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自動車整備士資格試験を解く

令和7年3月実施1級小型問題37;前進4段のロックアップ機構付き電子制御式ATにおいて、「Dレンジ(オーバドライプ・スイッチON時)で4速へ変速しない」

37.前進4段のロックアップ機構付き電子制御式ATにおいて、「Dレンジ(オーバドライプ・スイッチON時)で4速へ変速しない」という不具合の推定原因として、適切なものは次のうちどれか。

 

(1)シフト・ポジション・センサの複数信号の入力

(2)スロットル・ポジション・センサの内部断線

(3)油温センサの内部短絡

(4)オーバラン・クラッチ・ソレノイド・バルブの内部断線

 

解く

 

(1)シフト・ポジション・センサの複数信号の入力

複数信号の入力時

複数の信号がECUに入力した場合は,電気的には,D>2>1の優先順の入力信号となり,4速(オーバドライブ)への変速を禁止する。ECUは表1-4のように制御する。

よって(1)は適切

 

 

(2)スロットル・ポジション・センサの内部断線

( ロ ) スロットル・ポジション・センサ

スロットル・ポジション・センサに異常が発生すると,スロットル・バルブ・スイッチのアイドル接点とフル接点のON・OFFにより表1-3のようにスロットル開度を3段階で検知し,走行できるよう制御している。変速は1~4速(オーバドライブ)まで可能だが,変速点は高くなる。また,アイドリング時以外はライン・プレッシャが最高圧となるので,変速ショックも大きくなる。

よって(2)は不適切

 

(3)油温センサの内部短絡

( イ ) 油温センサ

(a )断線時

断線すると,抵抗は無限大(∞Ω)となり,ECUには,極低温の信号が入力することになる。したがって,極低温時の制御に基づいてライン・プレッシャは常時最大となり,セレクト・ショック,変速ショック共に大きく,4速(オーバドライブ)への変速は禁止となる。

(b )短絡時

短絡の場合は,抵抗が0Ωとなるので,断線時とは逆に極高温の信号が入力されることになる。したがって,高温時は特別な制御はしていないので,通常の走行では影響は出ない。ただし,低温時の制御はできなくなる。

 

よって(3)は不適切

 

(4)オーバラン・クラッチ・ソレノイド・バルブの内部断線

 オーバラン・クラッチ・ソレノイド・バルブ

オーバラン・クラッチ・ソレノイド・バルブに異常が発生すると,ECUは,ソレノイド・バルブをOFFにするため,オーバラン・クラッチを締結して,減速時に,常にエンジン・ブレーキが効くようになる。(ただし,D1,21は除く)なお,Dレンジ4速域になると(オーバドライブ・スイッチON時),ECUは,ライン・プレッシャを高くして,4速(オーバドライブ)にしている。

よって(4)は不適切

 

よって答えは1