5.CAN通信に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
(1)CAN通信の物理仕様の規格は、物理層とデータ・リンク層があり、データ・リンク層では、電気信号からデータ構成に関わるフレームへの変換、送信データの優先順位の管理、メッセージの受け渡し報告及びCANバス特性の定義を行っている。
(2)CAN通信システムの構成において、ゲート・ウェイECU(プロトコル・コンバータ:信号変換器)は、低速側と高速側の異なるデータ通信速度の変換とCANバス仕様が異なる信号規格の変換を行い、低速側と高速側の相互間の通信の信頼性を確保している。
(3)CAN通信の「メッセージ」のデータ構成の「データ・フィールド」は、送信前に一定の演算を行った結果(演算値)を表し、「アック・フィールド」は、受信の確認のための領域を表す。
(4)CANバス・ラインの断線、短絡、終端抵抗の点検は、サーキット・テスタでは通電電流が回路に影響を与えるため、必すオシロスコープを使用する。
解く
(1)CAN通信の物理仕様の規格は、物理層とデータ・リンク層があり、データ・リンク層では、電気信号からデータ構成に関わるフレームへの変換、送信データの優先順位の管理、メッセージの受け渡し報告及びCANバス特性の定義を行っている。
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CAN通信の物理仕様の規格は,データ・リンク層と物理層があり,データ・リンク層では,電気信号からデータ構成に関わるフレームへの変換,送信データの優先順位の管理,メッセージの受け渡し報告,エラーの検出や確認判定の定義を,物理層では,物理的な特性や仕様としてのbitの同期,タイミング,トランシーバ及びCANバス特性の定義を行っている。 |
よって(1)は不適切
(2)CAN通信システムの構成において、ゲート・ウェイECU(プロトコル・コンバータ:信号変換器)は、低速側と高速側の異なるデータ通信速度の変換とCANバス仕様が異なる信号規格の変換を行い、低速側と高速側の相互間の通信の信頼性を確保している。
図のゲート・ウエイ ECU (プロトコル・コンバータ:信号変換器)は,低速側と高速側の異なるデータ通信速度の変換と CAN バスの仕様が異なる信号規格の変換を行い,低速側と高速側の相互間の通信の信頼性を確保している。

よって(2)は適切
(3)CAN通信の「メッセージ」のデータ構成の「データ・フィールド」は、送信前に一定の演算を行った結果(演算値)を表し、「アック・フィールド」は、受信の確認のための領域を表す。
CAN 通信で送信されるデータ
ECU がデータを送信するときは,信号と一緒に色々 な情報を送信する。この信号を含む一連の情報を「メッセージ」と呼び, CAN バスに接続された各 ECU は,「メッセージの管理」,「メッセージの送信」,「メッセージの受信」を行う。図 2 一 441 は,データの構成例を表したもので,下記にメッセージの受け渡し内容の例を示す。

① スタート・オブ・フレーム・・・・・・メッセージの始まりを示す。
② 識別子フィールド・・・・・・・・・・複数のメッセージが同時に送信されそうになったときの優先順位を
表す。
③ コントロール・フィールド・・・・・・メッセージの信号量を表す。
④ データ・フィールド・・・・・・・・・実際の信号( 0 - 64bit )
⑤ CRC フレーム・・・・・・・・・・・・送信前に一定の演算を行った結果(演算値)を表し,信号を
表したときに受信したユニットが同じ演算を行い,メッセージ中の演算値と照
合して通信が正常に受信したかを判定する。
⑥ アック・フィールド・・・・・・・・・正常受信信号を表す。「 0(ドミナント) 」が書き込まれて送信され,正
常に受信できたときに受信したユニットが「 1(レセシブ) 」を書き込ん
で返信する。
正常受信信号を表す。「0」が書き込まれて送信され、正常に受信できたときに受信したユニットが「1」を書き込んで返信する。
⑦ エンド・オブ・フレーム・・・・・・・メッセージの終わりを表す。( 7bit の「 1 」)
⑧ インタ・フレーム・スペース・・・・・メッセージ間の区切りを表す。( 2 – 11bit の「 1 」)
バイトとは、情報量の単位のこと。1バイトは8ビット。1ビットとはコンピュータが扱う情報の最小単位であり、0か1の2種類の情報を表現することが可能である。

1バイトは、1ビット(2種類の情報)の8乗である256種類の情報を表現できる。半角英数字は1バイトで文字を表現できるため、1バイト文字と呼ばれ、漢字、ひらがな、カタカナ、記号などは2バイトで文字を表現するので、2バイト文字という。
よって(3)は不適切
(4)CANバス・ラインの断線、短絡、終端抵抗の点検は、サーキット・テスタでは通電電流が回路に影響を与えるため、必すオシロスコープを使用する。
CAN 通信システムの点検
CAN 通信システムの,点検は,アナログ通信系統の点検とは異なり, ECU 間の通信信号は,デジタル信号で行われており,電気信号(電圧の変化)に符号化(デジタル信号)されたメッセージ・データ( 8byte での組み立て)が乗せられる。

メッセージ・データの構成は,各自動車メーカによりシステムの一部が独自の仕様になっている。
これら装置に関する故障領域の点検は,使用されているアドレス,コマンド,データなどのプロトコルに対応した車載式故障診断装置で行われるようになっている。
点検・整備の対応として車載式故障診断装置には,通信異常,バス・ラインの異常の検知及び ECU の診断機能が組み込まれ, CAN 通信システムと ECU ごとにダイアグノーシスが設定されている。 CAN 通信システムにトラブルが発生した場合は,ダッシュ・ボードのメータ・パネル又はモニタ・ディスプレイなどでトラブル発生の警告を行う。
警告システムは,該当装置によって様々で,ダイアグノーシス・コードなどのリストは,該当メーカの仕様及び手順に従い,専用外部診断器の活用が必須であるが,外部診断器以外の点検は,オシロスコープを活用した CAN バス・ラインへのノイズ混入とデジタル信号波形の確認が可能である。
この信号電圧波形の確認の点検は,目安程度のものであるが経験を積むと推測の領域は深くなる。また,サーキット・テスタによる点検では,バス・ラインの断線,短絡及び終端抵抗の確認が可能である。
ここでは,はじめに簡略に整理した CAN 回路構成をもとに CAN バス信号回路の信号波形とサーキット・テスタなどによる CAN バス信号回路の点検を行い,次に高速・低速・信号交換(高 ⇔ 低)の CAN 回路構成をもとにサーキット・テスタなどによる CAN バス信号回路の点検を行う。
よって(4)は不適切
よって答えは(2)