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電子制御式燃料噴射装置のセンサに関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
(1)ホール素子式のスロットル・ポジション・センサは、スロットル・バルブ開度の検出にホール効果を用いて行っている。
(2)バキューム・センサは、インテーク・マニホールド圧力が高くなると出力電圧は大きくなる特性がある。
(3)ジルコニア式O2センサは、比較電圧よりもO2センサの出力が高いときは理論空燃比より小さい(濃い)と判定し、逆に出力が低いときは理論空燃比より大きい(薄い)と判定する。
(4)磁気抵抗素子式のカム角センサは、磁気抵抗素子の前面にシグナル・ロータの凸部があるときには、磁気抵抗素子を通る磁束成分が最も多く抵抗値が最大となる。
解く
(1)ホール素子式のスロットル・ポジション・センサは、スロットル・バルブ開度の検出にホール効果を用いて行っている。
適切
ホール素子式のスロットル・ポジション・センサは、スロットル・バルブ開度の検出にホール効果を用いて行っている。
ホール効果とは、図のようにホール素子に流れている電流に対して、垂直方向に磁束を加えると、電流と磁束の両方に直交する方向に起電力が発生する現象であり、この加える磁束の密度が大きくなると発生する起電力も大きくなる。このホール効果を利用しスロットル・バルブ開度を検出している。
(2)バキューム・センサは、インテーク・マニホールド圧力が高くなると出力電圧は大きくなる特性がある。
適切
バキューム・センサは、図のように真空に保たれたセンサ・ユニット内に、四つの可変抵抗によってブリッシ回路を形成したシリコン・チップか取り付けられており、その片面にインテーク・マニ
ホールド圧力か作用する構造になっている。センサに圧力が作用するとシリコン・チップは、反対側の真空室との圧力差により生じた応力を受け四つの抵抗値が変化する。この抵抗変化による電位差をICで増幅してECUに電気信号として入力する。これをA/D変換器によりデジタル信号に変換しマイクロ・コンピュータ(以下、マイコンという)に入力する。
バキューム・センサの出力電圧は、インテーク・マニホールド圧力が高くなると、出力電圧はほぼ比例して大きくなる特性をもち、大気圧は場所、天候などによって変化するが、バキューム・センサは真空との差、すなわち、絶対圧を検出しており、大気圧の影響を受けることなく常に適正なインテーク・マニホールド圧力の電気信号を検出することができる。
(3)ジルコニア式O2センサは、比較電圧よりもO2センサの出力が高いときは理論空燃比より小さい(濃い)と判定し、逆に出力が低いときは理論空燃比より大きい(薄い)と判定する。
適切
ジルコニア素子は、高温で内外面の酸素濃度の差が大きいと起電力を発生する性質がある。
この起電力は、理論空燃比付近て急変するので、ECUは、図のように電圧変動の中間付近に比較電圧を設定し、比較電圧よりもO2センサの出力が
高いときは理論空燃比より小さい(濃い)と判定し、逆に、比較電圧よりO2センサの出力か低いときは理空燃比より大きい(薄い)と判定して、インジェクタの燃科墳射を制御している。
(4)磁気抵抗素子式のカム角センサは、磁気抵抗素子の前面にシグナル・ロータの凸部があるときには、磁気抵抗素子を通る磁束成分が最も多く抵抗値が最大となる。
不適切
磁気抵抗素子式
磁気抵抗素子式の回転センサは、図のように、シグナル・ロータの回転により回転角センサ内の磁気抵抗素子に掛かる磁束の大きさが変化することで磁気抵抗素子の抵抗値が変化する性質を利用している。
図(1)のように、磁気抵抗素子の前面にシグナル・ロータの凹部があるときには、マグネットから出た磁束はシグナル・ロータの影響を受けないため、磁気抵抗素子を通る磁束成分が最も多く抵抗値が最大となり、図(2)のように、シグナル・ロータの凸部が近付くにつれて磁束成分が減ってくるため抵抗値が徐々に小さくなっていく。図(3)のように、磁気抵抗素子の前面にシグナル・ロータの凸部があるときには、磁気抵抗素子を通る磁束成分が最も少なく抵抗値が最小となり、図(4)のように、シグナル・ロータの凸部が遠ざかるにつれて磁束成分が増えていくため、抵抗値が徐々に大きくなっていく。この抵抗値の変化により、センサに印加されている電圧も変化するので、下図のように、磁気抵抗素子と一体のICにてその電圧変化の波形と閾値とで大小比較を行い、デジタル信号(矩形波)に整形してECUに入力している。
よって答えは(4)