26
スチール・ベルト式無段変速機(CVT)に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)プライマリ・プーリ及びセカンダリ・プーリは共に同一傾斜面を持つ固定シーブと可動シーブが対向配置され,可動シーブ側背面に油圧室を設けている。 |
(2)ライン・プレッシャ制御は,エンジン回転速度,スロットル開度などの信号をもとにセカンダリ・バルブを作動させてライン・プレッシャを制御し,スチール・ベルトによるトルクの伝達に必要なライン・プレッシャを発生させる。 |
(3)変速制御は,エンジン回転速度,スロットル開度,入出力回転速度などの信号をもとにプライマリ・バルブを作動させてプライマリ・プレッシャを制御し,スチール・ベルトによる変速を行う。 |
(4)プライマリ・プーリの油圧室の受圧面積は,セカンダリ側の面積より小さいため,ライン・プレッシャより大きな圧力で溝幅を制御することが必要である。 |
解く
(1)プライマリ・プーリ及びセカンダリ・プーリは共に同一傾斜面を持つ固定シーブと可動シーブが対向配置され,可動シーブ側背面に油圧室を設けている。 適切 |
(2)ライン・プレッシャ制御は,エンジン回転速度,スロットル開度などの信号をもとにセカンダリ・バルブを作動させてライン・プレッシャを制御し,スチール・ベルトによるトルクの伝達に必要なライン・プレッシャを発生させる。 適切 ライン・プレッシャ制御 エンジン回転速度,スロットル開度などの入力信号をもとに AT ・ ECU で演算し,セカンダリ・バルブを作動させてライン・プレッシャを制御し,スチール・べルトによるトルクの伝達に必要なライン・プレッシャを発生させる。ライン・プレッシャは,ライン・プレッシャ目標圧力と油圧センサ出力圧との差をセカンダリ・バルブへフィードバックし,目標圧力になるように常時制御されている。
|
(3)変速制御は,エンジン回転速度,スロットル開度,入出力回転速度などの信号をもとにプライマリ・バルブを作動させてプライマリ・プレッシャを制御し,スチール・ベルトによる変速を行う。 適切 変速制御 エンジン回転速度,スロットル開度,入出力回転速度などの入力信号をもとに AT ・ ECU で演算し,プライマリ・バルブを作動させてプライマリ・プレッシャを制御し,スチール・ベルトによる変速を制御する。変速比は,入出力回転速度のフィードバックにより,目標変速比になるように常時制御されている。
|
(4)プライマリ・プーリの油圧室の受圧面積は,セカンダリ側の面積より小さいため,ライン・プレッシャより大きな圧力で溝幅を制御することが必要である。 |
不適切
プライマリ・プーリの油圧室には,変速に必要なプライマリ・プレッシャを加えるようになっている。プライマリ・プーリの油圧室の受圧面積は,図 のようにセカンダリ側の面積より大きいため,ライン・プレッシャより小さな圧力で溝幅を制御できる。また, CVT は連続して変速し,遊星歯車式 AT のように変速を飛ばすことができないので,高速からタイヤがロックするようなブレーキ停止時には,ブレーキング開始から停止までにダウン・シフトを完了しなければならない。このため,高い変速速度が得られるように油圧系が構成されている。
よって答えは(4)