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令和6年10月実施2級ガソリン問題7:吸排気装置における過給機に関する記述

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吸排気装置における過給機に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。

 

(1)ルーツ式のスーパ・チャージャには、過給圧が高くなって規定値以上になると、過給圧の一部を排気側へ逃がし、過給圧を規定値に制御するエア・バイバス・バルプが設けられている。

 

(2)一般に、ターボ・チャージャに用いられているシャフトの周速は、フル・フローティング・ペアリングの周速の約半分である。

 

(3)ターボ・チャージャの特徴として、小型軽量で取り付け位置の自由度は高いが、排気エネルギの小さい低速回転域からの立ち上がりに遅れが生じ易い。

 

(4)2葉ルーツ式のスーパ・チャージャでは、ロータ1回転につき1回の吸入・吐出が行われる。

 

 

解く

(1)ルーツ式のスーパ・チャージャには、過給圧が高くなって規定値以上になると、過給圧の一部を排気側へ逃がし、過給圧を規定値に制御するエア・バイバス・バルプが設けられている。

不適切

図はルーツ式の構成の一例で、エンジン負荷の小さいときは燃費や騒音の低減を図るため、過給を停止できるように電磁クラッチが設けられており、一般にエンジンECUからの信号によりONOFFされる。

しかし、急加速時など過給が必要な場合であっても、必要以上に過給圧が高くなるとノッキングなどの弊害が発生するため、過給圧が規定値になると、過給圧の一部を吸入側へ逃がし、過給圧を規定値に制御するエア・バイパス・バルブが設けられている。

 

(2)一般に、ターボ・チャージャに用いられているシャフトの周速は、フル・フローティング・ペアリングの周速の約半分である。

不適切

ターボ・チャージャの潤滑は、エンジン・オイルを分流し、オイル・パイプを経てセンタ・ハウジング上部から供給し、後述するフル・フローティング・ベアリングなどを潤滑及び冷却してハウジング下部からオイル・パンへ戻すことで行っている。

ターボ・チャージャのコンプレッサ・ホイール及びタービン・ホイールは、最高毎分約10数万回転するため、シャフトのベアリングには、一般にフル・フローティング・ベアリングが用いられている。このべアリングは、図のようにハウジングとシャフトの間でオイルにより完全に浮いているため、シャフ卜の僅かなアンバランスによって発生する高速回転時の振動が吸収されると共に、ベアリングの周速がシャフトの周速の約半分となるため耐久性に優れている。

(3)ターボ・チャージャの特徴として、小型軽量で取り付け位置の自由度は高いが、排気エネルギの小さい低速回転域からの立ち上がりに遅れが生じ易い。

適切

過給機

過給機は、大気圧より高い圧力で多量の空気をシリンダ内へ供給する装置であり、同一排気量の無過給エンジンに比べて充塡効率を高めることができるため、それに見合った燃料を供給することによりエンジンの出力を増大することができる。

ガソリン・エンジンに用いられている過給機には、エンジンの排気ガスを動力として利用するターボ・チャージャとクランクシャフトの回転力を機械的に利用するスーパ・チャージャがある。

ターボ・チャージャは小型軽量で取り付け位置の自由度は高いが、排気エネルギ(排気ガスの量、圧力、温度)の小さい低速回転域からの立ち上がりに遅れが生じ易い。反対にスーパ・チャージャは、駆動機構機械的なため作動遅れは小さいが、各部のクリアランスからの圧縮漏れや回転速度の増加と共に、駆動損失も増大するなどの効率の低下がある。

 

(4)2葉ルーツ式のスーパ・チャージャでは、ロータ1回転につき1回の吸入・吐出が行われる。

不適切

ロータは、まゆ形の断面をした中空のアルミニウム合金製で、先端の部分の肉厚を薄くして軽量化が図られている。また、ロータの表面には特殊樹脂コーティングが施され、ハウジングとの気密性及びしゅう動面のなじみ性が確保されている。

図のAはドライブ・ロータによるエアの移動を示し、Bはドリブン・ロータによるエアの移動を示したものであるが、2個のロータはそれぞれが吸入、吐出作用を行っている。

図(1)でドライブ・ロータとハウジング間にエア面が吸入され、図(2)、(3)のように移動して図(4)で吐出されるが、図(1)の面の反対側(左側)のエアは図(2)で吐出されるため、ドライブ・ロータ1回転につき吸入、吐出が2回行われる。同様に、ドリブン・ロータによるエアBの移動は、図(3)、(4)、(1)、(2)の順で行われるが、図(3)のBの反対側(左側)のエアは図(4)で吐出されるため、ドリブン・ロータも1回転につき吸入、吐出が2回行われる。したがって、2葉ルーツ式ではロータ1回転につき4回の吸入・吐出が行われることになる。

 

よって答えは3