2 )変速特性
( 1 )オート・モード・シフト制御
CVT の基本的な変速は,図 に示す変速特性曲線図のように, LOW 側の直線とオーバ・ドライブ側の直線及び上側のスロットル・バルブ全開時曲線と下側の全閉時曲線で囲まれた範囲内で制御される。
LOW側の直線は,マニュアル・トランスミッション(以下, MT という。)の 1 速と同等に,オーバ・ドライブ側の直線は 5 速より小さいギヤ比として,変速比幅は, 5 速 MT よりワイドに設定されている。
また,全開時曲線を右上がりにして,高車速側のエンジン回転速度を高くすることによって駆動力を上げ,アクセルの応答性向上が図られている。
前進は D レンジと S レンジがあり, D レンジは通常走行の設定に, S レンジは図の ● ● 線で示すようにエンジン回転速度を高い側にシフトした変速比に設定されている。
Dレンジにおいて,スロットル・バルブ全開で発進すると,D レンジ・ラインの ① ② ③に沿って車速が上昇して最高速度まで達し,ここで全閉にすると,ラインの④ ⑤ に沿って減速する。スロットル・バルブ中間開度では,この特性曲線内でAT・ECUにより演算された最適な変速を行っている。
例えば,定速走行(点 X )から急加速して増速する場合は,Aの線をたどり,エンジン回転速度が上昇して全開曲線に沿って車速が上がっていく。また,ゆっくり加速した場合は, B の線をたどり,エンジン回転速度と車速は共に,緩やかに上昇する。
( 2 ) 7 速マニュアル・モード制御
MT に近い走行フィーリング及び最適なエンジン.ブレーキ性能を得ることができるマニュアル・モード機能を持っている。マニュアル・モード機能は,図 のような変速制御を行えるもので,スイッチ操作により,各変速段を選択できるようになっている。
各変速段の変速線は,低速になるほどエンジン高回転側で凸状になっており,高回転域での変速による回転変動を小さくしている。また,全開加速時,エンジン回転速度が許容最大に達すると,自動的にアップ・シフトする。また,逆に,エンジン回転速度が所定の回転速度まで低下すると,自動的にダウン・シフトし,停止時には 1 速になる。
3 )走行性能曲線図の比較
図 は CVT , 3 速 AT 及び 5 速 MT の全開走行性能曲線図を比較したものである。 CVT は,図( 1 ) のように駆動力及びエンジン回転速度共に滑らかな曲線で表される。なお,駆動力の破線及びエンジン回転速度の破線は,ロックアップ時を示している。