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平成17年実施検定1級小型問題8:筒内噴射式ガソリン・エンジンの排出ガス浄化システム

8

筒内噴射式ガソリン・エンジンの排出ガス浄化システムに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

 

(1)成層燃焼時は,安定した燃焼となっているため,大量のEGRを行い,燃焼温度を下げることによりNOxを低減している。

(2)超リーン燃焼時にEGRを行うとエンジンが不調になるため,EGRは行わず,リーンNOx触媒によりNOxを低減している。

(3)リーンNOx触媒には選択還元型とトラップ型があり,選択還元型は,リーン燃焼時に活性層でHCを使用してNOxを還元している。

(4)高負荷運転時にはEGRを行い,NOxを大幅に低減している。

 

解く

(1)成層燃焼時は,安定した燃焼となっているため,大量のEGRを行い,燃焼温度を下げることによりNOxを低減している。

適切

排出ガス浄化対策

成層燃焼では,超希薄燃焼を行うため,三元触媒では NOx 低減ができない。しかしながら,成層燃焼時は,非常に安定した燃焼となっているため, EGR を導入しても安定した燃焼が可能である。

そこで,大量の EGR を導入し,燃焼温度を下げることにより NOx 自体の生成を大幅に低減している。

また,均質リーン燃焼時には,燃焼限界にあるため, EGR が導入できないので,それらの対応を含め,リーン NOx 触媒を採用し, NOx を更に低減している。

 

(2)超リーン燃焼時にEGRを行うとエンジンが不調になるため,EGRは行わず,リーンNOx触媒によりNOxを低減している。

不適切

 

(3)リーンNOx触媒には選択還元型とトラップ型があり,選択還元型は,リーン燃焼時に活性層でHCを使用してNOxを還元している。

適切

リーン NOx 触媒

リーン NOx 触媒には,選択還元型とトラップ型がある。

表 のようにそれぞれに長所と短所があり,使用状況に応じた使われ方をしている。

表 リーンNOx触媒の種類と特徴

 

選択還元型

トラップ型

原理

リーン(希薄)燃焼時に活性層でHCを使用してNOxを還元する

リーン(希薄)燃焼時には、NOxを吸蔵物質に蓄えておき、理論空燃比運転時に濃くし、排出ガス中のCO、HC等を利用してNOxを還元する。

長所

定常的な浄化が可能。ガソリン中に硫黄分が含まれていても浄化性能への影響は少ない。

NOxの浄化率が高い。

短所

還元にHCを使用するため、上流に三元触媒を設置できない。このため、三元触媒の活性化に時間が必要。

ガソリン中に硫黄分が含まれていると急速に劣化する。NOx還元時は空燃比を濃くする必要あり。

短所を補う制御

触媒早期活性化制御により、燃焼(膨張)工程での燃料噴射を行なうと共に排気滞留時間が長いのマニホールドを採用することで、短時間での三元触媒活性化を行なう。

電子制御スロットル・バルブにより、吸入空気量を絞って一時的に空燃比を濃くし、還元時の燃料消費を最小化する。

 

 

(4)高負荷運転時にはEGRを行い,NOxを大幅に低減している。

適切

成層燃焼時には,大量のEGRを行うことで燃焼温度を下げており,均質燃焼時には三元触媒の効果により,NOx自体の生成を大幅に低減している。

電子制御式 EGR 装置

 超希薄燃焼時の吸気管負圧が,ごく小さい状態でも, EGR を高精度で制御できるように,図のような電子制御式 EGR 装置を用い,図のようなステップ・モータ式 EGR バルブを使用している。

 EGR を行うのは,超希薄燃焼時均質燃焼時であり,均質リーン燃焼時にはエンジンが不調となるので EGR は行われない。

よって答えは2