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エアコンに関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
(1)エキスパンション・バルブは、エバポレータ内における冷媒の液化状態に応じて噴射する冷媒の量を調節する。
(2)サブクール式のコンデンサでは、レシーバ部でガス状冷媒と液状冷媒に分離して、液状冷媒をサブクール部に送り、更に冷却することで冷房性能の向上を図っている。
(3)リヒート方式では、ヒータ・コアに流れるエンジン冷却水の流量をウォータ・バルブによって変化させることで、吹き出し温度の調整を行う。
(4)ハイブリッド自動車や電気自動車(EV)などに用いられている電動式コンプレッサは、一般にスクロール式が採用されている。
解く
(1)エキスパンション・バルブは、エバポレータ内における冷媒の液化状態に応じて噴射する冷媒の量を調節する。
不適切
エキスパンション・バルブ及びエバポレータ
エキスパンション・バルプは、図のようなもので、次に示す二つの働きをする。
・レシーバを通ってきた高温・高圧の液状冷媒を、細孔から噴射させることにより、急激に膨張させて、低温・低圧の霧状の冷媒にする。
・エバポレータ内における冷媒の気化状態に応じて噴射する冷媒の量を調節する。
エバポレータは、霧状の冷媒が内部で気化することにより、通過する空気から熱を奪う働きをするため、エバポレータの能力を十分に発揮するには、霧状の冷
媒が周囲の熱を奪って、常にエバポレータ出口で気化が完了するような状態に保たなければならない。そのため、室内温度(冷房負荷)の変動及びコンプレッサ回
転速度の変動に応じて冷媒量を自動的に調節している。
(2)サブクール式のコンデンサでは、レシーバ部でガス状冷媒と液状冷媒に分離して、液状冷媒をサブクール部に送り、更に冷却することで冷房性能の向上を図っている。
適切
また、冷房性能の向上を図るために、図に示した従来からある冷凍サイクルにおいて別々に設置していたレシーバとコンデンサを一体化させ、レシーバのあとにサブクール部を設けたものがある。
このコンデンサは、一般にサブクール式と呼ばれ、図のようにコンデンサ部(凝縮部)、レシーバ部(気液分離部)、サブクール部(過冷却部)で構成されており、冷媒はコンデンサ部、レシーバ部、サブクール部の順に通過し、コンデンサ部で一部が液化された後に、レシーバ部でガス状冷媒と液状冷媒に分離され、液状冷媒がサプクール部に送られる。サブクール部で液状冷媒を更に冷却することで冷房性能の向上を図っている。
(3)リヒート方式では、ヒータ・コアに流れるエンジン冷却水の流量をウォータ・バルブによって変化させることで、吹き出し温度の調整を行う。
適切
リヒート方式
リヒート方式は、図のように、エバポレータを通った冷風が全てヒータ・コアに流れるようになっており、温度調整はヒータ・コアに流れるエンジン冷却水の流量をウォータ・バルブによって変化させることで、吹き出し温度の調整を行っている。
(4)ハイブリッド自動車や電気自動車(EV)などに用いられている電動式コンプレッサは、一般にスクロール式が採用されている。
適切
スクロール式
スクロール式のコンプレッサは、図(1)のように渦巻形をした固定スクロールと可動スクロールを組み合わせて構成されている。
固定スクロールはハウジングと一体になっており、図(2)のように、可動スクロールがシャフトの回転によって同じ姿勢を保ちながら偏心円運動をする。そのため、両スクロールで仕切られる空間の容積が変化し、冷媒を吸入・圧縮するようになっている。
なお、ハイプリッド自動車や電気自動車(EV)などに用いられている電動式コンプレッサもスクロール式である。
よって答えは(1)