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ホイールに関する記述として,適切なものは次のうちどれか。
(1) ホイールに用いられる材質のうちマグネシウムは,比重が2.7でアルミニウムより軽く,強度は鋼よりも固くて強い。
(2) アルミ・ホイールは,スチール・ホイールに比べて比較的リム幅を大きくとることができるので,リム幅の増加分がコーナリング・フォースの増大につながる。
(3) 一般的に,ホイール質量の1kgの軽量化は,ばね下荷重の20kgの軽量化に匹敵するといわれている。
(4) 大型車では,ホイール・ナット(ボルト)を締め付けたあとの初期なじみにより,ホイール・ナッ卜(ボルト)の緩みが発生することがあるため,規定トルクで締め付け後は500kmの走行を目安に増し締めをする必要がある。
解く
(1) ホイールに用いられる材質のうちマグネシウムは,比重が2.7でアルミニウムより軽く,強度は鋼よりも固くて強い。
不適切
材質による特性
ホイールの材料は、一般に鋼又は軽合金が用いられ、軽合金には、アルミニウム合金とマグネシウム合金がある。鋼板を使用したホイールを鋼製ホイール(以下、スチール・ホイールという。)、アルミニウム合金を使用したホイールをアルミニウム合金製ホイール(以下、アルミ・ホイールという。)、マグネシウム合金を使用したホイールをマグネシウム合金製ホイール(以下、マグネシウム・ホイールという。)という。
比重は、材質そのもので見た場合、マグネシウムは1.7、アルミニウムが2.7、鋼が7.9となっており、マグネシウムが最も軽い。また、強度は鋼、アルミニウム、マグネシウムの順で、軽合金よりも鋼の方が固くて強い。
(2) アルミ・ホイールは,スチール・ホイールに比べて比較的リム幅を大きくとることができるので,リム幅の増加分がコーナリング・フォースの増大につながる。
適切
軽合金ホイールの種類と特徴
(イ)アルミ・ホイール
アルミ・ホイールは、ばね下荷重の軽量化に役立ち、乗用車、大型車共に採用されている。図は、リム幅に対するコーナリング・フォースを表したものであるが、質量換算すると、アルミ・ホイールは、スチール・ホイールに比べて比較的リム幅を大きく取ることができるので、リム幅の増加分がコーナリング・フォースの増大につながる。
(3) 一般的に,ホイール質量の1kgの軽量化は,ばね下荷重の20kgの軽量化に匹敵するといわれている。
不適切
軽量化
ホイールの質量は、サスペンションのアーム類、アクスル及びタイヤと共にばね下荷重に含まれる。このため、ばね下荷重が小さいほどサスペンションの動きに対する追従性がよくなり、発生した振動を速く吸収させることで、乘り心地や運動性も向上する。一般にこれらの性能においては、ばね下荷重の1kgの軽量化は、ばね上荷重の20kgの軽量化に匹敵するといわれている。
(4) 大型車では,ホイール・ナット(ボルト)を締め付けたあとの初期なじみにより,ホイール・ナッ卜(ボルト)の緩みが発生することがあるため,規定トルクで締め付け後は500kmの走行を目安に増し締めをする必要がある。
不適切
増し締め
締め付けトルクの大きな大型車では、規定の締め付けトルクでホイール・ナット(ボルト)を締め付けたあとでも、図(1)のように、ハブとホイール、ホイール面同士、ホイールとホイール・ナットの接合面の微細な凹凸、塗料及びごみなどが、走行することで発生する振動や圧力により、つぶれや摩耗が発生し初期なじみが起こる。この初期なじみは、軸力が低下する原因となり、場合によってはホイール・ナット(ボルト)の緩みの限界を下回り、ホイール・ナット(ボルト)に緩みが発生することがある。
このため、締め付け後は50~100kmの走行を目安に増し締めする必要があり、増し締めは、図(2)のように軸力の低下幅が大きい初期なじみか起こったあとに、再度、規定トルクでホイール・ナット(ボルト)を締め付けるもので、軸力低下を小さく抑えることができる。
よって答えは(2)