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油圧式パワー・ステアリングのべーン型の定容量型オイル・ポンプに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1) 規定値以上の送油量及び送油圧力にならないように,フロー・コントロール・バルブ及びプレッシャ・リリーフ・バルブを備えている。
(2) オイル・ポンプの吐出量が規定値以上になると,オイル・ポンプからのフルードはすべてパワー ・シリンダへ送られリザーブ・タンクへの油路は遮断される。
(3) ステアリング・ホイール(ハンドル)の操舵抵抗が大きくなるとオイル・ポンプの吐出圧力(負荷)も増大するが,無制限に上昇しないように,プレッシャ・リリーフ・バルブが油圧の制御を行っている。
(4) ベーン型オイル・ポンプは,吐出圧力により軸受に掛かる荷重が平均化されるので,平衡型オイル・ポンプとも呼ばれている。
適切
(1) 規定値以上の送油量及び送油圧力にならないように,フロー・コントロール・バルブ及びプレッシャ・リリーフ・バルブを備えている。
適切
オイル・ポンプ
オイル・ポンプは、エンジンにより、直接、ベルト又はギヤで駆動される、図のようなベーン型のものが主に用いられており、規定値以上の送油量及び送油圧力にならないように、それぞれフロー・コントロール・バルブ及びプレッシャ・リリーフ・バルブが備えられている。
ここでは、ベーン型オイル・ポンプの定容量型(平衡型)について説明する。
(2) オイル・ポンプの吐出量が規定値以上になると,オイル・ポンプからのフルードはすべてパワー ・シリンダへ送られリザーブ・タンクへの油路は遮断される。
不適切
(3)フロー・コントロール・バルブ
オイル・ポンプの吐出量は、ポンプの回転速度に比例する。したがって、回転速度が上昇しても余剩流量とならないように、規定流量以上のフルードをリザーブ・タンクに逃がす役目をするのがフロー ・コントロール・バルブである。図は、流量特性の一例である。
①非作動時
吐出量が規定値以下の場合、図に示すように、A室とB室の油圧差が小さく、スプリング①のカによってフロー・コントロール・バルブは右側に押し付けられており、オイル・ポンプからのフルードは全てロータリ・バルブへ送られる。
②作動時
吐出量が多くなるとオリフィスの抵抗によりA室の油圧がB室の油圧よりも高くなっていくと共に、A室の油圧はフロー・コントロール・バルブの油路を通ってバルブの右側にも掛かるようになる。吐出量が規定値以上になるとA室の油圧がB室の油圧とスプリング①の力の合計より大きくなるため、フロー・コントロール・バルブは図のように左側に移動し、入室の余剰フルードはリザーブ・タンクへ戻され、ロータリ・バルブへの送油量は減少することになる。
(3) ステアリング・ホイール(ハンドル)の操舵抵抗が大きくなるとオイル・ポンプの吐出圧力(負荷)も増大するが,無制限に上昇しないように,プレッシャ・リリーフ・バルブが油圧の制御を行っている。
適切
プレッシャ・リリーフ・バルブ
ステアリング・ホイールの操舵抵抗が大きくなるとオイル・ポンプの吐出圧力(負荷)も増大する。ホイールが障害物やナックル・ストッパに当たった状態で更にステアリング・ホイールを回すと、圧力は無制限に上昇しようとする。プレッシャ・リリーフ・バルプは、このようなときにステアリング機構に無理なカが作用しないように、油圧を制御するものである。
①非作動時
通常のステアリング・ホイールの操舵では、油圧が規定値以上に上昇することはないので、図のように、チェック・ボールはスプリング②の力により、プレッシャ・リリーフ・バルブに密着するため、B室とリザープ・タンクへの油路は遮断されている。
②作動時
図(1)のように、据え切り時などでフロー -コントロール・バルブが作動する前にB室の油圧がスプリング②の力より大きくなると、チェック・ボールを押し開き、B室のフルードはリザーブ・タンクへ逃げるので、B室の油圧は低下し、その油圧がスプリング②の力より小さくなると、チェック・ボールは再びリリーフ・バルブを閉じる。
B室の油圧が下がると、B室の入口にはオリフィスがあるため、フルードの追従がすぐ行われないので、B室の油圧より入室の油圧が大きくなり、図(2)のように、フロー・コントロール・バルブは左側へ移動して、入室の余剩フルードはリザーブ・タンクへ戻される。すると、入室の油圧は低下し、その油圧がスプリング①の力とB室の油圧の合計より小さくなると、フロー・コントロール・バルブは右側へ移動する。
このように、3図に示す作動を繰り返しながら油圧の制御作用を行う。
(4) ベーン型オイル・ポンプは,吐出圧力により軸受に掛かる荷重が平均化されるので,平衡型オイル・ポンプとも呼ばれている。
適切
ベーン型の定容量型(平衡型)オイル・ポンプは、図に示すように、ロータが回転するとロータの溝に組み込まれているベーンが、遠心力により飛び出してカム・リングの内面に沿って回転し、そのロータ、ベーン及びカム・リングで構成する容積の変化により吸入・吐出作用が行われる。
吸入口、吐出口は図に示すように、回転軸に対して対称位置にそれぞれ2箇所設けてあり、1回転当たり2回分のポンプ作用を行うため、吐出圧力により軸受に掛かる荷重が、平均化されるので、平衡型オイル・ポンプとも呼ばれている。
よって答えは(2)