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自動車整備士資格試験を解く

令和6年10月実施2級ジーゼル問題25:補助ブレーキ

25

補助ブレーキに関する記述として、適切なものは次のうちどれか。

 

(1)エンジン・リターダは、ピストンが圧縮上死点付近になると、油圧でエキゾースト・バルブを開き、次の膨張行程において、ピストンを押し下げようとする圧縮圧力を逃がすことで、エンジン・ブレーキ力を高めている。

(2)エキゾースト・ブレーキの制動効果は、エキゾースト・パイプ内の圧力を高くするほど増大するが、エキゾースト・バルブのバルブ・スプリングの強さは関係しない。

(3)電磁式リターダ(エディ・カレント・リターダ)は、粘性のある流体を循環させて発生する流動抵抗を用いて車両を減速させている。

(4)電磁式リターダは、エンジンやアクスル・シャフトなどに取り付けられている。

 

解く

(1)エンジン・リターダは、ピストンが圧縮上死点付近になると、油圧でエキゾースト・バルブを開き、次の膨張行程において、ピストンを押し下げようとする圧縮圧力を逃がすことで、エンジン・ブレーキ力を高めている。

適切

エンジン・リターダ

エンジン・リターダは、エンジン・ブレーキの力を増大させるためのもので、一般に図のようにエンジン・リターダ本体、ブレーキ用ロッカ・アーム、ブレーキ・カム、マグネティック・バルブ及びそれらを制御するエンジンECUなどで構成されている。

エンジンECUからの指示によりエンジンの圧縮上死点付近でエキゾースト・バルブを開き、次の膨張行程においてピストンを押し下げようとする圧縮圧力を逃がすことで、結果的にピストンを下降させるために必要なエネルギを増加させ、エンジン・ブレーキの力を高めている。

エンジン・リターダを作動させると、図のようにエンジンECUからの信号でマグネティック・バルブが開き、エンジン・オイルが通路Bを通ってエンジン・リターダ内部のコントロール・バルブ及ひコントロール・バルプに内蔵されたチェック・バルプを押し上げ、通路Aを通りマスタ・ピストン及びスレーブ・ピストンに供給される。このため、マスタ・ピストンが油圧により、ブレーキ用ロッカ・アームとブレーキ・カムが接触するまで押し下げられる。この状態でピストンが圧縮上死点付近になるとプレーキ・カムのカム山によりブレーキ用ロッカ・アーム及びマスタ・ピストンが押し上げられるため、通路Aのオイルが押し戻される。この押し戻されたオイルの油圧によりチェック・バルブが閉じるため、圧縮されたオイルがスレーブ・ピストンを押し下げることでエキゾースト・ロッカ・アームを介してエキゾースト・バルブを開く。これにより、シリンダ内で圧縮された吸入空気が逃げ、膨張行程でのピストンを押し下げようとする力が発生しなくなることで、エンジン・ブレーキ力が高められる。

なお、可変容量式ターボ・チャージャを用いた車両では、エンジン・リターダを作動させると共にターボ・チャージャの可変ノズルを絞ることで排気抵抗を増大させ、更に強力なエンジン・ブレーキ力を発生させるようにしたものがある。

 

 

(2)エキゾースト・ブレーキの制動効果は、エキゾースト・パイプ内の圧力を高くするほど増大するが、エキゾースト・バルブのバルブ・スプリングの強さは関係しない。

不適切

エキゾースト・ブレーキの制動効果は、エキゾースト・パイプ内の圧力を高くするほど増大するが、ある程度、圧力が高くなると今度は吸入行程にある他のシリンダのエキゾースト・バルブを押し開けて、そのシリンダ内にエアが逆流するようになる。したがってエキゾースト・バルブのバルブ・スプリングの強さがエキゾースト・パイプ内の圧力、すなわち制動効果を決定することになる。

 

(3)電磁式リターダ(エディ・カレント・リターダ)は、粘性のある流体を循環させて発生する流動抵抗を用いて車両を減速させている。

不適切

流体式リターダ

流体式リターダは、一般に図のようにリターダ・スイッチ、リターダECU、エア・バルブ、リターダ本体、油温センサ及び水温センサなどで構成されており、ステータはリターダ本体に固定され回転できないようになっている。ロータはリターダのシャフトを介しプロべラ・シャフトに接続され、共に回転するようになっており、ロータとステータ間にエンジン・オイルなどの粘性のある流体を循環させることで発生する流動抵抗を用いて車両を減速させる構造になっている。

リターダ・スイッチをONにすると、リターダECUが、その操作と運転状態(プロペラ・シャフトの速度)に応じてエア・バルブを駆動することで、適切な制御エア圧がオイル・タンクに送られる。その制御エア圧により、ロータとステータで形成される作動室にエンジン・オイルなどの作動油が送られ、作動室に送られたオイルはロータが回転することによって加速されステータに送られる。しかしながら、ステータはリターダ本体に固定され回転できない構造のため、オイルはステータ内で減速されて再びロータに戻

り口一タを減速させる。このようにして、オイルの流れがロータとステータ間を循環することにより、ロータが減速され結果的に車両を制動する。また、リターダの制動によって車両の運動エネルギが熱エネルギに変換されオイルの温度が上昇するため、作動室のオイルの一部をロータのポンプ作用によってオイル・クーラへ送出し、エンジン冷却水で冷却している。

 

 

(4)電磁式リターダは、エンジンやアクスル・シャフトなどに取り付けられている。

不適切

電磁式リターダ(エディ・カレント・リターダ)

電磁式リターダは、磁気の力を利用して車両を減速させる装置で、リターダ本体は、一般に、図のようにトランスミッションやプロペラ・シャフトなどの動力伝達装置に取り付けられ、制動力を発生させるリターダ・ドラム、磁界を発生させるコイル、ポールなどで構成され、フート・ブレーキの補助として、エンジン・ブレーキ、エキゾースト・ブレーキと共に走行中の車両を減速させる装置である。

よって答えは1