電子制御式スロットル装置を用いた筒内噴射式ガソリン・エンジン:平成31年3月実施1級小型問題12
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電子制御式スロットル装置を用いた筒内噴射式ガソリン・エンジンに関する記述として,不適切なものは次のうちどれか。
(1)リーンNOx触媒のうち選択還元型のものは,リーン(希薄)燃焼時には,NOx吸蔵物質にNOxを蓄えておき,理論空燃比運転時に一時的に空燃比を濃くし,排出ガス中のCO,HC等を利用してNOxを還元する。
(2)インジェクタには,高電圧大電流に対応した低抵抗コイルが内蔵されており,作動確認などでバッテリ電圧を直接印加するとコイルが溶損するため,インジェクタにバッテリ電圧を直接掛けてはならない。
(3)アクセル及びスロットルの各センサ信号は二重系統になっており,また,異常を検出したときは,退避走行が可能となる程度に吸入空気の流量を制御している。
(4)低速トルク向上制御では,吸入行程と圧縮行程の2回で燃料を噴射して燃焼(1回目の噴射は自己着火しない程度のリーンな混合で,2回目の噴射と合わせた空燃比は15~23程度)させている。
解く
(1)リーンNOx触媒のうち選択還元型のものは,リーン(希薄)燃焼時には,NOx吸蔵物質にNOxを蓄えておき,理論空燃比運転時に一時的に空燃比を濃くし,排出ガス中のCO,HC等を利用してNOxを還元する。
不適切
表3-1 リーンNOx触媒の種類と特徴
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選択還元型 |
トラップ型 |
原理 |
リーン(希薄)燃焼時に活性層で図3-35のようにHCを使用してNOxを還元する |
リーン(希薄)燃焼時には、NOxを吸蔵物質に蓄えておき、理論空燃比運転時に濃くし、排出ガス中のCO、HC等を利用してNOxを還元する。 |
長所 |
定常的な浄化が可能。ガソリン中に硫黄分が含まれていても浄化性能への影響は少ない。 |
NOxの浄化率が高い。 |
短所 |
還元にHCを使用するため、上流に三元触媒を設置できない。このため、三元触媒の活性化に時間が必要。 |
ガソリン中に硫黄分が含まれていると急速に劣化する。NOx還元時は空燃比を濃くする必要あり。 |
短所を補う制御 |
触媒早期活性化制御により、燃焼(膨張)工程での燃料噴射を行なうと共に排気滞留時間が長いのマニホールドを採用することで、短時間での三元触媒活性化を行なう。 |
電子制御スロットル・バルブにより、吸入空気量を絞って一時的に空燃比を濃くし、還元時の燃料消費を最小化する。 |
適切な内容に訂正
(1)リーンNOx触媒のうちトラップ型のものは,リーン(希薄)燃焼時には,NOx吸蔵物質にNOxを蓄えておき,理論空燃比運転時に一時的に空燃比を濃くし,排出ガス中のCO,HC等を利用してNOxを還元する。
(2)インジェクタには,高電圧大電流に対応した低抵抗コイルが内蔵されており,作動確認などでバッテリ電圧を直接印加するとコイルが溶損するため,インジェクタにバッテリ電圧を直接掛けてはならない。
適切
(3)アクセル及びスロットルの各センサ信号は二重系統になっており,また,異常を検出したときは,退避走行が可能となる程度に吸入空気の流量を制御している。
適切
(4)低速トルク向上制御では,吸入行程と圧縮行程の2回で燃料を噴射して燃焼(1回目の噴射は自己着火しない程度のリーンな混合で,2回目の噴射と合わせた空燃比は15~23程度)させている。
適切
低速トルクを向上させるために,図 のように燃料を吸入行程と圧縮行程で 2 回に分けて噴射して燃焼(空燃比:合計で 15 ~ 23 程度)させている。
1 回目の吸入行程での噴射では,自己着火しない程度のリーンな混合となるようにし,次に圧縮行程で残りの燃料を噴射する。
圧縮行程中に噴射された燃料は,自己着火(ノッキング)が発生する前に火炎伝播により燃焼するため,耐ノッキング性が向上し,図 のように点火時期の進角が可能となり,また低速トルクの大幅な向上が行われている。
よって答えは(1)