19.プロペラ・シャフトとドライブ・シャフトに関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
(1)プロペラ・シャフトにアンバランスがあると、高回転時にその遠心力によりシャフトを振り回すことになり、シャフト1回転で1回の振動強制力が発生し、センタ・べアリングやリヤ・サスペンションのブシュなどを経由して、ボデー・パネルが振動することでこもり音が発生する。
(2)ドライブ・シャフトに用いられるダブル・オフセット型等速ジョイントは、3個のローラ、ローラにはめ合う三つの円筒溝をもつチューリップ、同一平面内に3本の軸をもつシャフトで構成され、ジョイント角が大きい場合、三次成分の振動強制力が発生する原因となる。
(3)プロペラ・シャフトに用いられるダブル・カルダン型等速ジョイントは、入力軸とカップリング・ヨークの角度によって生じる回転変動と、出力軸とカップリング・ヨークの角度によって生じる回転変動が相殺されることにより、ジョイント角による回転変動を防止させ、回転の等速性が得られるものである。
(4)ドライブ・シャフトの締め付けナットの緩みやスプライン部の摩耗は、発進時におけるハブとドライブ・シャフト間の振動(異音)の発生や、ジョイント部が滑らかに作動しないことから走行中にシミーが発生する原因となる。
解く
(1)プロペラ・シャフトにアンバランスがあると、高回転時にその遠心力によりシャフトを振り回すことになり、シャフト1回転で1回の振動強制力が発生し、センタ・べアリングやリヤ・サスペンションのブシュなどを経由して、ボデー・パネルが振動することでこもり音が発生する。
プロペラ・シャフト
プロペラ・シャフトの振動・騒音
バランス
プロペラ・シャフトにアンバランスがあると,プロペラ・シャフトの回転によって遠心力が生じて振動強制力となる。この
振動強制力は,アンバランス量に比例し,回転速度の自乗に比例して図のように大きくなるので,回転速度(車速)が高くなるのに連れて急激に増加する。このときの振動周波数は,プロペラ・シャフトの一次成分(プロペラ・シャフトの回転速度と同じ)である。プロペラ・シャフトは,軸方向に長いため,単に1箇所ですべてのバランスを取ることはできないので,2ジョイント・プロペラ・シャフトは,シャフトの前・後の2箇所で,3ジョイント・プロペラ・シャフトは,シャフトの前・中央・後の3箇所でバランス修正を行っている。


よって(1)は適切
(2)ドライブ・シャフトに用いられるダブル・オフセット型等速ジョイントは、3個のローラ、ローラにはめ合う三つの円筒溝をもつチューリップ、同一平面内に3本の軸をもつシャフトで構成され、ジョイント角が大きい場合、三次成分の振動強制力が発生する原因となる。
ダブル・オフセット型等速ジョイント
図に示す等速ジョイントは,6個のボールを保持するケース,それぞれ6本のボール溝を構成するインナ・レースとア
ウタ・レースから成っている。ジョイント角が大きい場合,六次成分の振動強制力が発生するので,ジョイント角やギヤ比の選定に工夫が施されている。

トリポード型等速ジョイント
図に示す等速ジョイントは,3個のローラ,ローラにはめ合う三つの円筒溝をもっチューリップと,同一平面内に3本
の軸をもっトリポードから構成されている。このジョイントでは,駆動軸に対して,被駆動軸がジョイント角に対応した量だけ偏心し,軸の回転角の3倍の角度だけ公転することにより等速性を保っている。スライド抵抗が小さく,スライド量が大きく取れるが,ジョイント角が大きい場合,ドライブ・シャフトの三次成分の振動強制力が発生するので,ジョイント角を小さくするように工夫が施されている。

よって(2)は不適切
(3)プロペラ・シャフトに用いられるダブル・カルダン型等速ジョイントは、入力軸とカップリング・ヨークの角度によって生じる回転変動と、出力軸とカップリング・ヨークの角度によって生じる回転変動が相殺されることにより、ジョイント角による回転変動を防止させ、回転の等速性が得られるものである。
ダブル・カルダン型等速ジョイント
ダブル・カルダン型等速ジョイントは,ジョイント角による回転変動を防止するために一部の高級車種や4WD車に多く採用されている。この等速ジョイントは,カルダン(フック)・ジョイントを2個組み合わせた図のような構造で,入力軸とカップリング・ヨークの角度によって生じる回転変動,出力軸とカップリング・ヨークの角度によって生じる回転変動が相殺されることにより,回転の等速性が得られるジョイントである。

よって(3)は適切
(4)ドライブ・シャフトの締め付けナットの緩みやスプライン部の摩耗は、発進時におけるハブとドライブ・シャフト間の振動(異音)の発生や、ジョイント部が滑らかに作動しないことから走行中にシミーが発生する原因となる。
表ドライブ・シャフトによる振動・騒音発生の主な原因
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振動強制力 |
振動伝達部位 |
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ジョイント角による、トルク変動 ドライブ・シャフトのスラスト力 ボール・ジョイント部の摩耗・がた スプライン部の摩耗・がた ドライブ・シャフト自身の損傷、変形 |
駆動系のねじり振動の共振 駆動系の曲げ共振 ドライブ・シャフトの弾性共振 エンジン・マウンティングの共振〈ばね定数の不良〉 サスペンション系の共振 ボデー、フロア、パネルの膜共振 |
発生の仕組み
①ドライブ・シャフト両端のジョイント部には、角度があり、ドライブ・シャフトが回転するとスラスト力や偶力(互いに相手を振り回そうとする力)が発生し、ドライブ・シャフトにトルク変動が発生する。図のように、このトルク変動が振動強制力となりハブ及びサスペンション・ブッシュに伝達され、車室内にこもり音となって侵入する。また、エンジンの駆動トルクがトランスミッションを経由してドライブ・シャフトからアクスル・シャフトへと伝達されるが、このときのエンジンの振動が共振するとドライブ・シャフトは大きな強制振動力となる。

② 図はドライブ・シャフトの断面であるがジョイント部のブーツ・クランプの緩みやブーツに損傷,き裂があるとブーツ内のグリースが漏れ,ジョイント内部へ水や泥が侵入し,内部が錆たり,ベアリングが摩耗してジョイント部にがたが発生し,ボデー振動の原因となる。

③ ドライブ・シャフトの締め付けナットの緩みやスプライン部の摩耗があると発進時にハブとドライブ・シャフトの間から振動(異音)が出たり,ジョイント部が滑らかに作動せず走行中にシミーが発生する場合がある。
よって(4)は適切
よって答えは(2)