令和4年3月実施1級小型問題5:CAN通信に関する記述
CAN通信に関する記述として,適切なものは次のうちどれか。
(1)CAN通信の「メッセージ」のデータ構成の「識別子フィールド」は,送信前に一定の演算を行った結果(演算値)を表し,信号を表したときに受信したユニットが同じ演算を行い,メッセージ中の演算値と照合して通信が正常に受信したかを判定する。
(2)CAN通信の物理仕様の規格は,データ・リンク層と物理層があり,データ・リンク層では,電気信号からデータ構成に関わるフレームへの変換,送信データの優先順位の管理,メッセージの受け渡し報告,工ラーの検出や確認判定の定義を,物理層では,物理的な特性や仕様としてのbitの同期,タイミング,トランシーバ及びCANバス特性の定義を行っている。
(3)低速CAN通信でデジタル信号を作る場合,レセシブ1.5Vの電圧差が発生している状態を「0」,ドミナント3Vの電圧差が発生している状態を「1」としている。
(4)デジタル信号を作るにあたって,信号線間の電圧差を用いる方式のものをシングル・エンドといい,信号線と信号アース線間の電圧差を用いる方式のものをディファレンシャル・エンドという。
解く
(1)CAN通信の「メッセージ」のデータ構成の「識別子フィールド」「CRC フレーム」は,送信前に一定の演算を行った結果(演算値)を表し,信号を表したときに受信したユニットが同じ演算を行い,メッセージ中の演算値と照合して通信が正常に受信したかを判定する。
不適切
① |
スタート・オブ・フレーム |
メッセージの始まりを示す。 |
② |
識別子フィールド |
複数のメッセージが同時に送信されそうになったときの優先順位を表す。 |
③ |
コントロール・フィールド |
メッセージの信号量を表す。 |
④ |
データ・フィールド |
実際の信号( 0 - 64bit ) |
⑤ |
CRC フレーム |
送信前に一定の演算を行った結果(演算値)を表し,信号を表したときに受信したユニットが同じ演算を行い,メッセージ中の演算値と照合して通信が正常に受信したかを判定する。 |
⑥ |
アック・フィールド |
正常受信信号を表す。「 0(ドミナント) 」が書き込まれて送信され,正常に受信できたときに受信したユニットが「 1(レセシブ) 」を書き込んで返信する。 |
⑦ |
エンド・オブ・フレーム |
メッセージの終わりを表す。( 7bit の「 1 」) |
⑧ |
インタ・フレーム・スペース |
メッセージ間の区切りを表す。( 2 – 11bit の「 1 」) |
(2)CAN通信の物理仕様の規格は,データ・リンク層と物理層があり,データ・リンク層では,電気信号からデータ構成に関わるフレームへの変換,送信データの優先順位の管理,メッセージの受け渡し報告,工ラーの検出や確認判定の定義を,物理層では,物理的な特性や仕様としてのbitの同期,タイミング,トランシーバ及びCANバス特性の定義を行っている。
適切
CAN通信の物理仕様の規格は,データ・リンク層と物理層があり,データ・リンク層では,電気信号からデータ構成に関わるフレームへの変換,送信データの優先順位の管理,メッセージの受け渡し報告,エラーの検出や確認判定の定義を,物理層では,物理的な特性や仕様としてのbitの同期,タイミング,トランシーバ及びCANバス特性の定義を行っている。
(3)低速CAN通信でデジタル信号を作る場合,レセシブ1.5Vの電圧差が発生している状態を「0」「1」,ドミナント3Vの電圧差が発生している状態を「1」「0」としている。
不適切
下右図は,低速 CAN 通信信号の仕組みを表したもので, ECU により CAN バスの CAN - L 線に信号が出力されると,この信号電流は, CAN - L 線と CAN - H 線に設けられた抵抗により, CAN - L 線及び CAN - H 線の間には,レセシブ1.5V ( 3 . 25V ‐ 1 . 75V ) ,ドミナント 3V ( 4V ‐ 1 V )の電圧差が発生する。低速 CAN 通信では,この電圧差(信号電圧= CAN - L - CAN - H )を用いてデジタル信号を作り,ドミナント 3V の電圧差が発生している状態を「 0 」,レセシブ 1.5V の電圧差が発生している状態を「 1 」としている。
(4)デジタル信号を作るにあたって,信号線間の電圧差を用いる方式のものをシングル・エンドディファレンシャル・エンドといい,信号線と信号アース線間の電圧差を用いる方式のものをディファレンシャル・エンドシングル・エンドという。
不適切
よって答えは(2)