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自動車整備士資格試験を解く

平成16年3月実施1級小型問題5改:O2センサに関する記述

5

O2センサに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)O2センサの円筒形ジルコニア素子は,大気と排気ガスの酸素濃度差が大きいほど大きな電圧を発生させ,その電圧は最大で約3VのECUの入力電圧となる。

(2)O2センサの機能低下(特性異常)や各配線に異常(接触抵抗の増大など)が発生し,プログラムのマップ・データと検出信号電圧とが一致しなくても,この信号電圧がプログラムのマップ・データで設定した異常検知不可範囲にある場合は,マイコンは異常検知しない。

(3)O2センサのヒータは,ジルコニア素子の温度を早く上げるために設けられている。

(4)理論空燃比より濃い混合気で燃焼させたとき,薄いときに比べてO2センサの出力電圧は高くなる。

 

解く

(1)O2センサの円筒形ジルコニア素子は,大気と排気ガスの酸素濃度差が大きいほど大きな電圧を発生させ,その電圧は最大で約3VECUの入力電圧となる。

不適切

(2)O2センサの機能低下(特性異常)や各配線に異常(接触抵抗の増大など)が発生し,プログラムのマップ・データと検出信号電圧とが一致しなくても,この信号電圧がプログラムのマップ・データで設定した異常検知不可範囲にある場合は,マイコンは異常検知しない。

(3)O2センサのヒータは,ジルコニア素子の温度を早く上げるために設けられている。

(4)理論空燃比より濃い混合気で燃焼させたとき,薄いときに比べてO2センサの出力電圧は高くなる。

 

よって答えは1

 

 

O2センサ

図に示すO2センサは,排気ガス中に含まれる酸素濃度を検出するもので,この酸素濃度を検出することで空燃比(A/F)が理論空燃比に対し,小さい(濃い)か,大きい(薄い)かを判断する。

O2センサは,円筒状のジルコニア素子の内外面に白金をコーティングしてあり,内側は大気と,外側は排気ガス接触できるようになっている。なお,ジルコニア素子は,活性化領域(例:360℃)を超えたとき,大気側と排気ガス側の酸素濃度差により,起電力を発生させる性質がある。

信号電圧を作る回路構成は,図に示すもので,エンジン運転中に排出される排気ガス中の酸素濃度の変化に応じて発生する起電力の信号電圧が作られ,入力回路を介してマイコンに入力される。

マイコンは,リアル・タイムで燃料噴射量を制御する必要から,O2センサからの入力信号電圧により,燃焼状態を判断すると共に,エンジン制御などに関係するそのほかのセンサから,エンジンの負荷条件を検出して必要に応じ燃料噴射量を補正する。

 

(a)信号形態

信号電圧は,図のように空燃比が小さい(濃い)状態で燃焼したときの排気ガスが白金に触れると,白金の触媒作用により残存する低濃度のO2は排気ガス中のCOやHCと反応し,ジルコニア素子表面のO2はほとんどなくなるため,O2センサ内外面の酸素濃度差が非常に大きくなり起電力(High)が生じる。逆に,空燃比が大きい(薄い)状態で燃焼したときの排気ガスは,高濃度のO2と低濃度のCOがあるため,COと

O2が反応しても余分なO2が残存し,酸素濃度差は小さくほとんど起電力(Low)が生じない。

異常検知

異常検知範囲

O2センサは,電源電圧をもたず,自己起電力による信号電圧となるため,回路構成上,上限値の閾値に関わる異常検知はできない。マイコンが異常検知する仕組みは,図(1)に示すようにマイコン閾値と検出信号の比較が行われ,マイコンは,図(2)に示す閾値をダウン・エッジしたときに異常検知を行う。

センサの機能低下(特性異常)や各配線に異常(接触抵抗の増大など)が発生し,プログラムのマップ・データと検出信号電圧とが一致しなくても,この信号電圧がプログラムのマップ・データで設定した異常検知不可範囲にある場合は,マイコンは異常検知しない。