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令和5年10月実施2級ガソリン問題9:スパーク・プラグに関する記述

9

スパーク・プラグに関する記述として,適切なものは次のうちどれか。        

 

(1) 着火ミスは,消炎作用が弱過ぎるとき又は,吸入混合気の流速が低過ぎる場合に起きやすい。       

(2) スパーク・プラグの中心電極を細くすると,飛火性が向上するとともに着火性も向上する。       

(3) 高熱価型プラグは,低熱価型プラグと比較して,火炎にさらされる部分の表面積及びガス・ポケットの容積が大きい。       

(4) 空燃比が大き過ぎる(薄過ぎる)場合は,着火ミスの発生はしないが,逆に小さ過ぎる(濃過ぎる)場合は,燃焼が円滑に行われないため,着火ミスが発生する。       

 

 

解く

(1) 着火ミスは,消炎作用が弱過ぎるとき又は,吸入混合気の流速が低過ぎる場合に起きやすい。

不適切

着火と着火ミス

スパーク・プラグの火花による混合気の燃焼は一瞬に行われるが、次のような過程で行われる。

混合気の中で火花を飛ばすと、図のように小さな火炎核ができ、この火炎核が周囲の混合気に広がり燃焼する。

このとき、火炎核が周囲に広がろうとするのを抑制しようとする作用も同時に起こる。これを電極の消炎作用とい

い、電極付近の火炎核の熱を吸収して、火炎核の成長を妨げるものである。

この消炎作用が強過ぎるとき又は、吸入混合気の流速が高過ぎる場合に着火ミスが起きやすい。

着火ミスとは、スパーク・プラグの電極に火花が飛んでいるにもかかわらず、混合気が着火せず燃焼しない現象のことである。

 

(2) スパーク・プラグの中心電極を細くすると,飛火性が向上するとともに着火性も向上する。

適切

着火性の向上

スパーク・プラグの火花によって混合気の燃焼を確実に行うためには、次のような方法をそれぞれ組み合わせて着火性の向上を図っている。

(a)スパーク・プラグのギャップを広くする

スパーク・プラグのギャップを広くすると、饱極の消炎作用が減少し、また、火花により刺激される燃

料分子の数が多くなるので、火炎核が成長しやすくなり着火性が向上する。

しかし、スパーク・プラグのギャップを広くすると要求電圧が高くなり、イグニション・コイルの性能にも限界があるので、ギャップを飛火限界以上に広くすると飛火ミスが起こる。

なお、イリジウム合金や白金合金を電極に使用したスパーク・プラグはギャップの調整が行えないため注意が必要である。

(b)中心電極を細くする

中心電極を細くすると、図のように飛火性が向上すると共に、着火性も向上する。これは、電極が細くなることにより消炎作用が小さくなり、火炎核が成長しやすくなるためである。

(c)電極に溝を設ける

図のように接地電極にV字型の溝を設けたり、中心電極の先端に十字型などの溝を設けることによって、火炎核が小さいうちに熱が吸収される部分を少なくすることができる。

そのため、それらの電極は、飛火性を損なうことなく消炎作用を抑え、火炎核の成長を助けて着火性を向上させている。

(d)中心電極の突き出し量を大きくする

碍子脚部の先端が、ハウジングより突き出した構造になっているものをプロジェクト・タイプのスパーク・プラグといい、このタイプの特長は、スパーク・ギャップの位置が燃焼室に突き出ているので、混合気中のガソリン分子にさらされる機会が多く、着火性がよいということである。

中心電極の突き出し量と空燃比による着火性の関係は、図のように突き出し量が大きいほど薄い混合気でも着火できることが分かる。

プロジェクト・タイプのスバーク・プラグの使用に際しては、中心電極が燃焼室に突き出ているため、エン

ジンによっては、バルブやピストンと干渉する場合があるので注意しなければならない。

(e)電極に白金を溶接する

中心電極と接地電極に白金を溶接して、耐久性を大幅に向上させている。また、一般スパーク・プラグに対して、中心電極の先端を細くし、飛火電圧を低くして着火性能を向上させている。

(f)中心電極にイリジウム合金を使用する

イリジウム合金は高融点・高強度の材料で、図のように中心電極に使用することで、中心電極先端の極細化が可能になる。この結果、電極部分の冷却作用を小さくでき、電極先端部に電圧が集中して電界強度を強めることで、飛火定圧負荷を低減できるため、着火性が向上する。

また、図のように接地電極に白金合金のチップを溶接して、耐久性を向上させたものもある。

(3) 高熱価型プラグは,低熱価型プラグと比較して,火炎にさらされる部分の表面積及びガス・ポケットの容積が大きい。        

不適切

高熱価型プラグと低熱価型プラグを比べてみると、図のように碍子脚部の形状(Tの長さ)が異なっている。

高熱価型プラグは、図(1)のように碍子脚部が短くなっており、火炎にさらされる部分の表面積及びガス・ポケットの容積が小さく、また、碍子脚部からハウジングに至る放熱経路が短くなっているので放熱がよく、中心電極の温度は上昇しにくい。

これに対して、低熱価型プラグは、図(3)のように碍子脚部が長く、火炎にさらされる部分の表面秋及びガス・ポケットの容積が大きく、また、放熱経路が長いので放熱が少ない。

したがって、低熱価型プラグは、中心電極の温度が上昇しやすく、高熱価型に比べて低速回転でも自己清浄温度に達しやすい。

 

(4) 空燃比が大き過ぎる(薄過ぎる)場合は,着火ミスの発生はしないが,逆に小さ過ぎる(濃過ぎる)場合は,燃焼が円滑に行われないため,着火ミスが発生する。

不適切

着火ミスには、次のような原因が考えられる。

(a)混合気が薄い、又は濃い

混合気が燃焼するためには、混合気の空燃比が適切であることが必要で、空燃比が大き過ぎても、また、逆に小さ過ぎても燃焼は円滑に行われず、着火ミスが発生する。

(b)スパーク・プラグのギャップが狭い

スパーク・プラグのギャップが狭いと、電極の消炎作用のため火炎核が成長しにくくなり、着火ミスが発生しやすくなる。

 

 

よって答えは2