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EPSの制御に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)イナーシャ制御は,操舵トルク,車速及びステアリング操舵速度により行い,ベース電流をステアリング操作の増速時に増加させ,減速時に減少させ,モータの回転速度により変化する慣性力を制御する。 |
(2)ベース制御は,操舵トルクと車速によりベース電流を算出し,操舵力を決定するもので,車速によりモータ・トルク特性を切り替え,路面反力の伝わり方や力の立ち上がりなどの感覚も制御している。 |
(3)ダンピング制御は,操舵トルク及びモータ速度により行い,ステアリング操舵を極端に繰り返したときにモータ電流を段階的に低下させる。 |
(4)もどり制御は,車速及びモータ速度により行い,ステアリング操作の減速時に,モータの回転による逆起電力によって発生する電流増加を制御する。 |
解く
(1)イナーシャ制御は,操舵トルク,車速及びステアリング操舵速度により行い,ベース電流をステアリング操作の増速時に増加させ,減速時に減少させ,モータの回転速度により変化する慣性力を制御する。 適切 |
(2)ベース制御は,操舵トルクと車速によりベース電流を算出し,操舵力を決定するもので,車速によりモータ・トルク特性を切り替え,路面反力の伝わり方や力の立ち上がりなどの感覚も制御している。 適切 |
(3)ダンピング制御は,操舵トルク及びモータ速度により行い,ステアリング操舵を極端に繰り返したときにモータ電流を段階的に低下させる。 不適切 |
モータ出力制限制御 |
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(4)もどり制御は,車速及びモータ速度により行い,ステアリング操作の減速時に,モータの回転による逆起電力によって発生する電流増加を制御する。 |
適切
よって答えは(3)
基本制御
1.べース制御 べース制御は,モータを駆動する基本になる,べース電流の制御である。 べース電流は,操舵トルクと車速により算出しており,操舵力を決定するものである。車速によってモータ・トルク特性を切り替えることにより,路面反力の伝わり方や力の立ち上がりなどの感覚も制御している。 |
2.イナーシャ制御 イナーシャ制御は,モータの回転速度により変化する慣性力を制御するものである。 操舵トルク,車速及びステアリング操舵速度により行っており,べース電流をステアリング操作の増速時には増加させ,減速時には減少させることで,モータが持つ回転体の慣性により,起動時にはトルクが不足し,停止時にはトルクが継続する影響を低減させている。 |
3.ダンピング制御 ダンピング制御は,ステアリング・ホイールに伝わる小刻みな振動を低減させるための制御である。 操舵トルク,車速及びモータ速度により行っており,モータの回転速度に応じてステアリング操作の増速時に減算し,減速時で加算して補助動力特性に制動を与えている。低車速では,もどり特性を良くするためにダンピングを抑えている。 |
補正制御
1.もどり制御 もどり制御は,ステアリング操作の減速時に,逆起電力により発生する電流増加を制御するものである。 この制御は,モータ速度と車速により行っており,操舵速度が減速したときに,モータの回転による逆起電力によって発生する回生電流が流れてモータ電流が多くなるため,モータの回転速度に応じて,回生電流を制御し,電流フィードバック制御の精度を向上させている。 |
2.電流フィードバック制御 電流フィードバック制御は,モータに流れる電流を検出し,モータを駆動する口標電流との差を減少させて,モータを精度良く駆動するための制御である。 |
保護制御
1.アンローダ制御 アンローダ制御は,ステアリングを一杯に切った状態にしたときのモータ電流を低下させ,システムを保護するための制御である。 |
2.モータ出力制限制御 モータ出力制限制御は,連続した大電流での発熱からシステムを保護する制御である。 据え切り連続などのステアリング操舵を極端に繰り返したときは,モータ電流を低下させ,システムを保護している。 この制御が行われると,補助動力が徐々に低下する。補助動力の復帰は,操舵トルクがゼロ又は,イグニション・スイッチOFFから徐々に始まり,通常の補助動力に戻るのは最長で8分程度必要とする。
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