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合成樹脂と複合材に関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
(1)熱硬化性樹脂は、加熱すると硬くなり、急冷すると軟化する樹脂である。
(2)熱可塑性樹脂は、加熱すると軟らかくなり、冷えると硬くなる樹脂である。
(3)FRP(繊維強化樹脂)のうち、GFRP(ガラス繊維強化樹脂)は、不飽和ポリエステルをマット状のガラス繊維に含浸させて成形したものである。
(4)FRM(繊維強化金属)は、繊維と金属を結合成形させたもので、強度を向上させるために繊維には炭素繊維などが用いられている。
解く
(1)熱硬化性樹脂は、加熱すると硬くなり、急冷すると軟化する樹脂である。
不適切
(2)熱可塑性樹脂は、加熱すると軟らかくなり、冷えると硬くなる樹脂である。
適切
(3)FRP(繊維強化樹脂)のうち、GFRP(ガラス繊維強化樹脂)は、不飽和ポリエステルをマット状のガラス繊維に含浸させて成形したものである。
適切
(4)FRM(繊維強化金属)は、繊維と金属を結合成形させたもので、強度を向上させるために繊維には炭素繊維などが用いられている。
適切
よって答えは(1)
合成樹脂と複合材
(1)合成樹脂
合成樹脂(プラスチック)(注参照)には、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とがある。いずれも軽量で加工しやすく耐食性があるが、金属に比べ機械的性質が劣っている。
熱硬化性樹脂は、加熱すると硬くなり、再び軟化しない樹脂で、種類として、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタンなどがある。
熱可塑性樹脂は、加熱すると軟らかくなり、冷えると硬くなる樹脂で、種類として、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、ABS樹脂、ポリアミド(ナイロン)などがある。
(注)合成樹脂は、一般にプラスチックと呼ばれるが、プラスチックとは”可塑性がある”を意味する言葉である。
図に示す部品は、合成樹脂の用途の一例である。
(2)複合材
複合材は、合成樹脂と繊維、あるいは繊維と金属を結合成形させて、軽量化と共に強化を図ったもので、種類としてFRP(繊維強化樹脂)、FRM(繊維強化金属)などがある。
FRPのうち、不飽和ポリエステルをマット状のガラス繊維に含浸させて成形したものが、GFRP(ガラス繊維強化樹脂)と呼ばれ、剛性、耐久性などに優れているので、軽量化を目的として、ボデー外板などに使用されている。
FRMは、剛性、耐熱性、耐摩耗性などを向上させて軽量化を図ったもので、強度を向上させるために繊維には炭素繊維などが、金属にはアルミにウムなどが用いられている。部品の用途はピストンやコンロッドの一部に使用されている。