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平成23年6月実施1級小型問題14:筒内噴射式ガソリン・エンジン

電子制御スロットル装置を用いた筒内噴射式ガソリン・エンジンに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。


(1)低負荷運転領域では,成層燃焼を行うため空気過剰状態でも燃焼が行え,ポンプ損失が低減されるためジーゼル・エンジン並みの熱効率が可能となる。
(2)超希薄燃焼(成層燃焼)時には,三元触媒によるNOx低減はできないが,EGRを行うことで燃焼温度を下げ,NOx自体の生成を大幅に低減している。
(3)成層燃焼中は,圧縮行程後半の極めて短い時間内に燃料を噴射する必要があり,アイドル時のインジェクタの開弁時間は,一般的なインテーク・ポート噴射式エンジンより短い。
(4)アクセル及びスロットルの各ポジション・センサ信号系統は,それぞれ二重系になっているので,一系統に異常が発生しても正常時と同じ走行が可能である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


解く

(1)低負荷運転領域では,成層燃焼を行うため空気過剰状態でも燃焼が行え,ポンプ損失が低減されるためジーゼル・エンジン並みの熱効率が可能となる。
適切
筒内噴射式ガソリン・エンジンにおける燃焼

筒内噴射式ガソリン・エンジンでは,低負荷運転領域の場合,成層燃焼を行うため,着火可能な混合気の層を,図 ( 1 )のようにスパーク・プラグ付近に作り出し,それ以外の部分には空気が充てんされており,燃焼室全体でみると,超希薄な空燃比でも,安定した燃焼を行うことができる。このことが筒内噴射式エンジンの大きな目的の一つである。

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これにより,空気過剰状態でも燃焼が可能となるので,低負荷域でも吸入空気量をあまり絞らない状態で運転が可能となる。したがって,ポンプ損失が低減されるため,ジーゼル・エンジン並の熱効率が可能となる。この考え方は,古くから知られ研究されてきたが,その多くはスパーク・プラグ付近に燃料を噴射して,燃料が拡散する前に点火する方式であった。しかし,この方式では,燃料の気化が十分にできないため,スパーク・プラグに液体の燃料が付着し,また,周辺の混合気が濃過ぎるため,プラグがくすぶるなどの問題が生じて,実用化には至らなかった。
したがって,近年実用化された筒内噴射式エンジンでは,燃焼室内の気流制御と圧縮行程での燃料噴射制御により,点火直前にピストンに向かって噴射した燃料を筒内の空気流動に乗せ,気化させながらスパーク・プラグ点火部に運ぶことで成層燃焼が行われている。
高負荷運転領域の場合は,インテーク・ポート噴射式ガソリン・エンジンと同様に,図( 2 )のように均質燃焼を行うが,直接,シリンダ内に燃料を噴射するため,燃料の気化潜熱(潜熱とは、固定、液体、気体と変化するときに吸収・放出する熱エネルギーのこと)により燃焼室内の空気温度を下げて空気密度を上げるので,インテーク・ポート噴射式ガソリン・エンジン以上の高出力が得られる。
なお,成層燃焼と均質燃焼の中間域では,均質リーン燃焼(インテーク・ポート噴射エンジンでの希薄燃焼相当)を行い,燃費向上と燃焼切り替え時のトルク変化をスムーズにしている。

 

(2)超希薄燃焼(成層燃焼)時には,三元触媒によるNOx低減はできないが,EGRを行うことで燃焼温度を下げ,NOx自体の生成を大幅に低減している。
適切
排出ガス浄化対策
成層燃焼では,超希薄燃焼を行うため,三元触媒では NOx 低減ができない。しかしながら,成層燃焼時は,非常に安定した燃焼となっているため, EGR を導入しても安定した燃焼が可能である。
そこで,大量の EGR を導入し,燃焼温度を下げることにより NOx 自体の生成を大幅に低減している。
また,均質リーン燃焼時には,燃焼限界にあるため, EGR が導入できないので,それらの対応を含め,リーン NOx 触媒を採用し, NOx を更に低減している。


(3)成層燃焼中は,圧縮行程後半の極めて短い時間内に燃料を噴射する必要があり,アイドル時のインジェクタの開弁時間は,一般的なインテーク・ポート噴射式エンジンより短い。
適切
高圧スワール・インジェクタ及びインジェクタ・ドライバ
筒内噴射式エンジンでは,低負荷域の成層燃焼から高負荷域の均質燃焼までをカバーするため,エンジンが要求する燃料噴射量における最少から最多までの幅(範囲)が,従来のインテーク・ポート噴射式エンジンの約 1.5 倍と広くなっている。
また,成層燃焼中は圧縮行程後半の極めて短い時間内に燃料を噴射する必要があり,最も噴射時間が短いアイドル時の開弁時間は, 0.4ms 程度である。これは,インテーク・ポート噴射式エンジンのインジェクタの1/5程度の時間であり,応答性を格段に上げる必要がある。そこで,次のような改良等を行い,インジェクタから噴射される燃料噴射量の最少から最多までの幅の拡大と高速応答性を両立させている。
ⅰ ) 燃料系統の高圧化
ⅱ ) インジェクタ駆動用昇圧回路の別体化(高電圧・大電流を使用したインジェクタ・ドライバの採用)
ⅲ )低抵抗の小型電磁コイルを内蔵したインジェクタの使用
ⅳ )過励磁を用いた駆動回路の改良

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(4)アクセル及びスロットルの各ポジション・センサ信号系統は,それぞれ二重系になっているので,一系統に異常が発生しても正常時と同じ走行が可能である。
不適切

万一の故障時にも対応できるように,アクセル及びスロットルの各センサ信号は二重系にすると共に,異常を検出したときには,退避走行が可能となる程度に吸入空気の流量を制御している。

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