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エンジンのバルブ開閉機構に用いられているバルブ・スプリングに関する次の文章の(イ)と(ロ)に当てはまるものとして,下の組み合わせのうち,適切なものはどれか。
バルブ・スプリングのうち,複式のスプリングは,ばね定数が(イ)内側(インナ)と外側(アウタ)の二つのスプリングを用いて,内側と外側のスプリングの巻き方向は(ロ)なっているのが一般的である。
(1) (イ)異なる (ロ)逆に
(2) (イ)同じ (ロ)逆に
(3) (イ)異なる (ロ)同じと
(4) (イ)同じ (ロ)同じと
よって答えは(1)
(参考)
バルブ・スプリング
バルブ・スプリングは,バルブをカムの運動に従い迅速確実に閉じるばね力が要求される。
また,回転速度に応じて伸縮が繰り返されるので,耐疲労性,強じん性なども要求されるため,材料は,その性質によりシリコン,マンガン,クロム,バナジウムなどを数種類の組み合わせで添加した特殊鋼,いわゆる,耐熱ばね鋼が用いられている。
バルブ・スプリングは,作動時の荷重が往復運動部分に働く慣性カより高くないと,正確なバルプ開閉ができない。この作動時荷重が往復運動部分に働く慣性カより低くなると,バルブがカムから離れたり,バルブ・シートに着座するときに踊ったりする。バルブ・スプリングの一端を急に圧縮すると,スプリングの各コイルは圧縮されたその端から順次圧縮されていき,それが他端で反射され,一定の周期でコイルを往復する圧縮波になる。この周期とカムによるバルブの開閉速度の周期が同調すると,バルブ・スプリングが共振を起こして異常な振動をする。この現象をサージングといい,高速回転時に起きやすい。サージングが起きるとバルプが踊ったり,ときには破損することもあるので,これを防止するためにばねの固有振動数を変えて共振を防ぐ,複式のスプリングや不等ピッチのスプリングが用いられている。
図(1)は,ばね定数の異なる内外(インナ及びアウタ)二つのスプリングを設けた複式スプリングで,外側と内側のスプリングの巻き方向が逆になっているのが一般的である。これはスプリング同士のかみ込みを防ぐためと座りを安定させるためである。また,図(2)の不等ピッチ・スプリングは,質量の大きいピッチの狭い方をシリンダ・ヘッド側に向けて組み付ける。