13.自動車用CNG(圧縮天然ガス)及びCNG自動車に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
(1)ガソリン・エンジンをベースにしたCNG専用車では、CNG専用の各種センサ、アクチュエータ及びインジェクタ・ドライブ・ユニット等が追加装着されているため、燃料噴射、点火時期、アイドル回転速度、キャニスタ・パージの制御がガソリン・エンジンと同様である。
(2)CNGは、CH4を主成分としており、硫黄分やそのほかの不純物を含まないため、燃焼してもSOXやすすの発生が全くなく、CO2の排出量が石油より約2~3割少ない。
(3)CNG自動車のうちバイ・フューエル車では、CNGとその他の燃料を混合し、燃料として使用しており、実用例として、CNG+軽油がある。
(4)CNGは、COや鉛などの毒性物質を含んでいないため中毒の心配がなく、また、燃焼時にはSOFIS制御によりSOXやすすの発生が抑制されるため、CNG自動車には、燃料フィルタが装着されていない。
解く
(1)ガソリン・エンジンをベースにしたCNG専用車では、CNG専用の各種センサ、アクチュエータ及びインジェクタ・ドライブ・ユニット等が追加装着されているため、燃料噴射、点火時期、アイドル回転速度、キャニスタ・パージの制御がガソリン・エンジンと同様である。
制御システム
ガソリン・エンジンをベースに CNG 専用の各種センサ,アクチュエータ,燃料フィルタ及びインジェクタ・ドライブ・ユニットなどが追加装着されている。したがって,燃料噴射を始め,点火時期,アイドル回転速度などの各制御は細部で違うものの基本的にはガソリン・エンジンの制御方法とほぼ同様と言える。また,エンジン系統の点検や診断もガソリン車同様,車載故障診断システムで行える。表に主な制御項目及び制御内容とべースとなったガソリン・エンジンとの比較を示す。
表 制御システム
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制御項目 |
主な制御内容 |
比較 |
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燃遮断弁制御(ガス容器及びエンジン側) |
・エンジン回転信号などにより燃料遮断弁をON-OFFし、燃料供給を制御する。 |
◎ |
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CNG燃料噴射制御 |
・SOFIS(ソフィス)制御(注参照)及びインジェクタ・ドライブ・ユニットを採用し、燃料噴射量の最適化による排気性能、レスポンス向上を図る。 ・空燃比フィードバック制御の学習制御により、空燃比の急変時などの過渡状態においても補正を行い運転性向上を図る。 |
○ |
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点火時期制御 |
・ホールIC(素子)式クランク角センサを採用し、あらゆる運転状態に対し最適点火時期に制御する。 ・各気筒にパワー・トランジスタ内臓のイグニション・コイルを設けた電子配電システムを採用し、点火性能の向上を図る。 ・ノッキングの有無によって遅角、進角させるノック制御により、運転条件、使用燃料などに応じた最適点火時期に制御する。 |
- |
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アイドル回転速度制御 |
・ステップ・モータ式アイドル・スピード・コントロール・バルブを採用し、補助空気量を可変制御をする。 |
- |
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O2センサ・ヒータ制御(フロント及びリヤ) |
・O2センサの暖機を促進し、空燃比フィードバックの機能向上を図る。 |
○ |
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エアコン・カット制御 |
・エンジン高回転時等のエアコン・リレーをOFFし、エンジン負荷を低減する。 |
- |
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電子制御式EGR制御 |
・ステップ・モータ式電制EGRコントロール・バルブを採用し、運転状態に応じてEGR流量を可変制御する。 |
◎ |
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スワール・コントロール・バルブ制御 |
・運転条件によりスワール・コントロール・ソレノイドをON-OFF制御し、スワール・コントロール・バルブ開・閉により燃焼安定化及び出力性能の確保を図る。 |
- |
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可変バルブ・タイミング制御 |
・運転条件に応じてカム位相を油圧で制御し、インテーク・バルブの開閉時期を切り替え、低中速トルク向上、高出力化を図る。 |
- |
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ラジエータ・ファン制御 |
・車速、水温、エアコン信号などにより、ラジエータ・ファン・リレーをON-OFF制御する。 |
- |
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エンジン・A/T総合制御 |
・変速時にエンジン・トルクを低下させ、変速ショックを低減する。 |
- |
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フェイルセーフ機能 |
・システム主要構成部品系統(エア・フロー・メータ、水温センサなど)異常時の安全性確保と応急走行を可能とする。 |
○ |
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診断システム |
・故障診断容易化のため、自己診断システムの採用及び電子診断システムへの対応をする。 |
○ |
〈比較凡例〉◎:CNG専用 ○:制御内容の一部変更 -:ガソリン車と同様
注: CNG 燃料のためフューエル・ポンプ駆動制御及びキャニスタ・パージ制御はない。
(注) SOFIS (ソフィス)制御とは加速時及び減速時の空燃比の変動を抑える最適な燃料噴射制御をいう。
概要
圧縮天然ガス自動車(以下, CNG 自動車という。)は CNG 燃料を充てんした CNG ボンべ,燃料フィルタ,燃料遮断弁, CNG レギュレータ(減圧弁),及び CNG インジェクタ(ミキサ)などから構成され,一般的なエンジンと異なるところは,主に図 に示す燃料系統で, CNG ボンべに高圧で充てんされた CNG 燃料を, CNG レギュレータでインジェクタ噴射圧カまで減圧して, CNG インジェクタへ送り,減圧した CNG 燃料を電子制御で最適に制御し,各気筒の CNG インジェクタより燃焼室へ噴射させることである。


よって(1)は不適切
(2)CNGは、CH4を主成分としており、硫黄分やそのほかの不純物を含まないため、燃焼してもSOXやすすの発生が全くなく、CO2の排出量が石油より約2~3割少ない。
自動車用天然ガスの特性
(イ)クリーンなエネルギ
天然ガスは CH4 を主成分としたガスで,硫黄分,そのほか不純分を含まないため,燃焼しても SOx や,すすの発生が全くなく,地球を温暖化するといわれる CO2 (二酸化炭素)の排出量が石油より約 2 ~ 3 割少ない。
(口)高い利便性
天然ガスは空気より軽く(対空気比重 0.65 ) ,ガス体なので液体燃料のように地上に滞留せず,上方へ向かって拡散する。燃焼下限界(燃焼することのできる空気中の燃料濃度の下限)が,他の燃料に対して高く(約 4 . 5 % ) ,自然発火温度も高いため,そのほかの燃料と比べ扱い易い燃料といえる。
(ハ)高い安全性
天然ガスは CO や,鉛などの毒性物質を含んでいないため中毒の心配がない。
本来無臭のため,漏えい時の早期感知ができるよう着臭している。
よって(2)は適切
(3)CNG自動車のうちバイ・フューエル車では、CNGとその他の燃料を混合し、燃料として使用しており、実用例として、CNG+軽油がある。
( 1 )天然ガス専用車
圧縮天然ガスのみを燃料として使用するタイプで,一般的には既存のガソリン・エンジン及びジーゼル・エンジン車をべースに製造されている。
( 2 )バイ・フューエル車
1台の車両で天然ガスと他の燃料を切り替えて使用し,どちらの燃料でも走行可能なタイプ。実用例として,天然ガス⇔ガソリンがある。
( 3 )デュアル・フューエル車
天然ガスとその他の燃料を混合し,燃料として使用するタイプである。実用例として,天然ガス+軽油がある。
よって(3)は不適切
(4)CNGは、COや鉛などの毒性物質を含んでいないため中毒の心配がなく、また、燃焼時にはSOFIS制御によりSOxやすすの発生が抑制されるため、CNG自動車には、燃料フィルタが装着されていない。
CNGは、CH4を主成分としており、硫黄分やそのほかの不純物を含まないため、燃焼してもSOXやすすの発生が全くなく、CO2の排出量が石油より約2~3割少ない。
燃料フィルタ
燃料フィルタは,図 のようなもので燃料充てん時, CNG 燃料に混ざってオイルや水分が同時に充てんされてしまう場合もあるため,それら不純物を除去し清浄な CNG 燃料を CNG レギュレータへ送る役割をしている。フィルタの下部にはオイルなど不純物除去用のドレーン・プラグが設けられており,定期的に清掃したりエレメントを交換する。なお,清掃作業の目安としては年 1 回以上である。
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CNG燃料噴射制御 |
・SOFIS(ソフィス)制御及びインジェクタ・ドライブ・ユニットを採用し、燃料噴射量の最適化による排気性能、レスポンス向上を図る。 ・空燃比フィードバック制御の学習制御により、空燃比の急変時などの過渡状態においても補正を行い運転性向上を図る。 |
よって(4)は不適切
よって答えは(2)