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令和5年10月実施2級ジーゼル問題4:ジーゼル・エンジンに用いられているピストン及びピストン・リング

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ジーゼル・エンジンに用いられているピストン及びピストン・リングに関する記述として,適切なものは次のうちどれか。        

 

(1) インナ・カット型のピストン・リングは,燃焼ガス圧力が加わるとシリンダ壁面に全面で接触するが,圧力が加わらないときは,ピストンと線接触する。        

(2) ピストン・リングに起こる異常現象のうちスカッフ現象とは,カーボンやスラッジ(燃焼生成物)が固まってリングが動かなくなることをいう。        

(3) ピストン・スカート部にグラファイトや二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を含むクロムめっきを施すのは,耐焼き付き性の向上やフリクション低減のためである。        

(4) ターボ・チャージャを装着したエンジンでは,アルミニウムを鋳造したピストンを用いて耐久性を確保している。        

 

解く

 

(1) インナ・カット型のピストン・リングは,燃焼ガス圧力が加わるとシリンダ壁面に全面で接触するが,圧力が加わらないときは,ピストンと線接触する。

適切

インナ・カット型

インナ・カット型は,燃焼ガス圧力が加わると,図(1)のようにシリンダ壁面に全面で接触するが,圧力が加わらないときは,図(2)のようにリングの上下端のa,b部で,ピストンと線接触,オイルがリング背面を通って上昇するのを防ぐ。また,リング下端のc部は,テーパ・フェース型と同じようにシリンダ壁面に線接触して,オイルをかき落とす作用もしている。

なお,このリングは,一般にセカンド・リング及びサード・リングに用いられている。

 

(2) ピストン・リングに起こる異常現象のうちスカッフ現象とは,カーボンやスラッジ(燃焼生成物)が固まってリングが動かなくなることをいう。

不適切

ピストン・リングに起こる異常現象

ピストン・リングは,ピストンと同様,高温・高圧の燃焼ガスにさらされ,また,高速でシリンダ内の往復運動を行うため,種々の力を受けて次のような現象を起こす。

(a)スカッフ現象

スカッフ現象とは,シリンダ壁面の油膜が切れてリングとシリンダ壁面が直接接触しリングやシリンダの表面に引っかき傷ができることをいい.この現象は,オイルの不良や過度の荷重が加わったとき,あるいは,オーバヒートした場合などに起こりやすい。

(b)スティック現象

スティック現象とは,カーボンやスラッジ(燃焼生成物)が固まってリングが動かなくなることをいい,その結果,気密性や油かき性能が悪くなり,オイル上がりや出力低下を起こす。

(c)フラッタ現象

フラッタ現象とは,ピストン・リングがリング溝と密着せずにバタバタと浮き上がる現象をいい,ピストン・リング,ピストン及びシリンダ壁面との気密が損なわれ,ピストン・リングの上下面に作用する圧縮圧力によるカよりピストン・リングの慣性力が上回ると発生する。コンプレッション・リングやシリンダ壁面が摩耗した場合に起こりやすく,この現象は,ピストン・リングの拡張力が小さいほど,ピストン・リング幅が厚いほど,また,ピストン速度が速いほど起こりやすい。

したがって,この現象が起きた場合には,ピストン・リングの機能が損なわれ,ガス漏れによるエンジン出力の低下,オイル消費量の増大,リング溝やリング上下面の異常摩耗などが促進される。

なお,正常な場合のコンプレッション・リングは,リング固有の拡張力とリング内周面に働く燃焼ガス圧力によって,シリンダ壁面に強く押し付けられている。

 

 

(3) ピストン・スカート部にグラファイトや二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を含むクロムめっきを施すのは,耐焼き付き性の向上やフリクション低減のためである。        

不適切

耐焼き付き性の向上やフリクション低減のため,スカート部にグラファイトや二硫化モリプデンなどの固体潤滑剤を含む樹脂コーティングを施したものもある。

 

(4) ターボ・チャージャを装着したエンジンでは,アルミニウムを鋳造したピストンを用いて耐久性を確保している。        

不適切

ピストン

ピストンは高温、高圧のもとで往復運動を行うもので,乗用車などの小型エンジンには,熱伝導性,耐摩耗性に優れ,熱膨張係数が小さく,軽量であるアルミニウム合金が用いられている。

アルミニウム合金ピストンは,シリコンの含有量の多いものを高けい素アルミニウム合金ピストン,これより含有量が少ないものをローエックス・ピストンと呼んでいる。

なお,トラックやバスなどの大型車のエンジンでは,ターボ・チャージャによる高過給などによりシリンダ内の燃焼圧力が高いため,鋳鉄製や鋼を鍛造したピストンを用いて耐久性を確保している。

 

よって答えは1