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大型トラック・バスの車輪に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
(1)JIS方式における車輪の取り付け時のセンタリングは、ホイール球面座で行い、ホイール・ナットのねじ方向は左右輪とも右ねじである。
(2)ホイール・ナット(ボルト)は、規定トルクで締め付け後に500km~1,000kmの走行を目安に、増し締めする必要がある。
(3)ISO方式における車輪の取り付け方式は、ホイール・ナット(ボルト)のねじ部及びナットの座金(ワッシャ)とナットとの隙間に二硫化モリプデン入りのオイルやグリースを塗布する。
(4)大型トラック・バスの車輪の取り付け方式は、ISO方式とJIS方式の2種類がある。
解く
(1)JIS方式における車輪の取り付け時のセンタリングは、ホイール球面座で行い、ホイール・ナットのねじ方向は左右輪とも右ねじである。
不適切
(2)ホイール・ナット(ボルト)は、規定トルクで締め付け後に500km~1,000kmの走行を目安に、増し締めする必要がある。
不適切
増し締め
締め付けトルクの大きな大型車では、規定の締め付けトルクでホイール・ナット(ボルト)を締め付けたあとでも、図(1)のように、ハブとホイール、ホイール面同士、ホイールとホイール・ナットの接合面の微細な凹凸、塗料及びごみなどが、走行することで発生する振動や圧力により、つぶれや摩耗が発生し初期なじみが起こる。この初期なじみは、軸力が低下する原因となり、場合によってはホイール・ナット(ボルト)の緩みの限界を下回り、ホイール・ナット(ボルト)に緩みが発生することがある。
このため、締め付け後は50~100kmの走行を目安に増し締めする必要があり、増し締めは、図(2)のように軸力の低下幅が大きい初期なじみか起こったあとに、再度、規定トルクでホイール・ナット(ボルト)を締め付けるもので、軸力低下を小さく抑えることができる。
(3)ISO方式における車輪の取り付け方式は、ホイール・ナット(ボルト)のねじ部及びナットの座金(ワッシャ)とナットとの隙間に二硫化モリプデン入りのオイルやグリースを塗布する。
不適切
ホイール・ナット(ボルト)への潤滑剤の塗布
潤滑剤の塗布は、締め付けトルクの大きな大型車のみに指定されているもので、軸力がねじ部や滑り面の摩擦によって変化してしまうことから必要となるものである。
ISO方式の場合には、図(1)のようにホイール・ナット(ボルト)のねじ部及びナットの座金(ワッシャ)とナットとの隙間にエンジン・オイルなどの潤滑剤を薄く塗布する。ただし、座金とホイールとの当たり面に潤滑剤を塗布すると、座金が回転してホイールの摩滅の原因となるので塗布してはならない。
JIS方式の場合には、図(2)のようにホイール・ボルト、インナ・ナット、アウタ・ナットのねじ部及び座面部にエンジン・オイルなどの潤滑剤を薄く塗布する。
なお、両方式共に潤滑剤に二硫化モリプデン入りのオイルやグリースを用いると、締め付け力が過大となり、ホイール・ボルトの折損の原因となるので絶対に使用しないこと。
(4)大型トラック・バスの車輪の取り付け方式は、ISO方式とJIS方式の2種類がある。
適切
よって答えは(4)
参考
大型トラック・バスの車輪の取り扱い
取り付け方法の違いによる注意点
大型トラック・バスの車輪の取り付け方法は、表のようにISO方式(平面座)とJIS方式(球面座)の2種類があり、各々、取り付け方法などが大きく異なるので注意が必要である。