32.故障診断に関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
(1)外部診断器による最大表示値が145kPaのバキューム・センサの点検において、バキューム・センサのコネクタを外し、そのハーネス側コネクタの信号線とアース線を短絡させたときに外部診断器の表示が145kPaで変化しない場合、バキューム・センサ以外の断線は考えられるが、バキューム・センサの断線は考えられない。
(2)クランク角センサ信号のダイアグノーシス・コードが出力されるときに、クランク角センサ(パルス・ジェネレータ式)信号電圧波形を、センサのコネクタとエンジンECUのコネクタを接続状態で、それそれハーネス側のコネクタで点検した結果、センサ側は正常波形で、エンジンECU側には波形が表示されない場合は、信号線又はアース線の断線が考えられ、エンジンECUの不良は考えられない。
(3)Dジェトロニック方式エンジン搭載車において、初爆はあるが完爆しないという不具合の推定原因として、バキューム・センサ、水温センサ、インジェクタの不良は考えられるが、スパーク・プラグ、プレッシャ・レギュレータの不良は考えられない。
(4)外部診断器によるCAN通信系統の点検において、CAN通信線が正常の場合は接続しているすべてのECUが表示されるが、断線によりCAN通信線に異常が発生した場合は、通信ができないECUは表示されない。
解く
(1)外部診断器による最大表示値が145kPaのバキューム・センサの点検において、バキューム・センサのコネクタを外し、そのハーネス側コネクタの信号線とアース線を短絡させたときに外部診断器の表示が145kPaで変化しない場合、バキューム・センサ以外の断線は考えられるが、バキューム・センサの断線は考えられない。

よって(1)は適切
(2)クランク角センサ信号のダイアグノーシス・コードが出力されるときに、クランク角センサ(パルス・ジェネレータ式)信号電圧波形を、センサのコネクタとエンジンECUのコネクタを接続状態で、それそれハーネス側のコネクタで点検した結果、センサ側は正常波形で、エンジンECU側には波形が表示されない場合は、信号線又はアース線の断線が考えられ、エンジンECUの不良は考えられない。

点検① 信号線の断線・絶縁点検,アース線の断線点検を行う。
点検② クランク角センサの抵抗点検を行う。

よって(2)は適切
(3)Dジェトロニック方式エンジン搭載車において、初爆はあるが完爆しないという不具合の推定原因として、バキューム・センサ、水温センサ、インジェクタの不良は考えられるが、スパーク・プラグ、プレッシャ・レギュレータの不良は考えられない。

よって(3)は不適切
(4)外部診断器によるCAN通信系統の点検において、CAN通信線が正常の場合は接続しているすべてのECUが表示されるが、断線によりCAN通信線に異常が発生した場合は、通信ができないECUは表示されない。
CAN通信系統の点検・整備
外部診断器によるCAN通信線の診断
・CAN通信線のオシロスコープなどによる点検は,高度整備技術のCAN通信の項を参照。
1)CAN通信線が正常の場合
図3-45のCAN通信線の接続が正常の場合には接続しているすべてのECUが表示される。


2) CAN通信線が断線の場合
図3-47のCAN通信線が断線して通信異常が発生した場合,図3-48のように断線により通信できなくなるECUが表示されない。(図3一48の例では,正常に対して電動パワー・ステアリングのECUが表示されない。)

よって(4)は適切
よって答えは(3)