自動車整備士試験勉強 始めました~(^^♪

自動車整備士資格試験を解く

平成16年3月実施1級小型問題6改:センサに関する記述

6

センサに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)クランク角センサは,回転角度の割り出しを行うセンサであり,センサの機能低下(特性異常)や各配線に接触抵抗の増大などが発生し,実際の回転数,回転角度,速度,タイミングなどと検出信号電圧とが一致しなくても,この信号電圧が異常検知不可範囲にある場合は,マイコンは異常検知しない。

(2)スパーク・プラグの失火が発生した場合,O2センサの信号出力はHi側に固定となり,ECUは空燃比(A/F)をリッチと検出する。

(3)ノック・センサは,エンジン高負荷時に発生するノッキングによる振動を圧電素子で電気信号に変換している。

(4)スロットル開度が全閉のときは抵抗値が小さく,開度が全開のときは抵抗値が増加する。センサが検出している値は抵抗値であり,このままではマイコンは検出できないため,検出できる電圧値に置き換える必要がある。

 

解く

(1)クランク角センサは,回転角度の割り出しを行うセンサであり,センサの機能低下(特性異常)や各配線に接触抵抗の増大などが発生し,実際の回転数,回転角度,速度,タイミングなどと検出信号電圧とが一致しなくても,この信号電圧が異常検知不可範囲にある場合は,マイコンは異常検知しない。

適切

光学素子式(半導体式)

光学素子式センサは,図のようにホト・インタラプタ(発光素子と受光素子が一体化したモジュール)とスリットをもったロータを取り付け,ホト・インタラプタの中をスリットが通過することで光の断続を行い,この断続を電気信号に置き換えている。

光学素子式センサでは,図のようにECU内5V安定化電源をもとにホト・インタラプタ(LED駆動回路,ホト・ダイオード,又はホト・トランジスタ)に駆動電源を供給すると共に,出力回路において受光素子が受けた光の断続で波形成形(ノイズ除去を含む。)が行われ,方形波(スケア・ウェーブ)に整形される。

 

信号電圧を作るセンサの回路構成は,図に示すもので,ECU内5V安定化電源回路(A)⇒ホト・インタラプタ⇒センサ・アンプ/出力回路⇒ECUアースに電流を流す回路構成とECU内5V安定化電源回路⇒抵抗(R)⇒センサ・アンプ/出力回路⇒ECUアースに電流を流す回路構成により信号電圧が作られ,入力回路を介してマイコンに入力される。

 

 

(a)信号形態

光学式では,ECU内5V安定化電源をもとに波形整形を行うため,回転には関係なく電圧が,常に一定でロータの回転が遅い場合には,図(1)の周波数を有し,回転が速くなると,図(2)のように周波数が高くなる。ECUの入力回路は,信号電圧が閾値を通過したときにパルス数がカウントされて回転数と速度が検出される。回転角度の検出は,ロータの1回転当たりのスリット数によって設定され,1周360度をスリット数で除した値が1パルス時の角度であり,スリット数が多いロータほど角度分解能が高くなる。

タイミングの検出は,センサ回路が検出した波形数と方形波(スケア・ウェーブ)は相関関係にあるため,波形の立ち上がり,又は立ち下がりのタイミングの検出に利用される。

マイコンによる信号電圧の検出は,マイコン閾値と信号電圧の比較により行われるが,図のように上限値の閾値をアップ・エッジしたとき,又は,下限値の閾値をダウン・エッジしたときに信号電圧を検出する。

(b)異常検知

異常検知範囲

マイコンが異常検知する仕組みは,図(1)に示すようにマイコン閾値と検出信号電圧の比較が行われ,マイコンは,図(2)に示す上限値の閾値をアップ・エッジしたとき,又は,下限値の閾値をダウン・エッジしたときに異常検知(信号電圧が一定になる。)を行う

センサの機能低下(特性異常)や各配線に接触抵抗の増大などが発生し,実際の回転数,回転角度,速度,タイミングなどと検出信号電圧とが一致しなくても,この信号電圧が図(1)の異常検知不可範囲にある場合は,マイコンは異常検知しない。

(2)スパーク・プラグの失火が発生した場合,O2センサの信号出力はHi側に固定となり,ECUは空燃比(A/F)をリッチと検出する。

不適切

O2は消費されません。

(3)ノック・センサは,エンジン高負荷時に発生するノッキングによる振動を圧電素子で電気信号に変換している。

適切

 

ノック・センサ

図に示すノック・センサは,シリンダ・ブロックに取り付けられており,エンジンの高負荷時に発生するノッキングによる振動を検出している。

(3)ノック・センサは,エンジン高負荷時に発生するノッキングによる振動を圧電素子で電気信号に変換している。

適切

 

ノック・センサ

図に示すノック・センサは,シリンダ・ブロックに取り付けられており,エンジンの高負荷時に発生するノッキングによる振動を検出している。

 

ECUは,振動が規定値を超えたとき,点火時期を最適に制御(遅角)することでノッキングを低減させる。ノック・センサは,振動板をセンサ・ボデーに固定し,振動板上に圧電素子(圧力を加えると起電力を発生させる特殊な素子)が組み付けられている。この圧電素子には電

極が設けられ,一方の電極は出力ターミナル,他方の電極はノック・センサ・ボデーに接続されている。

ノック・センサの発生起電力は,エンジン全般の振動成分(共振型ではノック領域だけを検出しているものもある。)を含有しており,この振動成分は,2気筒,直列4気筒直列6気筒,V型8気筒でそれぞれ異なり,シリンダ・ブロックの材料組成条件にも関係し,鋳鉄製ブロ

ックとアルミ合金製ブロックでは,ノッキングの周波数が異なる。

 

(4)スロットル開度が全閉のときは抵抗値が小さく,開度が全開のときは抵抗値が増加する。センサが検出している値は抵抗値であり,このままではマイコンは検出できないため,検出できる電圧値に置き換える必要がある。

適切

スロットル・ポジション・センサ

スロットル・ポジション・センサ(ポテンショ・メータ式)は,スロットル・バルブの開度を検出するセンサで,スロットル・ボデー本体に組み付けられている。構造は,可変抵抗器で,抵抗体上をしゅう動する可動接点をもっており,可動接点はスロットル・バルブ・シャフトに連結されてスロットル・バルブの開閉と共に抵抗体上を移動する。

可動接点が抵抗体上を移動することで,信号アース端子とスロットル開度端子間の抵抗値が変化するため,スロットル開度に応じて抵抗値が変化し,スロットル開度が全閉のときは抵抗値が小さく,開度が全開のときは抵抗値が増加する。

センサが検出している値は抵抗値であり,このままではマイコンは検出できないため,検出できる電圧値に置き換える必要がある。

 

よって答えは2