32
自動車の材料に用いられる鉄鋼に関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
(1)普通鋳鉄は、破断面がねずみ色で、フライホイールやブレーキ・ドラムなどに使用されている。
(2)普通鋼(炭素鋼)は、硬鋼と軟鋼に分類され、硬鋼は軟鋼より炭素を含む量が少ない。
(3)球状黒鉛鋳鉄は、普通鋳鉄に含まれる黒鉛を球状化させるために、マグネシウムなどの金属を少量加えて、強度や耐摩耗性などを向上させたものである。
(4)合金鋳鉄は、普通鋳鉄にクロム、モリブデン、ニッケルなどの金属を一種類又は数種類加えたもので、カムシャフトやシリンダ・ライナなどに使用されている。
解く
(1)普通鋳鉄は、破断面がねずみ色で、フライホイールやブレーキ・ドラムなどに使用されている。
適切
(2)普通鋼(炭素鋼)は、硬鋼と軟鋼に分類され、硬鋼は軟鋼より炭素を含む量が少ない。
不適切
2)鋼
鋼は、普通鋼と特殊鋼に分類され、それぞれ各種の圧延鋼材などが作られる。
普通鋼は、一般に炭素鋼と呼ばれ、軟鋼と硬鋼に分類される。
軟鋼は硬鋼より炭素を含む量が少ないため、軟らかくて粘り強く、延性(細く引き延ばすことができる性質)及び展性(薄く広げることができる性質)に優れており、硬鋼は軟鋼より硬くて強い反面、延性及び展性は劣っている。
特殊鋼は、合金鋼とも呼ばれ、炭素鋼にニッケル、クロム、モリプデンなどの金属を一種類又は数種類加えた合金で、強度、耐熱性、耐食性などに優れている。
鋼を製品の形状で分類すると、鋼板、鋼管、条鋼(棒鋼など)などに分けられる。
鋼板には、熱間圧延鋼板と冷間圧延鋼板がある。
熱間圧延鋼板は、鋼材を熱した状態で圧延したもので、図(1)のフレーム、ディスク・ホイールなどに使用される。
冷間圧延鋼板は、熱間圧延鋼板を史に常温で圧延し薄板にしたものである。これらは、表面が平滑で強度が高くなる一方、伸びが減少するため、通常は圧延後に焼きなまし処理などを行い、伸び特性を向上させている。また、図(2)に示したボデーなどは、軽量化(薄板化)のためにマンガンなどを少量添加して、引っ張り強度を向上させている。これを高張カ鋼板という。
なお、鋼板は、そのままの状態で使用すると、やがて表面が酸化、腐食するので、表面を亜鉛や錫などでめっきしている。これを表面処理鋼板という。
(3)球状黒鉛鋳鉄は、普通鋳鉄に含まれる黒鉛を球状化させるために、マグネシウムなどの金属を少量加えて、強度や耐摩耗性などを向上させたものである。
適切
(4)合金鋳鉄は、普通鋳鉄にクロム、モリブデン、ニッケルなどの金属を一種類又は数種類加えたもので、カムシャフトやシリンダ・ライナなどに使用されている。
適切
鋳鉄
鋳鉄は、比較的低い温度で溶け、そのときの流動性に優れているので、鋳物を作るのに適している。
また、鋳鉄は鋼に比べて耐摩耗性に優れているが、一般に衝撃に弱い。
鋳鉄には、普通鋳鉄や特殊鋳鉄などがある。
普通鋳鉄は、破断面がねずみ色で、図の部品などに使用されている。
特殊鋳鉄は、球状黒鉛鋳鉄や合金鋳鉄などに分類され、用途例としては図の部品などに使用されている。
球状黒鉛鋳鉄は、普通鋳鉄に含まれる黒鉛を球状化させるためにマグネシウムなどの金属を少量加えて強度や耐摩耗性などを向上させたものである。
合金鋳鉄は、普通鋳鉄にクロム、モリプデン、ニッケルなどの金属を一種類又は数種類加えて強度や耐摩耗性などを向上させたものである。
よって答えは(2)