37.前進4段のロックアップ機構付き電子制御式ATにおいて、「Dレンジ(オーバドライプ・スイッチON時)で4速へ変速しない」という不具合の推定原因として、適切なものは次のうちどれか。
(1)シフト・ポジション・センサの複数信号の入力
(2)スロットル・ポジション・センサの内部断線
(3)油温センサの内部短絡
(4)オーバラン・クラッチ・ソレノイド・バルブの内部断線
解く
(1)シフト・ポジション・センサの複数信号の入力
複数信号の入力時
複数の信号がECUに入力した場合は,電気的には,D>2>1の優先順の入力信号となり,4速(オーバドライブ)への変速を禁止する。ECUは表1-4のように制御する。

よって(1)は適切
(2)スロットル・ポジション・センサの内部断線
( ロ ) スロットル・ポジション・センサ
スロットル・ポジション・センサに異常が発生すると,スロットル・バルブ・スイッチのアイドル接点とフル接点のON・OFFにより表1-3のようにスロットル開度を3段階で検知し,走行できるよう制御している。変速は1~4速(オーバドライブ)まで可能だが,変速点は高くなる。また,アイドリング時以外はライン・プレッシャが最高圧となるので,変速ショックも大きくなる。

よって(2)は不適切
(3)油温センサの内部短絡
( イ ) 油温センサ
(a )断線時
断線すると,抵抗は無限大(∞Ω)となり,ECUには,極低温の信号が入力することになる。したがって,極低温時の制御に基づいてライン・プレッシャは常時最大となり,セレクト・ショック,変速ショック共に大きく,4速(オーバドライブ)への変速は禁止となる。
(b )短絡時
短絡の場合は,抵抗が0Ωとなるので,断線時とは逆に極高温の信号が入力されることになる。したがって,高温時は特別な制御はしていないので,通常の走行では影響は出ない。ただし,低温時の制御はできなくなる。
よって(3)は不適切
(4)オーバラン・クラッチ・ソレノイド・バルブの内部断線
オーバラン・クラッチ・ソレノイド・バルブ
オーバラン・クラッチ・ソレノイド・バルブに異常が発生すると,ECUは,ソレノイド・バルブをOFFにするため,オーバラン・クラッチを締結して,減速時に,常にエンジン・ブレーキが効くようになる。(ただし,D1,21は除く)なお,Dレンジ4速域になると(オーバドライブ・スイッチON時),ECUは,ライン・プレッシャを高くして,4速(オーバドライブ)にしている。
よって(4)は不適切
よって答えは(1)