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平成16年3月実施1級小型問題17:電子制御式ATのライン・プレッシャ制御に関する記述

17

電子制御式ATのライン・プレッシャ制御に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)Rレンジでは減速比が大きいため,動力伝達容量を増大させるためにD,2,1レンジよりライン・プレッシャを高めている。

(2)ダウン・シフトしたときのエンジン・ブレーキ時は,クラッチ作動油圧,又はライン・プレッシャを通常より高く設定している。

(3)アップ・シフトの変速時には,変速時のエンジン駆動力に見合ったライン・プレッシャ特性を設定してショックを低減している。

(4)ATFの温度が低温及び高温の場合のライン・プレッシャは,ATFが粘性変化を起こさない特性をもっているため通常時の制御が行われる。

 

解く

(1)Rレンジでは減速比が大きいため,動力伝達容量を増大させるためにD,2,1レンジよりライン・プレッシャを高めている。

(2)ダウン・シフトしたときのエンジン・ブレーキ時は,クラッチ作動油圧,又はライン・プレッシャを通常より高く設定している。

(3)アップ・シフトの変速時には,変速時のエンジン駆動力に見合ったライン・プレッシャ特性を設定してショックを低減している。

(4)ATFの温度が低温及び高温の場合のライン・プレッシャは,ATFが粘性変化を起こさない特性をもっているため通常時の制御が行われる。

不適切

 

よって答えは4

 

 

ECU の制御

ECUは,各センサからの信号により車両走行状態を判断してあらかじめ設定された変速特性値又は,ロックアップ作動値などに基づき各ソレノイド・バルブに駆動信号を送り制御している。

(1)ライン・プレッシャ制御

ECUには,走行状態に応じた最適なライン・プレッシャ特性を数種類記憶させてある。

ECUは,走行状態に合うライン・プレッシャ特性となるように図のシステム図の各センサからの入力信号に基づき,ECUがライン・プレッシャ・ソレノイド・バルブのON・OFFの割合を決めてライン・プレッシャ・ソレノイド・バルブに駆動信号を送りライン・プレッシャ又は,スロットル・プレッシャを制御している。また,図はECUに記憶させてあるライン・プレッシャの特性の一例である。

(イ)通常時

ECUがエンジンの負荷をスロットル・ポジション・センサの信号より判断し,スロットル開度をもとにライン・プレッシャ特性を設定している。また,図のようにアクセル開度が増すに従ってライン・プレッシャは高くなりクラッチやバンドの締結力を強めている。なお,Rレンジでは,減速比が大きいため動力伝達容量を高めるためにD,2,1レンジよりライン・プレッシャを高めている。

(ロ)エンジン・ブレーキ時

Dレンジ第4速(オーバドライブ)又は,Dレンジ第3速で走行中に2レンジにダウン・シフトした場合AT内部のクラッチに大きな駆動力が加わるため,クラッチ作動油圧又は,ライン・プレッシャを通常のライン・プレッシャより高く設定する必要がある。アクセル開度_1/16以下で,Dレンジ第4速(オーバドライブ)から2レンジ又は,1レンジにダウン・シフトした場合とDレンジ第3速から2レンジ又は,1レンジにダウン・シフトした場合ではクラッチに加わる駆動力が異なるため,図のようにそれぞれに最適なライン・プレッシャ特性を設定している。

(ハ)変速時

変速時のショックを低減させるために,図のように,変速時のエンジン駆動力に見合ったライン・プレッシャ特性を設定し,変速状態に応じて一時的に最適ライン・プレッシャ特性を選択している。

( イ ) 油温センサ

(a )断線時

断線すると,抵抗は無限大(∞Ω)となり,ECUには,極低温の信号が入力することになる。したがって,極低温時の制御に基づいてライン・プレッシャは常時最大となり,セレクト・ショック,変速ショック共に大きく,4速(オーバドライブ)への変速は禁止となる。

(b )短絡時

短絡の場合は,抵抗が0Ωとなるので,断線時とは逆に極高温の信号が入力されることになる。したがって,高温時は特別な制御はしていないので,通常の走行では影響は出ない。ただし,低温時の制御はできなくなる。