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前進4段のロックアップ機構付き電子制御式ATのフェイルセーフ機能:平成24年3月実施1級小型問題19

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前進4段のロックアップ機構付き電子制御式ATのフェイルセーフ機能に関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。

(1)走行中,シフト・ソレノイド・バルブA,Bの両方に異常が発生した場合,Dレンジ,2レンジ及び1レンジのすべてのレンジにおいて,3速固定の状態で走行できるよう制御している。

(2)複数のレンジ信号がAT・ECUに入力した場合は,電気的には,D>2>1の優先順の入力信号となり,4速(オーバドライブ)への変速を禁止する。

(3)油温センサが断線した場合,AT・ECUはライン・プレッシャ・ソレノイド・バルブをOFFするため,ライン・プレッシャは常時最大となり,4速(オーバドライブ)への変速を禁止する。

(4)オーバラン・クラッチ・ソレノイド・バルブに異常が発生すると,AT・ECUは,ソレノイド・バルブをOFFにするため,オーバラン・クラッチを締結して,減速時に,常にエンジン・ブレーキが効くようになる。(ただし,Dl,21は除く)

 

 

 

 

 

 

 

 

解く

(1)走行中,シフト・ソレノイド・バルブA,Bの両方に異常が発生した場合,Dレンジ,2レンジ及び1レンジのすべてのレンジにおいて,3速固定の状態で走行できるよう制御している。

不適切

シフト・ソレノイド・バルブA,B

走行中にシフト・ソレノイド・バルブA,Bのどちらか一方に異常が発生すると,ECUは,もう一方のソレノイド・バルブの出力を止め,3速状態で走行できるよう制御する。この制御は,Dレンジと2レンジで3速固定だが,1レンジでは2速固定となる。また,シフト・ソレノイド・バルブA,B両方に異常が発生した場合でも同様である。

 

(2)複数のレンジ信号がAT・ECUに入力した場合は,電気的には,D>2>1の優先順の入力信号となり,4速(オーバドライブ)への変速を禁止する。

適切

(3)油温センサが断線した場合,AT・ECUはライン・プレッシャ・ソレノイド・バルブをOFFするため,ライン・プレッシャは常時最大となり,4速(オーバドライブ)への変速を禁止する。

適切

(4)オーバラン・クラッチ・ソレノイド・バルブに異常が発生すると,AT・ECUは,ソレノイド・バルブをOFFにするため,オーバラン・クラッチを締結して,減速時に,常にエンジン・ブレーキが効くようになる。(ただし,Dl,21は除く)

適切

 

フェイルセーフ項目

内容

車速センサ

車速センサは,車速センサ1と車速センサ2の2系統から入力している。そのどちらか一系統に異常が発生しても,走行が可能である。また,走行中に2系統とも,異常が発生した場合は,D,2レンジでは3速固定,1レンジでは2速固定とし走行できる。

ス口ットル・ポジション・センサ

スロットル・ポジション・センサに異常が発生すると,スロットル・バルブ・スイッチのアイドル接点とフル接点のON・OFFにより表のようにスロットル開度を3段階で検知し,走行できるよう制御している。変速は1一4速(オーバドラブ)まで可能だが,変速点は高くなる。また,アイドリング時以外はライン・プレッシャが最高圧となるので,変速ショックも大きくなる。

 

自動生成された代替テキスト: 
ス ロ ッ ト ル 
ア イ ド ル 接 点 
OFF 
OFF 
ON 
・ ポ シ シ ョ ン ・ セ ン サ 異 常 時 の ス ロ ッ ト ル 開 度 の 検 知 
フ ル 接 点 
ON 
OFF 
OFF 
ス ロ ッ ト ル 開 度 の 検 知 
ラ イ ン ・ プ レ ッ シ ャ 
最 大 油 圧 
最 小 油 圧

シフト・ポジション・センサ

シフト・ポジション・センサの出力は,ATの油圧回路がどのレンジを選択しているかを,ECUに知らせる役目であるが,同時に別のレンジ信号が入ったり,信号が欠落したりすると,ECUは,変速信号をどう出してよいか分からなくなるので,そのとき異常を検知すると共に,次の取り決めで変速を行うようにしている。

・複数信号の入力時

複数の信号がECUに入力した場合は,電気的には,D>2>1の優先順の入力信号となり,4速(オーバドライブ)への変速を禁止する。

ECUは表のように制御する。

自動生成された代替テキスト: 
複 数 レ ン ジ 信 号 の 入 力 に 対 す る 変 速 域 
D と 他 の 
2 と 1 レ ン ジ 
信 号 入 力 
1 と 他 の 
レ ン ジ 信 号 入 力 
マ ニ ュ ア ル 
レ ン ジ 位 置 
変 速 域 
2 と 他 の 
レ ン ジ 信 号 入 力 レ ン ジ 信 号 入 力 
( 除 く 1 レ ン ジ ) 
・ ノ ヾ ル プ 
ト → 2 ・ → 3

・無信号時

ECUにセレクト位置信号が入力されない場合,直前の信号を入力信号とみなし,走行できるよう制御する。例えば,2レンジ信号が入力しなかった場合は,Dレンジから2レンジにシフトしたときは,Dレンジ信号を入力とする。また,1レンジから2レンジにシフトしたときは,1レンジ信号を入力信号とする。

実際の変速はマニュアル・バルブとの関係から表のようになる。

自動生成された代替テキスト: 
無 信 号 時 の シ フ ト 順 序 と 実 際 の 変 速 と の 関 係 
シ フ ト 順 序 
D レ ン ジ ( 正 常 ) → 2 レ ン ジ ( 断 線 ) 
1 レ ン ジ ( 正 常 ) → 2 レ ン ジ ( 断 線 ) 
実 際 の 変 速 
21 ← 22 ← 23 ← 24

シフト・ソレノイド・バルブA,B

走行中にシフト・ソレノイド・バルブA,Bのどちらか一方に異常が発生すると,ECUは,もう一方のソレノイド・バルブの出力を止め,3速状態で走行できるよう制御する。この制御は,Dレンジと2レンジで3速固定だが,1レンジでは2速固定となる。また,シフト・ソレノイド・バルブA,B両方に異常が発生した場合でも同様である。

ライン・プレッシャ・ソレノイド・バルブ

ライン・プレッシャ・ソレノイド・バルブに異常が発生すると,ECUは,ソレノイド・パルブをOFFにするため,ライン・プレッシャは最大に制御される。したがって,1-4速(オーバドラブ)まで変速するが,セレクト・ショック(NからD,NからR)及び変速ショック共に大きなる。

口ックアップ・ソレノイド・バルブ

ロックアップ・ソレノイド・バルブに異常が発生すると,ECUは,ソレノイド・バルブをOFFにするため,ロックアップを解除(禁止)する。

オーバラン・クラッチ・ソレノイド・バルブ

オーバラン・クラッチ・ソレノイド・バルブに異常が発生すると,ECUは,ソレノイド・バルブをOFFにするため,オーバラン・クラッチを締結して,減速時に,常にエンジン・ブレーキが効くようになる。(ただし,D12は除く)なお,Dレンジ4速域になると(オーバドラブ・スイッチON時),ECUは,ライン・プレッシャを高くして,4速(オーバドライブ)にしている。

フェイルセーフ項目以外

内容

油温センサ

(a)断線時

断線すると,抵抗は無限大(∞Ω)となり,ECUには,極低温の信号が入力することになる。したがって,極低温時の制御に基づいてライン・プレッシャは常時最大となり,セレクト・ショック,変速ショック共に大きく,4速(オーバドラブ)への変速は禁止となる。

(b)短絡時

短絡の場合は,抵抗がOΩとなるので,断線時とは逆に極高温の信号が入力されることになる。したがって,高温時は特別な制御はしていないので,通常の走行では影響は出ない。ただし,低温時の制御はできなくなる。