火発生気筒に対する燃料噴射停止機能の作動と共に、PGM-FI警告灯が点灯し、PGM-FIECUメモリにDTCおよびフリーズデータがストアされる。
・2D/Cに渡って同一の不具合が検知(2連続検知)された後の、次回のD/C(3D/C)以降は、PGM-FI ECUメモリのテンボラリDTCのクリア・が実行されるまでPGM-FI警告灯が点灯する。ただし、この状態において失火を検知した場合、PGM-FI警告灯は点灯から点滅に移行する。
タイプ2失火(触媒コンバータの焼損までには至らないが、浄化性能の低下が予想される失火)
・PCM-FIECUが最初のD/Cにてタイプ2失火を検知した場合、PCM-FI警告灯の点灯および点滅は行われず、PGM-FIECUメモリにテンポラリDTCがストアされる。次回以降のD/Cにおいて、同一の不具合が検知(2連続検知)されるとPGM-Fl警告灯が点灯し、DTCおよびフリーズデータがストアされる。PGM-FI警告灯は、PGM-FIECUメモリのテンポラリDTCのクリア'が実行されるまで点灯する。
***テンボラリDTCのクリア手順は別途記載
・テスト走行を行う際は、最初の失火検知のD/C、もしくは失火検知なし判定のD/Cと同一の条件下で行うこと。
・80D/C失火検知なし判定の結果、失火異常なしと判断できる。
DTCのクリア
車両が初期の故障を検知した状態に近似した条件下における連続した3D/Cの走行で故障診断を行い正常と判定した場合、PGM-FI警告灯は消灯する。また、スキャンツール(HDSを含む)のクリアコマンドの使用、もしくはバッテリ端子の取外しによりPGM-FI警告灯、テンホラリDTC、DTCおよびフリーズデータがクリアされる。

解答例1
問題4
ここにあるチェック・ボックスは,下記の不具合が発生している自動車のエンジンECU系統の端子電圧を再現しており,その電圧を測定端子に出力しています。
次の各問に答えなさい。なお,必要事項は,台上の留意事項に示してあります。
不具合の状況等
・エンジンの力がなく,大きな振動を伴っている。
・ダイアグノーシス・コードはP0301(NO.1シリンダ失火)を検出している。
・エンジンECUの電源及びアース回路は,正常なものとする。
エンジンECUデータの再現(シミュレータ)の状況
・エンジンの冷却水温:80℃
・エンジン回転数:無負荷2,000rpm
・不具合発生中(フェイルセーフ移行前)の状態を再現している。
問1
台上のオシロスコープを用いて,下表の測定端子番号の電圧波形を観測して良否を判定し,その結果について何れかを〇印で囲みなさい。なお,判定においては正常なNO.2シリンダの波形と比較すること。また,比較した測定端子番号についても記入しなさい。
O2センサについては留意事項に示す「基準電圧波形」と比較すること。

問2
問1の結果から,下表の各項目について良否を判定し,何れかを〇印で囲みなさい。

問3
問1と問2の結果から,不具合の要因となった系統を下記の三つの中から一つを選んで,番号を解答欄に記入しなさい。ただし,点火二次信号の波形は異常がなかったものとする。
1.燃料噴射系統
2.点火系統
3.O2センサ系統



問4
これまでの結果から,絞り込みを行って不具合箇所と不具合状態を,下表の記入例にならって解答欄に記入しなさい。
ただし,不具合箇所の解答は,「配線」と判断した場合には回路図上の31~47の番号の中から選んで記入し,「部品」と判断した場合には,三つの中から一つを選んで〇印で囲みなさい。
また,不具合状態の解答は,該当するものを一つ選んで〇印で囲みなさい。
