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タイヤの転がり抵抗に関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
(1)偏平率が小さいほど、タイヤの変形が小さいので、転がり抵抗係数は小さくなる。
(2)スタンディング・ウェーブが発生した場合は、転がり抵抗係数が急激に小さくなる。
(3)平たんな路面においては、自動車総質量が増えるほど大きくなる。
(4)タイヤの転がり抵抗係数は、路面の僅かな変形や路面からの衝撃などにより異なる。
解く
(1)偏平率が小さいほど、タイヤの変形が小さいので、転がり抵抗係数は小さくなる。
適切
偏平比の影響(図参照)
偏平化によっても,転動時のタイヤの変形は小さくなる。
(2)スタンディング・ウェーブが発生した場合は、転がり抵抗係数が急激に小さくなる。
不適切
(2)スタンディング・ウェーブ(standingwave)
タイヤが回転すると,回転周期に合わせ変形と復元が繰り返される。これが高速回転になると,接地面で受けた変形の回復が遅れ図に示すように,接地面から回転の円周方向に沿って波打ち変形が発生する。この波打ち現象をスタンティング・ウエーブという。
スタンディング・ウエーブはこのような原理によって発生するため,タイヤ空気圧の低下(弾性力の低下により変形の回復が遅くなる)によって発生しやすくなる。
スタンディング・ウエーブが発生すると,転がり抵抗が急増し,この結果タイヤの内部温度が上昇して,バーストなどにいたる場合もある。
スタンディング・ウェーブを防止するためには,速度に見合ったタイヤを選定することはもちろんであるが,タイヤの空気圧を標準空気圧より20~30kPa高くすることも有効である。
(3)平たんな路面においては、自動車総質量が増えるほど大きくなる。
適切
自動車総質量増える=タイヤの変形量増える
(4)タイヤの転がり抵抗係数は、路面の僅かな変形や路面からの衝撃などにより異なる。
適切
路面の僅かな変形や路面からの衝撃=タイヤの変形量増える
タイヤの転がり抵抗
タイヤの転がり抵抗は、分類すると次のとおりである。
タイヤの変形による抵抗
タイヤは、回転するごとに路面により圧縮され、再び原形に戻ることを繰り返す。タイヤを構成するゴムやコードが完全な弾性体であれば、圧縮に要したエネルギは原形に戻るときに完全に放出されるが、実際は弾力として放出されるエネルギは一部分である。これがタイヤの変形による抵抗の原因であり、この抵抗は、一般にタイヤの転がり抵抗の中で最も大きく、路面の状況、速度及びタイヤの種類、構造、エア圧などの影響を受ける。
(ロ)タイヤと路面との摩擦による抵抗
タイヤは、路面との接触部で滑りを生じるため、摩擦による抵抗が発生する。この抵抗は、タイヤの転がり抵抗のうち、一般に5~10%程度であるが、路面の状況やタイヤの構造、トレッド・パターンなどの影響を受ける。
(ハ)タイヤの半径に伴う空気抵抗
タイヤは、回転するごとに空気の抵抗を受ける。この抵抗は、一般にタイヤの転がり抵抗の中で最も小さい。
よって答えは(2)