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自動車整備士資格試験を解く

平成17年3月実施1級小型問題28:前輪駆動車(FF式)に採用されている車両安定制御装置のVSCS

 28

前輪駆動車(FF式)に採用されている車両安定制御装置のVSCSに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)オーバステア抑制作動において,運転者が停止の意志をもってブレーキ・ペダルを踏んだとき,ブレーキ液圧はチェック・バルブを通り増圧できるようになっている。

(2)車輪速センサ,ヨー・レート・Gセンサ及び舵角センサの情報からオーバステア傾向,又はアンダステア傾向と判定したとき,その傾向の程度に応じて各車輪のブレーキ液圧制御及びフューエル・カット制御を行う。

(3)運転者がハンドルを操舵したとき,操舵量と車速から決定される目標ヨー・レートよりも,実際の車両ヨー・レートが少なければオーバステア状態と判定する。

(4)ヨー・レート・Gセンサは,車体のヨー・レートを検出するヨー・レート・センサと前後左右の加速度を検出するGセンサを一体化したセンサである。

 

解く

(1)オーバステア抑制作動において,運転者が停止の意志をもってブレーキ・ペダルを踏んだとき,ブレーキ液圧はチェック・バルブを通り増圧できるようになっている。

適切

オーバステア抑制作動

( a )増圧作動時

は増圧作動時を示したもので,スキッド ECU からの制御信号により,真空式制動倍力装置に取り付けられているプリチャージ・ソレノイド・バルブが ON (開),マスタ・シリンダ・カット・ソレノイド・バルブ 2 ON (閉),吸入ソレノイド・バルブ 2 ON (開),保持ソレノイド・バルブ 3 ON (閉)の状態になる。このとき,保持ソレノイド・バルブ 4 の制御信号は OFF のためポートは開いた状態である。また,減圧ソレノイド・バルブ 3 , 4 の制御信号も OFF のためポートは閉じた状態である。真空式制動倍力装置に取り付けられているプリチャージ・ソレノイド・バルブが ON (開)したことで,補助変圧室に大気が導入され補助変圧室と定圧室との差圧による力が,サブ・プレートからプシュ・ロッドに伝達されマスタ・シリンダを介して油圧を発生させる。ブレーキ液は,吸入ソレノイド・バルブ 2 のポートを通りポンプに送られる。ポンプによってくみ出されたブレーキ液は,保持ソレノイド・バルブ 4 のポートを通りフロント左ホイール・シリンダに油圧を掛ける。フロント左にブレーキが掛かったことで右旋回時のオーバステアを抑制している。

また,マスタ・シリンダ・カット・ソレノイド・バルブ 2 は, ON (閉)しているが,運転者の意志でブレーキ・ペダルを踏んだときブレーキ液は,チェック・バルブを通り増圧できるようになっている。

(2)車輪速センサ,ヨー・レート・Gセンサ及び舵角センサの情報からオーバステア傾向,又はアンダステア傾向と判定したとき,その傾向の程度に応じて各車輪のブレーキ液圧制御及びフューエル・カット制御を行う。

適切

 VSCS の制御内容

車輪速センサ,ヨー・レート・ G センサ及び舵角センサの情報から車両の状態を判定し,車両がオーバステア傾向又は,アンダステア傾向と判定したとき,その傾向の程度に応じて図 2 一 35 のように各車輪のブレーキ油圧制御及びフューエル・カット制御を行っている。

なお,ブレーキ油圧制御では,車速の低下と車両の向きを変え,フューエル・カットでは,車速の低下を主に行っている。

(3)運転者がハンドルを操舵したとき,操舵量と車速から決定される目標ヨー・レートよりも,実際の車両ヨー・レートが少なければオーバステア状態と判定する。

不適切

運転者がハンドル操舵をした場合に,操舵量と車速から決定される目標ヨー・レートよりも,図 のように実際の車両ヨー・レートが少なければ,車体が曲がっていないことを意味し,アンダステア状態と判定される

(4)ヨー・レート・Gセンサは,車体のヨー・レートを検出するヨー・レート・センサと前後左右の加速度を検出するGセンサを一体化したセンサである。

適切

ヨー・レート・ G センサ

ヨー・レート・ G センサは,車体のヨー・レートを検出するヨー・レート・センサと前後左右の加速度を検出する G センサを図 のように一体化したセンサである。

 

よって答えは3