4
エンジンECUに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)安定化電源は,バッテリ電圧をもとに安定化された電源で,エンジンECU内のアナログ回路及びアクチュエータ回路の電源として使用されているが,マイコン回路及びセンサ回路には使用されていない。 |
(2)安定化電源の点検は,エンジンECUの安定化電源端子に発生する電圧が,イグニション・スイッチのON時とバッテリの最大負荷時で変動がないことを確認することにより行う。 |
(3)安定化電源が不安定になる原因には,バッテリ電源からの電力供給量不足,エンジンECU内の電源回路の異常及び安定化電源回路の短絡がある。 |
(4)電源や安定化電源の異常によりマイコンが機能しない場合には,エンジン警告灯が点灯するか,又は消灯したままになる。 |
解く
(1)安定化電源は,バッテリ電圧をもとに安定化された電源で,エンジンECU内のアナログ回路及びアクチュエータ回路の電源として使用されているが,マイコン回路及びセンサ回路には使用されていない。 不適切 |
(2)安定化電源の点検は,エンジンECUの安定化電源端子に発生する電圧が,イグニション・スイッチのON時とバッテリの最大負荷時で変動がないことを確認することにより行う。 |
(3)安定化電源が不安定になる原因には,バッテリ電源からの電力供給量不足,エンジンECU内の電源回路の異常及び安定化電源回路の短絡がある。 |
(4)電源や安定化電源の異常によりマイコンが機能しない場合には,エンジン警告灯が点灯するか,又は消灯したままになる。 |
よって答えは(1)
電源回路
電源は,装置全体に電力を供給するバッテリ電源(ここでは公称12Vを例に説明する。)及びオルタネータの発生電源(以下,これらの電源を12V電源という。)から構成され,これらの12V電源をもとにECU内で5V安定化電源(ここでは5Vを例に説明する。)が作られる。
12V電源は,電力使用量が変動しても電力供給量が十分に確保されるものでなければならない。また,5V安定化電源は,装置の作動状態により規定値を外れないことが絶対条件となる。
なお,電源回路は,エンジン及びシャシにおいて,特別な要件のある場合を除き,共通した電源回路を用いることとする。
1)電源回路の構成
図に電源回路の構成の一例を示す。
(1)12 V 電源回路
12V電源回路は,ECUの電源及びアクチュエータの駆動電力用電源として用いられると共に,エンジン停止時には,各装置のデータなどのバックアップ電源として使用されている。また,ECUには,供給される電源電圧の最小規定値と最大規定値が定められており,最小規定値を下回るとECUは,その機能を停止し,最大規定値を上回るとECU回路の破壊が起こる。したがって,電子制御装置を正しく作動させるために規定電圧を維持する必要があり,バッテリの充電装置であるオルタネータは,電源供給の基幹装置として,この役目を担っている。
(2)5 V 安定化電源回路
5V安定化電源回路は,マイコン,ECU内の出力回路,入力回路,駆動回路などに供給される5V安定化電源を作る回路である。
5V安定化電源回路には,12V電源の変動及びECUの回路負荷が作用しても,常に一定の規定電圧値を維持できることが絶対条件とされ,お
およそ5V±0.25Vの範囲を基準値として電力が供給されている。
5V安定化電源回路では,図のようにAとBに分配されたものや,分配なしの単独のもの,また,マイコン,ECU内の出力回路,入力回路,駆
動回路などそれぞれに分配されたものなどがある。