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アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)のフェイルセーフの制御内容に関する記述として,適切なものは次のうちどれか。
(1)イグニション回路の電圧異常(上昇,下降)でABSの動作を停止した場合は,イグニション・スイッチをOFFにするまでABSの動作を停止する。 |
(2)ABS動作中に異常を検知した場合,すべての作動をそのまま継続する。 |
(3)走行中に異常を検知したときはABSの動作を停止するが,継続走行中でその後に正常と判断された場合はABS制御を再開する。 |
(4)システムの異常を検知すると,フェイルセーフ・リレーをONにしてソレノイド・バルブ及びポンプ・モータの出力をすべてOFFにする。 |
解く
(1)イグニション回路の電圧異常(上昇,下降)でABSの動作を停止した場合は,イグニション・スイッチをOFFにするまでABSの動作を停止する。 不適切 一過性の異常時 ABS警告灯は,ECUがシステムの異常を検出して点灯するが,正常に戻ると自動的に消灯する場合がある。ダイアグノーシス・コードの61,62(IG2の電圧診断)は,正常に戻ると消灯する。 ABS警告灯は,システムが正常に戻っても,イグニション・スイッチをOFFにするまで消灯しない場合がある。上記のほかは,イグニション・スイッチをOFFするまで消灯しない。 ABS警告灯は,システムが正常に戻り,再度,イグニション・スイッチをONにしても消灯せず,再走行すると消灯することがある。ダイアグノーシス・コードの12,14,16,18,21,22,23,24,52,53(車輪速センサ信号異常,パルサ診断,モータ診断)は,イグニション・スイッチをOFF→ONさせて再走行したとき,信号が正常であれば警告灯が消灯する。
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(2)ABS動作中に異常を検知した場合,すべての作動をそのまま継続する。 不適切 |
フェイルセーフ制御 フェイルセーフ制御は,故障などによりABSに異常が発生すると,ECUがフェイルセーフ制御を実行し,ABS制御をカットして通常ブレーキにするものである。 センサ,アクチュエータ,ECU内部などに異常が発生すると,ECUはフェイルセーフ・リレーをOFFし,ABS制御を中止すると共に通常ブレーキにする。同時に,車載故障診断装置の診断機能により, ABS警告灯を点灯させ,運転者にシステムの異常が発生していることと,制御を停止していることを知らせる。また,故障の系統を記憶し,整備性を向上させている。 (イ)制御内容 フェイルセーフ制御は,異常内容により次のように実行され,いずれも警告灯が点灯する。 ① システムの異常を検知して,フェイルセーフ・リレー,モジュレータ・バルブ及びポンプ・モータの出力をすべてOFFにする。 ② ABS動作中に異常検知した場合,故障箇所以外の作動をそのまま継続し,制御終了後に出力をすべてOFFにする。 ③ メモリしているダイアグノーシス・コードにより,異常コードのときはABSの動作を禁止し,次に,正常と判断された場合,ABS制御へ移行する。これは,システムに異常がなくなった状態で,車速30km/h以上で,1秒以上走行した場合,解除されてABS制御となる。 ④ イグニション・スイッチ(IG2)の電圧異常(上昇,下降)で,ABSの動作を禁止した場合は,電圧が正常と判断された時点で,ABS制御へ移行する。 |
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(3)走行中に異常を検知したときはABSの動作を停止するが,継続走行中でその後に正常と判断された場合はABS制御を再開する。 適切 |
(4)システムの異常を検知すると,フェイルセーフ・リレーをONにしてソレノイド・バルブ及びポンプ・モータの出力をすべてOFFにする。 |
不適切
よって答えは(3)