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図に示すEPSに採用されているリニア駆動アクチュエータのモータの制御等に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)モータに印加する電圧のデューティ比を変化させ,変化量に応じて駆動力を増減させている。 |
(2)モータに印加する電圧の極性を変化させ,正転,反転に応じた駆動力を発生させている。 |
(3)モータの停止を速やかに行うため,印加している電圧をOFFにしたとき,モータの両端子を開放(オープン)し,慣性力によるモータの回転を抑えている。 |
(4)モータ駆動中,+CWはモータに電源を加える回路であり,-CWはモータに加えられた電源をアースに接続する回路である。 |
解く
(1)モータに印加する電圧のデューティ比を変化させ,変化量に応じて駆動力を増減させている。
適切
信号波形
右図の回路構成におけるECUの信号電圧特性は,左図で示すようにCW駆動時の信号電圧では,+CW出力信号は,駆動時5V一定で出力しておき,-CW出力信号は,駆動停止時には,出力しないため,0Vにあり,駆動時には,5Vに立ち上がる。図の連続駆動時には,5Vと0V間を繰り返す一定電圧であり,一定周期の中で示ON時間を変化させるPWM制御が行われる。
(2)モータに印加する電圧の極性を変化させ,正転,反転に応じた駆動力を発生させている。 適切 |
DCブラシ・モータなどの固定磁界モータでは,入力電圧の極性を変えてCWとCCW駆動を行うが,入力電圧の極性変換は,図に示すように駆動TrでHブリッジ回路の構成を作り,対角の上下にある駆動Trを同時に作動(例:CW駆動時は,+CWTr・○N状態で12V一定駆動電圧を入力し,-CWTrを○N・○FFしてPWMの駆動電圧を作る。)させ,入力電圧の極性の反転によりモータを逆転させる。
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(3)モータの停止を速やかに行うため,印加している電圧をOFFにしたとき,モータの両端子を開放(オープン)し,慣性力によるモータの回転を抑えている。 不適切 |
モータのオーバラン制御には,モータ駆動のHブリッジ回路の駆動Trを使い,モータ駆動線の接続(駆動線短絡:+CWTrと+CCWTrの同時○N制御)を行い,回生ブレーキ作用を発生させてオーバラン制御を行っている。
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(4)モータ駆動中,+CWはモータに電源を加える回路であり,-CWはモータに加えられた電源をアースに接続する回路である。 |
適切
DCブラシ・モータでは,入力する電圧の極性を変えることで正転・反転駆動ができ,かつ,PWMを利用してデューティ比駆動することで起動トルク,回転トルク及び拘束トルク((注1):サーボ・ロックともいう。)を任意に設定できるようになっている。
注1:拘束トルク(サーボ・ロック)とは,通電状態でモータの回転を止めて,制御位置を固定し,転舵角度を維持する制御に使用される。
よって答えは(3)