自動車整備士試験勉強 始めました~(^^♪

自動車整備士資格試験を解く

平成14年実施1級小型問題:スチール・ベルト式無段変速機(CVT)

スチール・ベルト式無段変速機(CVT)に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

(1) トランスミッションに用いられるフルードは,CVT専用のものを使用している。
(2) スチール・ベルトは,ブロック(エレメント)の引っ張り力によって動力伝達を行っている。
(3) 固定シーブと可動シーブを対向配置することにより,変速に伴うスチール・ベルトの中心線は,ほぼ一直線を保って平行移動する。
(4) セカンダリ・プーリの油圧室には,ライン・プレッシャをかけ、金属ベルトが動力伝達するために必要なベルト張力を与えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


解く
(1) トランスミッションに用いられるフルードは,CVT専用のものを使用している。
適切
トランスミッション・オイルには, CVT 専用のフルードを使用しているため,他のフルードを使用すると故障の原因になるので,必ず,専用フルードを使用すること。

 

(2) スチール・ベルトは,ブロック(エレメント)の引っ張り力によって動力伝達を行っている。
不適切
スチール・べルトは,ゴム・べルトやチェーンのように引っ張り作用で動力を伝達するものとは異なり,スチール・ブロック一個一個がプーリと接触しながら,次々と前側のブロックを押して動力を伝える圧縮型のべルトである。このため,ブロックは平板ではなく特別のふくらみを持った形状にしてブロック全体で動力を分担し,応力集中がないように設計されている。また,図のようにブロックの小さな凸部と凹部で相互の位置決めをしている。

f:id:n9h28eg0:20210628185141p:plain


(3) 固定シーブと可動シーブを対向配置することにより,変速に伴うスチール・ベルトの中心線は,ほぼ一直線を保って平行移動する。
適切

f:id:n9h28eg0:20210628185237p:plain


(4) セカンダリ・プーリの油圧室には,ライン・プレッシャをかけ、金属ベルトが動力伝達するために必要なベルト張力を与えている。
適切
セカンダリ・プーリの油圧室には,ライン・プレッシャを掛け,そのときの伝達動力に必要な接触面押し付け力(べルト張力)を与えている。ベルト張力は,入力トルクの大小と共に高速で回転するスチール・ベルトの遠心力も考慮して設定されている。
プライマリ・プーリの油圧室には,変速に必要なプライマリ・プレッシャを加えるようになっている。プライマリ・プーリの油圧室の受圧面積は,図 のようにセカンダリ側の面積より大きいため,ライン・プレッシャより小さな圧力で溝幅を制御できる。また, CVT は連続して変速し,遊星歯車式 AT のように変速を飛ばすことができないので,高速からタイヤがロックするようなブレーキ停止時には,ブレーキング開始から停止までにダウン・シフトを完了しなければならない。このため,高い変速速度が得られるように油圧系が構成されている。

 

f:id:n9h28eg0:20210628185359p:plain

よって答えは(2)