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フレーム及びボデーに関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
(1)トラックに用いられるフレームは、トラックの全長にわたって貫通した左右2本のサイド・メンバが配列されている。
(2)モノコック・ボデーは、1箇所に力が集中すると比較的簡単にひびが入ったり、割れてしまう弱点がある。
(3)ボデーの安全構造は、衝突時のエネルギを効率よく吸収し、このエネルギをボデー骨格全体に分散させ客室の変形を最小限に抑えるようにしている。
(4)モノコック・ボデーは、ホデー自体がフレームの役目を担うため、質量を小さくすることができない。
解く
(1)トラックに用いられるフレームは、トラックの全長にわたって貫通した左右2本のサイド・メンバが配列されている。
適切
フレームの構造
トラックなどで用いられるフレームは、図のように全長にわたって貫通した左右2本のサイド・メンバが配列され、,その間に、はしごのようにクロス・メンバを置き、それぞれが溶接などで結合されている。
材料は、一般に熱間圧延鋼板が使われているが、軽量で、強度及び剛性の高い熱間圧延高張カ鋼板も使われており、サスペンションやタイヤなどで吸収できない衝撃によるフレームの曲げ、ねじれなどに十分耐えられるようになっているが、強度及び剛性不足の箇所には補強板が取り付けられている。
(2)モノコック・ボデーは、1箇所に力が集中すると比較的簡単にひびが入ったり、割れてしまう弱点がある。
適切
乗用車
図に示す乗用車のモノコック・ボデーは「卵の殻」に例えられ、ボデー全体に丸みをもたせ、の殻全体の構造によって剛性を高めている。
モノコック・ボデーには、次のような特徴がある。
・一体構造のため、曲げ及びねじれ剛性に優れている。
・ボデー自体がフレームの役目を担うため、質量を小さくすることができる。
・構造上、フロアを低くできるので、室内空間を広くすることができる。
・薄鋼板を使用し、ひすみの少ないスポット溶接が多く採用されているので精度が高い。
このような利点がある反面、1箇所に力が集中すると比較的簡単にひびが入ったり、割れてしまうなどの弱点があるため補強が必要となる。また、そのほかにモノコック・ボデーの弱点は次のようなことが挙げられる。
・サスペンションなどから振動や騒音が伝わりやすく、防音、防振のための工夫が必要となる。
・衝撃により破損した場合、構造が複雑なために修理が難しい。
(3)ボデーの安全構造は、衝突時のエネルギを効率よく吸収し、このエネルギをボデー骨格全体に分散させ客室の変形を最小限に抑えるようにしている。
適切
ボデーの安全構造
ボデーの安全構造は、衝突時のエネルギを効率よく吸収し、このエネルギをボデー骨格全体に効果的に分散させることで客室の変形を最小限に抑えるようにしている。
ここでは、前面及び側面の衝突エネルギ吸収構造について説明する。
(イ)前面衝突エネルギの吸収構造
ボデーは、図に示す前面衝突時において、乗員を守るため、客室より前方でできる限り衝突エネルギを吸収するように作られている。
それでも、吸収しきれなかった衝突エネルギは、図の矢印のようにボデー各部に分散させることで客室に加わる衝突エネルギを極力軽減している。
なお、図のように客室より前にある補強材(以下、リーインフォースメントという。)は、衝突エネルギを吸収及び分散させるもので、客室部にあるリーインフォースメントは衝突エネルギによる客室の変形を最小限にするものである。
(ロ)側面衝突エネルギの吸収構造
図は、側面衝突時における客室の状態を示したもので、前面衝突時と違い潰れる部位が少ないため、
図のように各リーインフォースメントを大型化し、衝突時のエネルギを矢印のように効率よく分散させると共に、ドアの内側に衝突エネルギ吸収材を使用し、客室の乗員スペースの確保を図っている。
(4)モノコック・ボデーは、ホデー自体がフレームの役目を担うため、質量を小さくすることができない。
不適切
よって答えは(4)