21.差動制限型ディファレンシャルに関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
(1)回転速度差感応式で左右輪の回転速度に差が生じると、低回転側から高回転側にビスカス・トルクが伝えられる。
(2)ヘリカル・ギヤを用いたトルク感応式では、ピニオンの歯先とディファレンシャル・ケース内周面との摩擦により差動制限力が発生する。
(3)回転速度差感応式に用いられているビスカス・カップリングは、インナ・プレートとアウタ・プレートの回転速度差が小さいほど大きなビスカス・トルクが発生する。
(4)トルク感応式のディファレンシャル・ケース内には、高粘度のシリコン・オイルが充填されている。
解く
(1)回転速度差感応式で左右輪の回転速度に差が生じると、低回転側から高回転側にビスカス・トルクが伝えられる。
左側のタイヤがスリップして回転速度が速くなると、図のように、ディファレンシャルの作用によって左右輪の回転速度に差が生じる。これにより、ビスカス・カップリングのインナ・プレートとアウタ・プレートの回転速度にも差が生じて、高回転側から低回転側にビスカス・トルクが伝えられ、低回転側に大きな駆動力が発生するようになる。

(2)ヘリカル・ギヤを用いたトルク感応式では、ピニオンの歯先とディファレンシャル・ケース内周面との摩擦により差動制限力が発生する。

差動制限力が発生する作動
差動制限力の発生は、ピニオンの歯先とディファレンシャル・ケース内周面との摩擦により行っている。
ディファレンシャル・ケースに入るトルクの大きさに応じて、図のように、ヘリカル・ギヤの特性により発生するピニオンとサイド・ギヤのかみ合い反力によってサイド・ギヤにはピニオンをディファレンシャル・ケース内周面に押し付ける力が発生する。

(3)回転速度差感応式に用いられているビスカス・カップリングは、インナ・プレートとアウタ・プレートの回転速度差が小さいほど大きなビスカス・トルクが発生する。
図は、ビスカス・カップリングの原理を示したものである。
図(1)のように、2枚のプレートに回転速度差がない状態ではビスカス・トルク(差動制限カ)が発生しないが、図(2)のように2枚のプレートに回転速度差が生じると、プレート間のシリコン・オイルに抵抗が生じる。

この抵抗力は、回転速度差に応じて増減する特性があるため、この速度差が大きいほど大きなビスカス・トルクが発生する。
図は、回転速度差とビスカス・トルクの関係を表したものである。

(4)トルク感応式のディファレンシャル・ケース内には、高粘度のシリコン・オイルが充填されている。
回転速度差感応式
ここでは、回転速度差感応式の一例として、図のような粘性式クラッチ(以下、ビスカス・カップリングという。)を用いたものについて説明する。

ビスカス・カップリングは、図に示すように内部は薄い円盤状のアウタ・プレートとインナ・プレートが交互に組み合わされ、アウタ・プレートはハウジングと、インナ・プレートはインナ・シャフトとそれぞれかん合しており、その間に高粘度のシリコン・オイルが充填されている。また、アウタ・プレート間にはスペーサ・リングを設けて隙間を一定に保つようにしている。
よって答えは(2)