問題4
ここにあるチェック・ボックスは、下記の不具合が発生している自動車のエンジンECU系統の端子電圧を再現しており、その電圧を測定端子に出力しています。
次の各問に答えなさい。なお、必要事項は、台上の留意事項に示してあります。
不具合の状況等
・定速走行中、エンジン警告灯が点灯した。
・DTCはP0340(カムシャフト・ポジション・センサ系統)を検出していた。
・フリーズ・フレーム・データには、エンジン回転数は2,000rpmを記録していた。
・エンジンECUへの電源線及びアース線は、正常なものとする。
《エンジンの仕様》
・シリンダ数:直列4気筒
・点火順序:1ー3一4ー2
《エンジンECUデータの再現(シミュレータ)の状況》
・不具合が発生していた60msの間のデータを再現している。
・エンジン回転数:無負荷2,000rpm
・エンジンの冷却水温:80℃
問1
台上のオシロスコープを用いて、下表の31~36の測定端子とボデー・アース(測定端子60)間の電圧波形と、正常時波形の端子番号とボデー・アース間の電圧波形を比較したうえで良否を判定し、その結果について何れかを〇印で囲みなさい。


31(41)、34(44)良:CH1

33(43),36(46)良:CH1

32(42)、35(45)良:CH2

問2
問1の結果から、不具合発生の要因となる系統を判定し、下表の該当するものを〇印で囲みなさい。

問3
不具合が発生していた60msの間にクランクシャフトが何回転するかを求め、その値を整数で解答欄に記入しなさい。

1ms=1/1000S
2000rpm=2000÷60÷1000×60=2回転
ちなみに、カムは1回転

実車の回路図抜粋

留意事項
問題4 試験は着席した状態で行うこと。
①測定は、チェック・ボックスで指定した測定端子だけで行う
②チェック・ボックスの番号と、回路図内の番号は、同じです。
③トリガーは自動でかかるため、オシロスコープ(ノートパソコン)の操作はしないこと
④V/DIVは5V、TIME/DIVは5ms、プローブは×1です。
⑤マイナス・プローブは測定端子60に接続済みです。

DTC 解説
DTC 解説
DTC P0340: VTC カム センサ パルスなし

TDC センサは、パルサ ロータとロータ位置とインテーク カムシャフト タイミングを検出する半導体で構成されている。 エンジンが始動するとパルサ ロータが回転し、TDCセンサの磁束が変動する。磁束の変動はパルス信号に変換されPGM-FI ECU に送られる。TDCセンサは、各シリンダの上死点も検知する。PGM-FI ECUはTDCセンサとクランク センサからのパル ス信号によってインテーク カムシャフト ポジションを決定している。 TDC センサからのパルス信号が入力されない場合、PGM-FI ECUは故障と判定し、DTCをストアする。
検知頻度・検知順序・検知所要時間・検知手法種別・OBDステータス

750rpm÷60=12.5回転/秒
12.5×2=25回転
カムの回転数
12.5÷2=6.25回転/秒

故障判定基準
クランク センサからのパルス信号が連続300回検出される間、TDCセンサからのパルス信号が入力されない場合。
58パルス(2パルス欠落)60パルス分で1回転
300÷60=5回転
カムの回転数は5÷2=2.5回転/秒で1パルスも出ない。
推定故障部位
- PGM-FI ECU と TDC センサ間コード(TDCAMライン)の地絡
- PGM-FI ECU と TDC センサ間コード(TDCAMライン)の断線
- TDC センサコード(電源供給ライン)の断線
- TDC センサとボディ間コード(グランド ライン)の断線
- TDC センサの故障 • PGM-FI ECU 内部回路の故障



DTC のストアとクリア
DTC のストア
車両が故障と判定した場合、PGM-FI警告灯が点灯し、PGM-FI ECUメモリにテンポラリDTC、DTCおよびフリーズ データが ストアされる。
DTC のクリア
車両が連続した3D/Cの走行で故障診断を行い正常と判定した場合、PGM-FI警告灯は消灯する。また、スキャン ツール (HDS を含む)のクリア コマンドの使用、もしくはバッテリ端子の取外しによりPGM-FI警告灯、テンポラリDTC、DTCおよ びフリーズ データがクリアされる。