CAN通信に関する記述として,適切なものは次のうちどれか。
(1)CAN通信の信号電圧波形は,ISO規格仕様で統一されており,送信データのフレーム構成なども各自動車メーカで共通のため,信号電圧波形から直接,各ECUの送受信データの内容を読み取ることができる。
(2)デジタル信号を作るにあたって,信号線と信号アース線間の電圧差を用いる方式のものをディファレンシャル・エンドといい,信号線間の電圧差を用いる方式のものをシングル・エンドという。
(3)CAN通信の「メッセージ」のデータ構成の「識別子フィールド」とは,複数のメッセージが同時に送信されそうになったときの優先順位を表し,「データ・フィールド」とは,実際の信号(0－64bit)を表している。
(4)CANバスを構成する信号線に用いられるツイスト・ペア線は,信号線と受信源インピーダンスの同期を取り信号波形の乱れを防止するため,CAN-L線とCAN-H線それぞれの信号電圧値に変動がない。
解く
(1)CAN通信の信号電圧波形は,ISO規格仕様で統一されており,送信データのフレーム構成なども各自動車メーカで共通のため,信号電圧波形から直接,各ECUの送受信データの内容を読み取ることができる。
不適切
適切な内容に訂正
(1)CAN通信の信号電圧波形は, ＩＳＯ規格仕様のほか、送信データのフレーム構成などは各自動車メーカ独自に設計されたものであることから，この信号電圧波形から直接，各 ECU の送受信データの内容を読み取ることはできない。
(2)デジタル信号を作るにあたって,信号線と信号アース線間の電圧差を用いる方式のものをディファレンシャル・エンドといい,信号線間の電圧差を用いる方式のものをシングル・エンドという。
不適切
適切な内容に訂正
(2)デジタル信号を作るにあたって,信号線と信号アース線間の電圧差を用いる方式のものをシングル・エンドといい,信号線間の電圧差を用いる方式のものをディファレンシャル・エンドという。
(3)CAN通信の「メッセージ」のデータ構成の「識別子フィールド」とは,複数のメッセージが同時に送信されそうになったときの優先順位を表し,「データ・フィールド」とは,実際の信号(0－64bit)を表している。
適切
|
① |
スタート・オブ・フレーム |
メッセージの始まりを示す。 |
|
② |
識別子フィールド |
複数のメッセージが同時に送信されそうになったときの優先順位を表す。 |
|
③ |
コントロール・フィールド |
メッセージの信号量を表す。 |
|
④ |
データ・フィールド |
実際の信号（ 0 - 64bit ) |
|
⑤ |
CRC フレーム |
送信前に一定の演算を行った結果（演算値）を表し，信号を表したときに受信したユニットが同じ演算を行い，メッセージ中の演算値と照合して通信が正常に受信したかを判定する。 |
|
⑥ |
アック・フィールド |
正常受信信号を表す。「 0（ドミナント） 」が書き込まれて送信され，正常に受信できたときに受信したユニットが「 1（レセシブ） 」を書き込んで返信する。 |
|
⑦ |
エンド・オブ・フレーム |
メッセージの終わりを表す。（ 7bit の「 1 」） |
|
⑧ |
インタ・フレーム・スペース |
メッセージ間の区切りを表す。（ 2 – １１bit の「 1 」） |
(4)CANバスを構成する信号線に用いられるツイスト・ペア線は,信号線と受信源インピーダンスの同期を取り信号波形の乱れを防止するため,CAN-L線とCAN-H線それぞれの信号電圧値に変動がない。
不適切
適切な内容に訂正
(4)CANバスを構成する信号線に用いられるツイスト・ペア線は,常に近接していることからノイズが乗ったときにも， CAN - L 線と， CAN - H 線それぞれに同程度のノイズが乗るため，ノイズによる信号電圧値の変動はあるものの， CAN - L 線と CAN - H 線間の信号電圧差は生じず，影響は少ない。
データ通信システムにおける「終端抵抗」の役割は， CAN バス上に ECU が数珠つなぎされた状態では，データ通信の信号線インピーダンスと負荷（受信源）インピーダンスの二つの作用により，回路終端で信号が反射するため，信号波形に乱れが発生し，正常なデータ転送に支障をきたすことを防ぐためのものである。よって，「終端抵抗」を設けることで信号線と受信源インピーダンスの同期を取り信号波形の乱れを防止する。
よって答えは（3）
