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センサに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)O2センサに内蔵されているセラミック・ヒータは,始動直後の排気ガスの温度を素早く上昇させ,フィードバック制御を早く引き出す働きをする。 |
(2)負特性サーミスタを利用した油温センサは,温度が上昇すると抵抗が小さくなる特性がある。 |
(3)論理信号センサの種類には,量検出式,圧力検出式,温度検出式などがある。 |
(4)周波数信号センサには,ジェネレータ検出式,光学検出式,半導体検出式などがある。 |
解く
(1)O2センサに内蔵されているセラミック・ヒータは,始動直後の排気ガスの温度を素早く上昇させ,フィードバック制御を早く引き出す働きをする。 不適切 |
O2センサ O2センサは,排気ガス中に含まれる酸素濃度を検出するもので,この酸素濃度を検出することで空燃比(A/F)が理論空燃比に対し,小さい(濃い)か,大きい(薄い)かを判断する。 O2センサは,円筒状のジルコニア素子の内外面に白金をコーティングしてあり,内側は大気と,外側は排気ガスと接触できるようになっている。なお,ジルコニア素子は,活性化領域(例:360℃)を超えたとき,大気側と排気ガス側の酸素濃度差により,起電力を発生させる性質がある。 |
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(2)負特性サーミスタを利用した油温センサは,温度が上昇すると抵抗が小さくなる特性がある。 適切 |
水温センサ(類似:吸気温センサ,油温センサ) 図に示すサーミスタを用いた水温センサは,エンジン冷却水温度を検出するセンサで,一般に冷却水のアウトレット側などの温度を検出しやすい箇所に取り 付けられている。サーミスタは,温度によって抵抗値が変わる性質をもち,この抵抗値の変化は温度変化に応答しているため,冷却水温度の変化を抵抗値の変化に置き換えて温度の検出を行うことができる。 温度に対する抵抗値の変化(温度抵抗特性)は,一般に温度が低いときは抵抗値が大きく,温度が高くなるに従い抵抗値が小さくなる負の温度特性をもつサーミスタが多く用いられている。 |
(3)論理信号センサの種類には,量検出式,圧力検出式,温度検出式などがある。
適切
論理信号センサ
種 類
論理信号センサは,スイッチ構造をもったものが用いられ,スイッチのON・OFFにより,手動で操作されるものと,装置と連動して作動するものがある。連動して作動するものでは,液量・油量の検出,液圧・油圧の検出などが該当し,「信号電圧あり」,「信号電圧なし」の論理形態の電気信号が作られる。論理信号センサの種類には,圧力検出式,量検出式,温度検出式などがある。
(イ)圧力検出式
圧力検出式には,ブルドン管式,ベローズ式,ダイヤフラム式などがあり,これらは圧力で可動し,ブルドン管の変形,ベローズの膨張・収縮,ダイヤフラムの移動などの位置変化情報は,連結させたコンタクト・ポイントで遮断又は接続させ,圧力が規定値を超えた場合と,規定値を下回る場合の二つの事象を検出することができる。図は,ダイヤフラム式の一例を示す。
(ロ)量検出式
量検出式は,図のようにリード・スイッチを内蔵させたシリンダの外側を,フロート(永久磁石付き)がしゅう動しており,この磁石による影響でリード・スイッチの接点が遮断又は接続し,液体などの量が規定値を超えたとき又は規定値を下回るときの二つの事象を検出することができる。
(ハ)温度検出式
温度検出式は,サーモ・フェライトやバイメタルなどの熱に反応して変形又は性質を変える金属体を利用している。図2-14に示すサーモ・フェライトを利用した温度スイッチは,熱に反応して磁力の強さが変わったときに磁力線上に置かれたリード・スイッチを遮断又は接続をすることにより,温度が規定値を超えたとき又は規定値を下回るときの二つの事象を検出している。また,バイメタルを利用した温度スイッチは,
バイメタル側とブロック側に接点を設け,バイメタルの温度が上昇したときと下降したときにバイメタル板が反応して曲がり,接点を遮断又は接続することにより,二つの事象を検出している。
(4)周波数信号センサには,ジェネレータ検出式,光学検出式,半導体検出式などがある。 |
適切 |
周波数信号センサ
種 類
周波数信号センサは,継続,かつ,規則的に作動している状況の変化(回転数,回転速度,回転角度,タイミング)を検出するもので,車速センサ,車輪速センサ,クランク角センサ及びカム角センサなどに用いられている。
周波数信号センサの種類には,パルス・ジェネレータ式,半導体式などがある。
(イ)パルス・ジェネレータ式
パルス・ジェネレータ式センサは,図のような形のロータと永久磁石のコアにコイルを多重巻きしたピックアップ・コイルなどで構成され,ピックアップ・コイルに発生する交流電圧を信号電圧として用いている。
(ロ)半導体式
(a)磁気抵抗素子(MRE:MagneticマグネティックResistanceレジスタンスElementエレメント)式
磁気抵抗素子式センサは,図のような歯形のロータと磁気抵抗素子を二つ使用したピックアップ・コイルなどで構成され,磁気抵抗素子により,磁力線の変化を検出して電流の変化に置き換えて電圧を作り,増幅回路と波形整形回路などにより,それを信号電圧として用いている。
(b)光学式
光学式センサは,図のようなホト・インタラプタ(発光素子と受光素子が一体化したモジュール)とスリットをもったロータなどで構成され,ホト・インタラプタの中をスリットが通過することで光の断続を行い,この断続を電気信号に置き換えて増幅回路と波形整形回路などにより電圧を作り,それを信号電圧として用いている。
よって答えは(1)